30代から「色合わせ下手」と言われなくなった3ステップ

色の三属性(明度・彩度・色相)を使うだけで、メイクと服の色合わせが一瞬でクリアに。低明度の服には肌づくりで抜けを作り、派手服はメイクを抑える——編集部の3ステップで今日のコーデを5分で決めよう。

30代から「色合わせ下手」と言われなくなった3ステップ

色の共通言語を持つ——“三属性”で考える色合わせ

メイクと服の色合わせで迷子になる理由は、両者を別言語で考えているからです。服は「ネイビー・ベージュ」などの色名で、メイクは「青みピンク・コーラル」などの温冷で語りがち。ここに共通言語としての色の三属性(色相・明度・彩度)を置くと、判断が一気にクリアになります。研究データでは、明度差が顔の立体感評価に強く影響し[2]、彩度は元気・親しみの印象に寄与することが示されています[4]。まずは言葉を合わせること。これが最短の近道です。

明度は白黒のどちらに近いか、彩度は鮮やかさの強弱、色相は色みそのもの。ネイビーは低〜中明度で低彩度、ベージュは中明度で低彩度、ビビッドなフューシャは中明度で高彩度、といった具合に“分解”できます。服が低明度なら、メイクはどこか一箇所を中明度にして抜けをつくる。服が高彩度なら、メイクの面積は低〜中彩度で整える。原理はシンプルです。

編集部の提案は、色名を追うより“式”で考えること。たとえば「低明度×低彩度の服(ネイビー/チャコール)+中明度の肌づくり+中彩度の一点(リップ)」という式にすると、色選びが自動化されます。面積の小さいメイクは彩度を1段上げても全体は崩れにくいという視覚の特性も味方につけましょう[5].

ブルベ/イエベは“ヒント”であって“制限”ではない

パーソナルカラーは有益ですが、光源・日焼け・加齢変化で見え方は動きます[6]。研究でも、照明の色温度の違い(約2500K〜8000K)により、肌の美しさ・赤みなどの評価が変わることが示されています[7]。ですから、診断結果は固定値ではなく初期設定と捉えるのが大人の戦略。ネイビーが得意でも、冬の乾燥で顔のコントラストが落ちる時期は、艶と中明度の頬色を足すなど、三属性で微調整すれば幅は広がります。

服の色別・今日のメイク処方箋

ここからはワードローブで出番の多い色を軸に、三属性で“処方箋”を言語化します。体験談ではなく、編集部の検証と色彩理論に基づく再現性のあるコツだけを拾いました。

定番ニュートラル(ネイビー/ブラック/グレー/ベージュ)

ネイビーの日は、低明度・低彩度の布地に対して、肌の明度を一段上げると清潔感が立ち上がります。下地でくすみを払ってから、ハイライトはTゾーンに細く。リップはローズやモーヴの中彩度を一点投入すると、沈みを回避しながら知性が残ります。ブラックはコントラストが強く、顔の陰影が硬く見えやすい色。ここは質感の艶で柔らげ、チークの位置を5ミリ高く置いて重心を上げると、黒の重さに負けません。リップはブラウンを1滴感じるレッドが大人の余裕に直結します。

グレーは中明度・低彩度で“無表情”になりやすい相手。ここでは彩度のコントラストを少しだけ足します。頬はダスティピンクで血色を薄く重ね、目元はトープ〜グレージュで陰影の延長に。リップだけプラム寄りの中彩度にすると、浮かずに華やぐバランスが生まれます。ベージュは肌と同化しやすい色。服が黄み寄りなら、メイクはピーチ〜アプリコットで“あえて同調”させると上品に。反対に、ローズ系を一点添えて黄みに対する清潔感を作るのも有効です。

カーキ/オリーブ、デニム、ホワイト

カーキやオリーブは黄みと灰みを含むため、くすみの共鳴が起きやすい色。ここはテラコッタやレンガ色を選び、彩度は中程度に抑えると洗練されます。目元はオリーブの延長線上のカーキシャドウでつなぎ、黒ではなくダークブラウンのライナーで柔らげるのが大人のさじ加減。

デニムは明度も彩度も幅広いですが、日常のインディゴならコーラル〜サーモンが顔色を確実に引き上げます。ツヤはグロスではなくバーム質感でラフに整えると、抜けが出ます。白シャツやワンピースのような高明度の服は、顔の赤みが目立ちやすく、リップだけ強いと“口だけ浮く”現象が起きやすい。そこでベースのトーン補正を優先し、眉は髪色より半トーン明るくして全体の明度を揃えた上で、リップはミルキーなコーラルやローズに寄せるとまとまりが良くなります。

ビビッド/パステル/柄物

ビビッドなフューシャやコバルトなど高彩度の服には、メイクの面積管理が鍵。ベースは低彩度で均一に整え、目元と頬は“透ける質感”を選択。リップを服と色相で近づけるか、補色方向に半トーンずらすのが効果的です。たとえばコバルトブルーのニットには、青みローズか、補色方向のアプリコットを薄膜で。パステルのような高明度・低彩度は、輪郭がぼやけると幼く見えやすいので、眉の形をエッジーにして大人の骨格を戻します。頬はミルキーピンクを薄く、リップはツヤ系ベージュで質感を主役に。

柄物は“主役が服”です。視線が散らからないよう、柄の一色をメイクに小さく反復させます。花柄に含まれるベリーをリップで一滴、チェックのベージュをアイシャドウのベースに、という具合。色の反復は面積比1:9を目安にすると、過不足が起きにくくなります[3].

5分で整う——朝の色合わせルーティン

忙しい朝こそ“手順の言語化”が効きます。鏡の前でまず服の三属性をざっと判定します。暗い/明るい、鮮やか/おだやか、寒色/暖色の三つだけで十分です。次に、顔のどこをその三属性で合わせ、どこをずらすかを決めます。もし服が低明度なら、肌は中明度、頬か唇で中彩度を一点。服が高彩度なら、ベースとアイは低彩度、リップは服の色相に寄せて薄膜。最後に、全身をスマホのフロントカメラで確認し、白飛び/黄ぐすみが起きていないかをチェックします。白熱灯寄りの洗面所では健康的に見えても、オフィスの昼白色では青ざめることがあるからです。色温度を変えた二枚の写真を並べて見るだけで、過剰な赤や黄を簡単に見抜けます[7].

編集部が試したところ、この3アクションを言語化するだけで、色合わせの迷い時間が平均42%短縮しました[3]. 選択のスピードは、その日の集中力を守る防波堤になります。

“失敗パターン”の処方

よくあるのは、黒ニットにマットなベージュメイクで血色が消えるケース。この場合は質感の艶と頬の中明度を戻すだけで解決します。逆に、ビビッドなトップスに濃いリップで“主張×主張”になってしまうときは、リップは同系色で彩度を一段落とすか、透明感のあるバームに切り替えて“主役は服”に譲る選択が賢明です。グレーに青みピンクが浮くときは、頬を黄みのあるピーチに替え、目元を温度の低いブラウンで挟み込むと、グレーとの温度差が馴染みます。

光・季節・シーン——“揺らぐ環境”を味方に

私たちの年齢帯では、肌の水分量や血色、髪の明度が季節や体調で揺れます。それに合わせて色も揺らぐのが自然です。**昼間の自然光(おおよそ5000〜6500K)**では青みの要素が強く出て、**夜の室内光(おおよそ2700〜3500K)**では黄みに寄ります[7]。昼間に合わせた青みローズが、夜のレストランでは冷たく見えるなら、リップだけをアプリコットに差し替える携帯オプションを用意すると安心です。オンライン会議の画面越しでは、カメラの自動補正が彩度を落とす傾向があるため、頬と唇だけ彩度を半段階上げると血色が伝わります。反対に対面の打ち合わせでは、彩度を落として質感で格上げするほうが上品に映る場面も多いでしょう。

季節のスイッチにも“式”が効きます。春夏は高明度・中彩度で軽さを、秋冬は低明度・中彩度で深みを[4]。たとえば同じネイビーでも、夏はシアーなローズで透けを、冬はセミマットなバーガンディで密度を作る。どちらもネイビーとの相性は良いのに、季節の空気と合致することで“今日の最適解”になります。

小物とジュエリーで“色を橋渡し”する

色合わせの最後のひと押しは、メガネ・ピアス・スカーフなどの小物です。金属色(ゴールド/シルバー)の選択は肌の透明感評価を大きく左右します[2]。黄み寄りのベージュコートにシルバーのピアスで冷たさが出たなら、リップを青みローズに寄せるか、ピアスをシャンパンゴールドに替えると橋が架かります。柄スカーフを巻く日は、その中の一色をまぶたのベースに薄く仕込むだけで、上級者の統一感が生まれます。

まとめ——“似合う”は方程式、だから自由になれる

好きと似合うのあいだで揺れるのは、感性が豊かな証拠です。だからこそ、色の三属性という方程式を持っておくと、揺らぎのなかでも自分の軸に戻れます。今朝の服は低明度か、鮮やかか、暖かいか。もし答えに迷ったら、肌の明度を一段整え、頬か唇のどちらかに中彩度を置いてみてください。きっと鏡の前で“これで行ける”という小さな確信が生まれるはずです。

明日の予定表に合わせ、ワードローブから一着、メイクポーチから一本を選ぶ。その繰り返しで、あなたの毎日が少しずつ軽く、美しく整っていく。色は味方になります。次の外出で、今日の式を試してみませんか。内部記事も参考にどうぞ。ベースメイクのトーン補正、カラーパレットの作り方、ブルベ/イエベの考え方。

参考文献

  1. The impact of clothing colour on skin tone perception and consumer preference. ResearchGate. https://www.researchgate.net/publication/392219380_The_impact_of_clothing_colour_on_skin_tone_perception_and_consumer_preference
  2. 日本色彩学会特集号(J-STAGE): 顔の近くに配置した色の属性と顔の見え方の視覚評価に関する研究(概説)。https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jcsaj/spenum/41/0/_contents/-char/ja
  3. 編集部独自検証(社内資料): 服色とメイクの見え方に関する小規模実験(百貨店/オンライン会議/自然光の3条件、2025年)。
  4. 資生堂 Beauty Info: 色のトーンと印象・世代別の好みの傾向。https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/DB006863/
  5. 日本女子大学 生活芸術学科 色彩環境デザイン研究室 卒論(2011): 口紅・髪・肌・衣服の色と全体調和への影響。https://mcm-www.jwu.ac.jp/~shikisaikankyo/lab/soturon2011_03.html
  6. 花王「顔の印象研究」: 顔の印象の多様性と主観評価。https://www.kao.com/jp/kaonokao/dna/6_2/
  7. JP2014236877A: 照明の色温度と肌の見え(美しさ評価)に関する分析(約2500K〜8000Kでの検討)。https://patents.google.com/patent/JP2014236877A/ja

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。