忙しい30代・40代が有給を無駄にしない5つの取り方

35〜45歳の働き方に寄り添う、有給を「無駄にしない」5つの取り方。法律と現場データで、仕事の波と生活の波を重ねた具体的なタイミング設計と申請フレーズ、最新データに基づく実践例まで。今すぐチェックして有給を無駄にしない方法を学ぼう。

忙しい30代・40代が有給を無駄にしない5つの取り方

有給消化のリアル:法律の基礎と“消える休み”の正体

厚生労働省の就労条件総合調査では、年次有給休暇の平均付与日数はおおむね16〜18日前後、取得率は6割前後という水準が続いています[6]。数字だけ見れば半分以上の人がとれているように見えますが、裏側では「消化しきれず時効で消える」日数も少なくありません。編集部が各種統計と企業ヒアリング資料を横断すると、プロジェクトの節目に合わせて計画的に有給を入れた人ほど、取得率も満足度も一貫して高いという傾向が見えてきました。制度上も、事業場単位で計画的に消化を進める「計画的付与」は取得促進策として位置付けられています[1]。

35〜45歳は、チームの中核を担いながら、子の行事や親の通院付き添い、自分の体調のゆらぎにも直面しがちな時期です。だからこそ、思いつきではなく、「仕事の波」と「生活の波」を重ねて最適なタイミングを見つける視点が欠かせません。ここでは法律の基礎、現場で通る取り方、そしてゆらぎ世代に合った実践のコツまで、データとリアルの両面から整理します。なお、更年期に関連する不調は40代以降の女性の多くで報告があり、働き方や休み方の工夫が有用です[4]。

まず立ち位置を確認しましょう。年次有給休暇は労働基準法に基づく権利で、入社後6カ月・8割以上出勤で原則10日が付与され、その後は勤続に応じて最大20日まで増えます[1]。2019年の働き方改革関連法では、付与日数が10日以上の人に対し、年5日の取得を企業が確実に取らせる義務が導入されました[2]。つまり最低5日は“必ず使える”前提が法律で担保されています。

それでも消化が進まない理由のひとつが時効です。年休は原則2年で時効となり、繰り越せるのは1年分まで[3]。忙しい年が続くと、古い順に目減りしていく仕組みです。企業によっては、就業規則に基づいて「計画的付与(就業カレンダー上の一斉休業や交替制で消化)」や「時間単位年休(1時間単位などでの取得)」を導入している場合があります。こうした制度を正しく理解すると、“連休でまとめて”と“細切れでこまめに”を併用する設計が可能になります[1]。

一方で、現場の心理的ハードルも無視できません。評価時期に長期で不在になる不安、担当案件の属人化、チーム負荷への遠慮。これらは多くの職場で観測される共通の障壁ですが、実務上は、**「事前共有の質」と「引き継ぎの解像度」**でほぼ乗り越えられます。つまり、タイミング選びは法律の枠組みに加えて、職場のリズムと情報流の設計がカギになります。

データが示す“先に入れた人が勝つ”という事実

研究データや労務コンサルの現場レポートでは、年初や四半期初に一年分の大枠を押さえた人ほど、結果として高い取得率を維持しています。会議や納期が決まってから隙間を探すのではなく、**「入れておいた有給に合わせてプロジェクト設計を微調整する」**発想に切り替える。これは自己都合の押し通しではなく、チームの負荷平準化にもつながります。先に見える休みがあると、周囲はタスク分配やスケジュールを前倒しで組み替えられるからです[1,6].

ベストなタイミングを見つける:仕事の波×生活の波

「忙しくない日なんて来ない」—仕事が落ち着くのを待つほど、有給消化は遠のきます。そこで鍵になるのが、仕事の周期と生活のイベントを1枚のカレンダーに重ねること。四半期決算やリリースの直後、期末前の資料提出がひと段落する週、チーム内の別メンバーが不在でない週。こうした“揺れの弱い点”を洗い出し、祝日と組み合わせてブリッジさせると、1日の有給で3〜5連休に拡張できます。

生活側の波も同じくらい大切です。学校行事、家族の通院、パートナーの出張や帰省の予定。35〜45歳の「ゆらぎ」には、自分の体調リズムも含まれます。PMSや更年期の症状が強く出やすい時期を可視化すると、パフォーマンスが落ちやすい週に“あえて休む”戦略が取れます[4]。予防的な受診や人間ドック、歯科治療などを平日午前にまとめ、午後は半休で静かに回復する、という組み立ても効きます[1]。

評価やキャリアへの影響を最小化する組み方

評価面談や昇降給に直結する時期は、過度に長い不在が不安に映ることがあります。ただし、**「アウトプットの見える化」で印象は大きく変わります。たとえば休暇の2週間前までに主要タスクを締め、成果物のステータスと次アクションをドキュメント化し、担当外でも拾える粒度で共有する。さらに、休暇最終日の前営業日に「再稼働の計画」を短文で流すと、復帰後の立ち上がりがスムーズです。結果として、“休めるのに成果も出る人”**という信頼が積み上がります。

チームの空気を損ねない伝え方と順番

現場で効くのは、上長→キーパーソン→全体の順に伝えるやり方です。最初に上長へ「この週に1日、案件AはXさんとレビューを前倒し、Bはチェックリスト化して共有します」と、代替策までセットで相談する。承認が出たら、案件の関係者にタスクの前倒しと依頼事項を柔らかく周知し、最後にチーム全体のカレンダーへ反映します。許可を“もらう”ではなく、**休むための段取りを整えて“提案する”**姿勢が、通りやすさを一段上げます。

実践:明日から試せる有給タイミング設計

設計の起点はシンプルです。まず自分の一年の山谷を3本の軸で書き出します。仕事の繁忙期・納期、家族イベント・通院、自分の体調やメンタルの波。この3軸を眺めると、**「ここに1日あると全体が整う」**というポイントが見つかります。祝日の配置を確認して、1日で連休化できる週を数カ所マーク。さらに、2年の時効を意識して古い年休から消化する順番を決めます[3]。ここまでを年初と四半期初に繰り返すだけで、取得率は跳ね上がります。

短距離走のように、“小さく早く”休むのも有効です。心身の余白は24〜48時間でも回復度が高く、月1回の“平日ソロ休”は生活の修正力を底上げします。家事や手続き、銀行や役所、病院の用事を済ませると、土日の“回復枠”が本来の休息に回ります。逆に、“長く深く”休むタイミングも年に一度はほしいところ。プロジェクトの大山を越えた直後に3〜5連休を置くと、燃え尽きの予防線になります。

スムーズに通る事前準備:3つの要素を言語化する

承認までの所要時間を短くするには、目的・期間・影響の三点をひとつのメッセージにまとめるのが効果的です。「健康診断のため、5/17(金)に年休を取得したいです。A案件は16(木)午前にレビューを完了させ、B案件はチェックリストで引き継ぎます。緊急連絡はチャットでキャッチします」。このように、先回りの配慮と言い切りを併せ持つ文面は、上長に“判断材料”を差し出すことになります。

また、可視化は最高の調整ツールです。チームカレンダーに「年休(予定)」を早めに入れ、会議招集は候補日を複数提案してもらう運用にします。カレンダー上で休みが見えていれば、会議が休みにぶつかりにくい構造が自然とできあがります。どうしても外せない会議が重なったら、半休や時間単位年休への切り替えも選択肢です[1].

ゆらぎ世代ならではの“守りの休み”

ホルモンバランスの変化やライフイベントの多さは、パフォーマンスの波となって表れます。症状が重くなりがちな週を避け、重要プレゼンを置かない工夫は、仕事の質を守る策でもあります。さらに、人間ドックや婦人科検診を“予定された有給”として毎年同じ月に固定してしまうと、予約も取りやすく、習慣化します[4]。忙しさの中でも、**「必要な休みは、先に守る」**という発想の転換が、長期のキャリアを支えます(生理痛などで就業が著しく困難な場合には、生理休暇の請求が可能です[5])。

よくある“詰まり”をほどく:ケース別の考え方

「急ぎ案件が動いていて抜けづらい」。そんなときは、役割の分解が役立ちます。意思決定、実装、レビュー、ドキュメント作成。自分が担う工程を切り出し、前後の接続方法を明文化すると、“いないと進まない”を“いなくても回る”に書き換えられます。書き起こした手順は再利用でき、結果として属人性の解毒にもなります。

「子の行事が直前で決まる」。この不確実性には、**“仮予約”**という手があります。2〜3週間前に候補日を上長へ共有し、1週間前に確定する運用をチームの共通ルールにできれば、周囲の計画も組みやすくなります。逆に「親の通院付き添いが長引く」ケースでは、午前半休+在宅のハイブリッドで負荷を散らし、翌週にフルデイの年休を置くと体力面の乱高下を防げます。

「旅行費が気になって休めない」。有給は出費とセットで考える必要はありません。むしろ、**“予定のない平日休”**こそ回復効率は高い。家に人が少ない時間帯は静けさが資源になります。どうしても外に出たいなら、近場の公園や美術館、図書館の午前を“短い遠足”にする。移動時間も費用も小さいのに、体感の非日常は十分に得られます。

さらに深掘りしたい人は、働き方の見直しやメンタルのセルフケアも合わせて考えると相乗効果が出ます。チームでの合意形成のヒントは会議を減らす段取り術、ホルモンゆらぎへの向き合い方は更年期のセルフケア入門、家族スケジュールの整え方は家族カレンダー習慣の作り方も参考になります。

まとめ:休むことは、働き続ける技術です

有給消化のタイミングは、誰かが決めてくれるものではありません。仕事の波と生活の波を重ね、先に予定を置き、段取りで通す。この3ステップが回り始めると、「休めるかどうか」は不確実でも、「休む準備」は常にできている状態になります。結果として、周囲の信頼はむしろ高まり、あなた自身の集中力と回復力も安定します。

来月のカレンダーを開き、まずは1日だけ“守りたい有給”を先に入れてみませんか。その1日が、半年先のあなたの体力とキャリアを静かに支えます。もし迷ったら、年休の時効や祝日配置を手がかりに、「最小の1日で、最大の整い」をつくるところから始めてみてください。

参考文献

  1. 厚生労働省 静岡労働局. 年次有給休暇の基礎(付与要件・付与日数・計画的付与・時間単位年休の概要). https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/kantoku00/kantoku0013.html
  2. 厚生労働省 長崎労働局. 年次有給休暇の年5日取得義務について. https://jsite.mhlw.go.jp/nagasaki-roudoukyoku/banner_link/kyuka-20082803.html
  3. 厚生労働省. なくす みんなでチェック 労働条件Q&A:年次有給休暇の消滅時効は何年か. https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/yukyu/q6.html
  4. 厚生労働省. 更年期・月経障害に関するアンケート(連合東京2022実施)結果の紹介ページ. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40683.html
  5. 厚生労働省 山口労働局. 生理休暇(就業が著しく困難な場合の請求権と運用). https://jsite.mhlw.go.jp/yamaguchi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_kintou/kenkou_josei.html
  6. 労務行政(労政時報ONLINE). 年次有給休暇に関する統計の概況(付与日数・取得率の推移). https://www.rodo.co.jp/column/189113/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。