**大切だけど、もう好きじゃない……ジュエリーリフォームで手に入れる「新たなお守り」**

大切だから捨てたくはないけれど、デザインが古くてなかなか出番がないジュエリー。家の中で眠ったままのかつての宝物たちを、ジュエリーリフォームという選択肢で、生まれ変わらせてみませんか?...

**大切だけど、もう好きじゃない……ジュエリーリフォームで手に入れる「新たなお守り」**

大切だから捨てたくはないけれど、デザインが古くてなかなか出番がないジュエリー。家の中で眠ったままのかつての宝物たちを、ジュエリーリフォームという選択肢で、生まれ変わらせてみませんか?

成人祝いに買ってもらったファーストジュエリー

私が二十歳になる年、父は成人式のための振袖を買ってやると言ってくれた。

どんなに手頃なものを選んだって値が張るし、それでいて着る機会が滅多にないからレンタルで良いと言ったのだが、娘に振袖を買ってやるということは父なりの矜持または夢だったようで、買ったほうがいいと譲らなかった。

そこまで言うならと母と呉服屋に行って選び始めると「あれも良い、これも素敵」と心が躍り、結局はそれなりに高い振袖を買ってもらった。

帰りの電車の中の私は、思いがけずウキウキした気持ちと、高い買い物をさせてしまった罪悪感が入り混じった、なんとも言えない高揚感に包まれていた。そんな中**「お母さんからも何かお祝いしていい?」と、母がさらにデパートに連れて行ってくれた**のだ。

地元の駅ビルデパートの小さな宝飾品売り場。今思えばとても質素な空間だったが、イミテーションのアクセサリーしか身につけたことのない私には特別な場所に思えた。

でも、さっきも振袖を買ってもらったのに……という後ろめたさがあり、どのジュエリーも自分には相応しくないように思えて、なかなか決められずにいた。

長いこと無言のまま売り場を彷徨っていると、あまり客のいない無名ブランドのショーケースにあったジュエリーに目が留まった。そのとき**「あ、これだ」**と感じた。

水色の石が入ったシルバーの指輪。飾り気のないシンプルなデザインだけれど、石の放つ淡い水色が凛としてとても綺麗だった。

正直に言えば、もっと欲しいと思うジュエリーは他にもあった。**でも、この淡い水色が今の自分に合っている気がした。**気が引けるほど高価ではないけれど、自分では手が届かない。洗練されすぎていないけれど、控えめな凛々しさがある。

横に立っていた母に「これにしようかな」と言うと、思ったよりも手頃な価格だったのか、同じデザインのネックレスとセットにしてプレゼントしてくれた。

こうして、この水色の指輪とネックレスが、私のファーストジュエリーになった

お守りみたいに大切にしていたけれど


母からもらったマイ・ファーストジュエリー(実物)

ファーストジュエリーを手に入れてから、私はこの指輪とネックレスを毎日のように身につけていた。色のある石なので、洋服とのカラーリングが悪いこともあったと思うが、そんなことお構いなしだった。

本物の石のジュエリーは、これまで持っていたイミテーションとは違って、ずっと眺めていたくなる美しさがある。それに何より、ジュエリーを身につけていると自分が大人の女性になった気がした

就職活動の最中も、ブラウスに隠れるネックレスだけはつ着け続けていた。普段から身につけているからこそ、特別なときにも側にあって欲しい「お守り」のような存在になっていたのだと思う。

しかし、そんなに大切にしていたジュエリーも、社会人になってしばらく経った20代後半には**「何だか気分じゃない」**と思うことが多くなった。

二十歳の頃は自分にぴったりと感じられた水色の石も、年を重ねた自分からはその瑞々しさだけが際立って感じられ、出番は自ずと減った。

30代を迎えた頃には、ジュエリーケースの2段目に入ったまま、普段は目につくことさえなくなってしまった。たまの断捨離で取り出してみては**「また使いたいな……」**と、依然として大切に思いながらも、一度も身につけることはなかった。

ダブル成人式のお祝いに決めたジュエリーリフォーム

自分で買った思い入れのあるアクセサリーも増え、ますますファーストジュエリーの出番が遠のいていた40歳目前のある日、**「ダブル成人式」**という言葉を知った。

なんでもお笑い芸人の南海キャンディーズ・山里亮太さんが発起人となって数年前から始まった取り組みで、二十歳のダブルカウントにあたる40歳の人生の節目を祝うものらしい。

面白い取り組みだと色々調べているうちに、自分でも40歳の節目になることを何かやろうという気になった。

そこで思い出したのが、成人のお祝いでもらったあの指輪とネックレスだ。

二十歳の大切な思い出のジュエリーを、ダブル成人式のお祝いにリフォームしたら、またこれからの人生のお守りになってくれるのではないか。そして、母や父への感謝の気持ちをあらためて形にできるのではないか。

そう考えた私は、早速ジュエリーリフォーム店を調べてみることにした。

大切な思い出とともに生まれ変わったジュエリー

思い入れのあるジュエリーを20年越しに生まれ変わらせるんだからと、お店選びは時間をかけて慎重に行なった。

これまでにもリペアに出したことのある百貨店は安心だけどデザインが今っぽくない、ネットで見つけた実店舗のないお店は不安すぎる、Instagramで作品に一目惚れした職人さんの工房はあまりにも予算オーバー……などなど。

数ヶ月にわたってちまちまと調べて、ようやく世田谷・奥沢にある小さなジュエリーショップを見つけた。

オリジナルもリメイクもデザインが私好みだったのに加え、見積りの相談に行った際、工房で職人さんが作業しているのが見えたことが決め手だった。

職人さんとは直接話していないけれど、整頓されたスペースで丁寧に作業されているのを見て、あの方なら安心してお預けできると直感した。

何のアクセサリーにリフォームするかも悩みどころだったが、せっかく同じサイズの石が2つあるのだからと、ピアスにすることにした。

そうして最初の相談から見積もりやデザイン画を何度かメールでやり取りし、待つこと約1ヶ月。

とうとう私のファーストジュエリーが生まれ変わった。

水色の凛々しさは残しつつも、シルバーゆえの初々しさがあったリフォーム前から、少し大人の柔らかさのあるジュエリーへ。


リフォーム後のピアス(実物)

お気に入りのアクセサリーは他にもたくさんあるが、母の想いと20年の思い出が詰まっている分、このピアスは特別だ。

今回のリフォームでさらに愛情をかけたことで、数年のブランクを経て身につけると気分が上がる**「お守りジュエリー」にもう一度生まれ変わったのだ**。

大切なジュエリーを長く愛する方法として、リフォームという選択肢を知れたことは、私にとって大きな収穫だったと思う。

家族の想いを繋ぐためのジュエリーリフォーム


私のように自分のジュエリーのアップデートをするだけでなく、家族の大切なものを継承していく方法としても、ジュエリーリフォームはおすすめできる

30〜40代になってくると、母親や祖母からジュエリーを譲り受ける機会も増えてくるだろう。それを嬉しく思う反面、デザインがクラシック過ぎて身につけにくいものもきっと少なくないはずだ。

資産として家に置いておくだけでも良いのだが、せっかくなら自分の代でも長く愛用したいところ。よっぽどの富豪じゃない限り、譲りたいほどのジュエリーにはそれ相応の想いや家族の歴史が込められている

そんなときにリフォームで、新たな「お守りジュエリー」に生まれ変わらせることができたら、自分だけでなく家族にとっても喜ばしいことに違いない。

ちなみに我が家は、リフォーム後に母へ写真付きで報告したところ「ふーん、良かったねー」と肩透かしな返答だったものの、私が実際につ着けているところを見たときには、「今日もつ着けてるんだね」と、嬉しそうな恥ずかしそうな表情だった。

ジュエリーの形は変わったとしても、愛情を持って長く大切にすることは、それに関わったすべての人を幸せにする行為なのかもしれない。

著者プロフィール

芙司まり子

芙司まり子

モーショングラフィックデザイナー/ビデオエディター。CS放送局・出版社を経て、フリーランスとして活動している。「日々内省」をモットーに、身の回りの出来事から得た気づきを明るい眼差しで綴る。現在は、夫と2匹の猫と、アメリカ東海岸の田舎でかりそめ暮らし中。