30代・40代女性の「なんとなく不調」にマカは本当に効く?科学的根拠を徹底検証

ペルー原産のマカは「何となく元気に」と言われますが、30〜40代女性に対する影響はどこまで科学的に裏付けられているのでしょうか。臨床試験や観察研究のデータをもとに、リビドーや気分、PMS・更年期の示唆と限界、安全性、摂取時の注意点や選び方を編集部がわかりやすく整理。まずは記事をチェックして、自分に合う取り入れ方の参考にしてください。

30代・40代女性の「なんとなく不調」にマカは本当に効く?科学的根拠を徹底検証

マカは何に「効く」のか:エビデンスの現在地

女性を対象にしたマカの無作為化試験は、各試験の参加者が20〜100人規模、用量は1.5〜3 g/日、期間は6〜12週間が中心というのが研究データの現状です。 医学文献では、閉経周辺期や抗うつ薬(SSRI)服用中の女性で、性的欲求や自覚的な気分スコアが改善した報告がある一方、血中エストロゲンやFSHといったホルモン値に明確な変化はみられないという結果も繰り返し示されています。[1,2,4] 編集部で各種論文を読み込むと、マカは「ホルモンを直接増やす」のではなく、ストレスや性機能、気分といった主観的アウトカムに寄与する可能性があるサプリメントだと位置づけるのが、いまの科学的には誠実です。[1,6]

日々のアップダウンが大きくなりがちな35〜45歳の「ゆらぎ世代」にとって、頼りになる一本がほしくなる時期。でも、きれいごとだけでは語れないのも事実。だからこそ効果が期待できる領域と期待しすぎない方がよい領域、そして安全な使い方を、エビデンスと生活実感の両面から、まっすぐに整理します。

研究データでは、マカ(Lepidium meyenii)はリビドーや主観的な気分の改善に関する小規模試験が積み上がっています。[1] たとえば閉経後女性を対象に3.5 g/日を6週間以上摂取した試験では、性機能スコアや不安・抑うつの指標がプラセボと比べて有意に改善した報告があります。[4] また、SSRIに伴う性機能低下を抱える女性で、1.5〜3 g/日のマカを8〜12週間摂取した群に性機能スコアの上昇が見られた論文もあります。[5,2] いずれもサンプルサイズは多くありませんが、同種の結果が複数観察されているのは注目に値します。[1]

一方で、血中ホルモン値については、エストラジオール、FSH、LHなどの明確な上昇は一貫して示されていません。[3,4] これはマカがいわゆる「植物エストロゲン」として働くわけではないことを示唆します。[3] 代わりに、ペプチドやマカミド(macamides)などの成分が、ストレス応答や中枢神経系を介して気分や性機能の主観的な側面に影響しているのではないか、と考えられています。[6]

リビドー・気分:小さくも意味のある変化

具体的な数値を挙げると、8〜12週間で性機能質問票の合計点がベースラインから有意に上がったり、不安・抑うつスコアが低下したという結果が報告されています。[2,5,4,3] 日常語に置き換えると「気持ちが前向きになり、パートナーとの時間に向き合う余力が少し戻る」くらいの変化をイメージすると良いでしょう。これは劇的な変化ではないかもしれませんが、仕事・家事・育児を並走する生活で、意味のある差に感じられる人はいます。

PMS・更年期症状:期待と限界を冷静に

PMSやホットフラッシュなどの自覚症状が軽くなったという報告も一部にあります。[7] ただし、評価指標やデザインがまちまちで、定まった結論には至っていません。[7] ホルモン値が直接変わらない以上、マカ単体でPMSや更年期症状を「改善する」と断言するのは行き過ぎです。[3] むしろ、睡眠や栄養、ストレスケアと併走させることで、体感としての揺らぎを和らげる補助線になりうる、と理解すると納得感があります。

安全性・用量・選び方:生活に落とし込む実用知

安全性に関して、健康な成人で1.5〜3 g/日を6〜12週間摂取する範囲では、重篤な有害事象は少ないと報告されています。[2,4] ときに胃部不快感などの軽度の消化器症状が出る人がいるため、空腹時の一気飲みより、食後に分けて取り入れると穏やかです。[2] 伝統的な摂取では加熱・加工(いわゆる“ゼラチン化”)した粉末が用いられてきました。現代のサプリでも、消化を助ける加工が施されたパウダーやカプセルを選ぶと相性が良い傾向があります。

摂取量は1.5〜3 g/日を目安に、まずは8週間を一区切りに様子を見る。[1,5] この“試用期間”のあいだ、朝の起床感、日中の集中度、夕方の疲労感、パートナーとの時間への意欲など、自分にとって大切な指標を2〜3個に絞ってメモしておくと、体感の微妙な変化を拾いやすくなります。カフェインのような即効性ではなく、じんわりとした波で効いてくると語る人が多い点も、期待値の調整に役立ちます。

注意しておきたいポイント

マカはアブラナ科の植物で、グルコシノレートを含みます。ヨウ素不足などの背景がある人や、甲状腺の持病がある人は、主治医に相談してから検討すると安心です。現時点で、甲状腺関連のヒトでの高品質な安全性データは限られます。[7] 妊娠・授乳中の安全性は確立していないため、積極的な摂取は避けるのが無難です。[7] 薬との相互作用は多くは報告されていませんが、ホルモン療法中、甲状腺薬服用中、抗うつ薬服用中の場合は、開始・中断のタイミングを医療者と共有すると良いでしょう。[2,7]

そして品質。原産地や加工法、重金属や農薬の検査体制、マカミドなどの成分規格が明示されている製品は、ブレが少ない傾向にあります。パウダーかカプセルかは生活に合わせて選べばOKです。朝のスムージーやヨーグルトに1匙混ぜる、仕事の日はカプセルで手早く、というように、続けやすさを最優先にデザインするのがコツです。

ライフステージ別の使い分け:ゆらぎ世代にフィットさせる

35〜45歳は、役割が増える反面、自分の快・不快に向き合う余白が減りやすい年代です。午前中のエンジンがかかりにくい、夕方にどっと疲れて家庭のスイッチが入らない、パートナーとの時間に心がついていかない——そんなとき、マカを「調子の底上げを狙う補助線」として位置づけると、過度な期待から解放されます。朝食後に1〜1.5 g、午後の休憩後に1〜1.5 gという分割は、体感が穏やかに立ち上がりやすい組み合わせです。

パフォーマンスや性生活の課題は、相手や環境との相互作用の中で生まれるもの。マカはその関係性全体を変える魔法ではありませんが、気持ちの余白や体の“始動性”がわずかに上向くと、会話のトーンが柔らかくなったり、睡眠の入口がスムーズになったりと、波及効果がじんわり広がることがあります。ここで大事なのは、サプリだけに答えを求めないこと。鉄やビタミンD、不足しやすいタンパク質といった栄養の土台、そして睡眠・運動のリズムといったベースを整えながら、マカを「最後の1〜2割の微調整」に使う発想です。

ルーティンに落とし込むコツ

続ける秘訣は、意思ではなく仕組みづくりです。朝の歯磨きのそばに計量スプーンを置く、コーヒーやスムージーのルーティンに混ぜ込む、外出日はバッグの小ポーチにカプセルを入れておく、といった小さな工夫が、継続率を大きく左右します。また、8週間の“お試し期間”が終わったら、一旦やめてみて日常の調子がどう変わるかを観察するのも有効です。差が感じられないなら、他の生活要素の見直しにリソースを振り向ける判断ができます。

よくある誤解と、賢い向き合い方

まず正しておきたいのは、「マカはホルモンを増やして更年期を治す」といった誤解です。研究では、血中ホルモンの明確な上昇は示されていません。[3,4] では意味がないのかといえば、そう単純でもありません。ホルモン値が変わらなくても、気分や性機能といった主観的アウトカムが改善することは、生活の満足度という観点では十分に価値があるからです。[1,2,4]

次に「妊活の万能薬」という過度な期待にも距離を置きたいところです。国内でも、マカ製品が妊娠率の劇的な上昇を示唆する不当表示として行政処分を受けた事例があり、「妊娠率を大きく押し上げる」といった断定的な宣伝は根拠に乏しいと判断されています。[8,9] もし妊活の一環として取り入れるなら、基礎体温や睡眠、ストレスマネジメント、栄養状態の把握といった他の重要因子を優先しつつ、マカは“負担にならない範囲のサポート役”と捉えるのが現実的です。

最後に、科学的に試す思考法を持っておくと安心です。目標と期間、観察指標を事前に決め、「効いているかどうか」を曖昧な気分ではなく、簡単な記録で可視化する。こうした態度は、サプリ選び全般においても自分の時間とお金を守ってくれます。

まとめ:小さな余白を取り戻すために

マカは、ホルモンを直接いじる魔法ではありません。それでも、リビドーや気分の谷をやわらげ、日常の“始動性”をそっと持ち上げる可能性が、複数の小規模試験で示されています。[1,2,4] だからこそ、過度な期待ではなく、科学的な姿勢で静かに試す価値があります。1.5〜3 g/日を目安に8週間、生活の土台と並走させながら、自分にとって意味のある指標を記録する。合うと感じたら続け、差を感じなければ手放す。選択するのは、いつもあなたです。

やっぱり、きれいごとだけじゃないから。 疲労や気分の揺れ、関係性の難しさは、今日も簡単には片づきません。それでも、自分の体と対話しながら一つずつ検証していくことは、確かに前に進む力になります。さて、あなたはどの指標から試してみますか。明日の朝の起床感でしょうか。それとも、夜の自分への優しさでしょうか。

参考文献

  1. Shin BC, Lee MS, Yang EJ, Ernst E. Maca (Lepidium meyenii) for treatment of sexual dysfunction: A systematic review. BMC Complement Altern Med. 2010;10:44. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2928177/
  2. Dording CM, et al. Randomized, double-blind, placebo-controlled trial of maca root for SSRI-induced sexual dysfunction in women; 3.0 g/day up to 12 weeks; tolerability favorable. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4411442/
  3. Meissner HO, et al. Randomized double-blind crossover trial in postmenopausal women (≈3.3 g/day, 6 weeks): blood pressure and depression improved; no changes in estradiol/FSH. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24931003/
  4. Brooks NA, et al. Beneficial effects of Lepidium meyenii (maca) on psychological symptoms and measures of sexual dysfunction in postmenopausal women: randomized controlled trial. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3614576/
  5. Narrative/clinical review summarizing double-blind randomized parallel trials indicating libido benefit and 8-week protocols. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6494062/
  6. Adaptogen phytochemistry review: Macamides/macalenes and potential CNS/stress-response mechanisms relevant to mood/sexual function. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8747685/
  7. NCBI Bookshelf evidence summary on maca for menopausal symptoms: improvements in Kupperman Menopausal Index reported in small RCTs; evidence limited, larger high-quality trials warranted. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK85936/
  8. 医薬通信社(薬事日報): 消費者庁、マカ配合サプリの「妊娠しやすくなる」表示に措置命令(ゼネラルリンク事例)。https://www.yakujihou.com/yakujinews/7458/
  9. 通販新聞: マカサプリの「妊娠しやすくなる」表示に対し措置命令—根拠不十分と判断。https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/64449

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。