【2025年】40代が選ぶべき「クワイエットラグジュアリー」着回し術|1着で3通りのコーデ実例

静かな強さと遊びを両立する2025年のクワイエットラグジュアリー。仕立ての良いジャケットやFuture Duskの色合わせ、サステナブルな着回し術で35–45歳の毎日を格上げ。具体的コーデ例と買い足しガイドで、忙しい大人のワードローブに即効性のある提案。

【2025年】40代が選ぶべき「クワイエットラグジュアリー」着回し術|1着で3通りのコーデ実例

2025年のムードは「静かな強さ」と「遊び」

衣服の平均使用回数は、この20年あまりでおよそ36%減少した──この事実はエレン・マッカーサー財団のレポートで広く知られています[1](同財団の推計は2000–2015年の変化を示します[1])。一方で、再販売やレンタルの選択肢は年々増え[2,3]、買い方も手放し方も更新されました。流行の移り変わりが速く見える時代に、2025年注目のファッションは、むしろ長く着られる視点と、気分を変える小さな冒険のバランスにあります。トレンド分析企業WGSNが示した2025年のキーカラー「Future Dusk」[4]の深い青紫が象徴するのは、日常と非日常の間にある“静かな強さ”。編集部は主要コレクションの傾向と街の気分を読み解き、35–45歳の毎日を心地よく前に進める具体策に落とし込みました。

2025年注目のファッションは、過度なデコラティブから距離を置きつつ、その人の輪郭をはっきりさせるアプローチに移行しています。ベースは端正で、ディテールに遊びがある。いわば“クワイエット2.0”。仕立てのよいジャケットやスラックスと、表情のある素材や色を一点添えるスタイルが軸になります。ランウェイでも街でも、肩の力を抜いたテーラリング、クラフト感のあるニット、そしてレッドやインディゴの差し色が存在感を高めました。手持ち服と矛盾しないのに、たしかに新しい。そんな着地が2025年の空気です。

クワイエットラグジュアリーの“2.0”

「きれいめ=無地・無難」では終わらないのが今年の特徴です。微光沢のウールブレンドやわずかに落ちるショルダー、深めのプリーツといった細部の設計で、着る人の佇まいに深さをつくる。シルエットは直線的すぎず、わずかに流れるラインが鍵です。オフィスにも会食にも馴染むのに、どこか凛とする。ネイビーやチャコールを基調に、ボタンやステッチにメタルのニュアンスを忍ばせると、静けさの中に余裕が生まれます。

クラフト×テックの質感ミックス

手編みのような畝のあるニット、クロシェ風の透け感、レーザーカットのレザーやシワになりにくいテク素材。相反する要素のミックスが2025年の空気を作ります。例えば端正なトラウザーに軽やかなシアーニットを重ねる、ツイードのセットアップにスポーティなフラットを合わせる。素材の対話が全身の緊張を解き、日常に“今”の表情を足してくれます。

レッドとインディゴの存在感

差し色は「レッド」と「インディゴ」が二枚看板。赤は口紅のように気分を持ち上げる強さがあり、ニット、バッグ、シューズの一点でも確かな効果があります。インディゴはウォッシュの表情で季節感を横断し、濃淡のレイヤリングが洗練に直結。Future Dusk系の深い青紫[4]も、グレーやベージュと合わせるだけで印象を更新できます。

明日からできるシルエット更新

トレンドに振り回されずに“いま”へ寄せるなら、最初に触るのはボトムスの線と丈感です。次にジャケットの肩、最後にトップスの素材や首元。順番を決めると迷いが減り、手持ちの服が生き返ります。ワードローブの全体を見渡すなら、編集部のカプセル提案も参考にしてください。構成の考え方は15着でつくるカプセルワードローブにまとめています。

ボトムスは“落ちる線”へ、丈は足元基準で

ワイド一辺倒から、落ち感のあるストレートやインタックのトラウザーへ。膝下丈のスカートは控えめなAラインが便利で、タイツとフラットにもブーツにも振れます。丈は靴で決めるのが2025年の現実解。バレエやメリージェーンなら足首が覗く9.5分、厚底ローファーやブーツなら踵で“乗る”長さがきれいです。デニムは濃色のストレートか、わずかにフレア。腰骨で止まり、ウエストを締め付けないフィットが今の体に優しい選択です。細かな選び方は大人のデニムフィット完全ガイドで詳しく解説しています。

ジャケットは柔らかく、トップスは軽く

肩パッドは控えめ、前振りの袖で可動域に余裕があるソフトテーラードが主役。ボトムスとの段差を小さくすると、上下のバランスが整います。トップスは薄手のメリノや強撚コットン、繊細なシアーを重ねて厚みを作ると、体のラインを出しすぎずに今っぽく。カーディガンは短め丈で腰位置を上げ、ロングジレで縦を強調するのも有効です。クローゼットの棚卸しは30分クローゼットデトックスをガイドに、今季活躍する形だけを残してみてください。

色と素材で“いま”に寄せる小さな投資

大掛かりな買い足しをしなくても、色と素材を一つずつ足すだけで印象は変わります。ベースはネイビー、グレー、エクリュ、黒。この安定色に、レッド、インディゴ、深い青紫、シルバーを少量だけ。素材はソフトウール、さらりとしたトロピカルウール、肌から離れるシアー、そしてメタルの鈍い艶を帯びた小物。手持ちのベーシックを土台に、新しい要素を“ひと匙”だけ混ぜるのがコツです。

ベース×差し色の配合で失敗しない

色の成功率を上げる近道は、配合をルール化すること。全身の7割をベースに、残りを差し色とニュアンスで構成するとバランスが崩れません。例えば、チャコールのジャケットとパンツに、白Tと赤いフラット。あるいはネイビーのワンピースに、インディゴのデニムシャツを肩掛けして、耳元にシルバー。顔周りの似合う色が不安なら、大人のパーソナルカラーQ&Aでベースの見直しから始めましょう。

小物は“メタル×フラット”でアップデート

靴とバッグの更新はコスパが高い領域です。バレエ、メリージェーン、厚底ローファーといったフラット系の快適さが、2025年の端正な装いにちょうどいい抜けをつくります。シルバーやガンメタのアクセサリー、バックルの艶、レザーの微光沢が、静かな全身にだけ響く“音”になります。メイクはリップラインを少しだけ強く。赤みのある色を日常に入れると、服のレッドとも呼応して一体感が出ます。

無理なく続く選び方──予算と持続可能性

長く着たいからこそ、手に入れる前に出口も考える。背景として、大量生産・大量消費やライフサイクルの短期化により廃棄が増加していることが国内外で指摘されています[5]。例えば、2000年から2014年にかけて平均購入量は約60%増、所有期間は半減し、衣料品の約85%が廃棄、世界では毎秒ごみ収集車1台分が焼却・埋め立て処分されているとのデータがあります[2]。人気の定番色・定番形はリセールで次の人へ渡しやすく、心が離れた時に“循環”できます[3]。一方で、季節限定のトレンドはレンタルで体験して十分という選択も合理的[2]。丈直しやウエスト調整といった小さなお直しを味方にすれば、体の変化があってもお気に入りを延長できます。予算設計のヒントは賢いファッション予算の組み方で具体例を紹介しています。

2025年注目のファッションに共通するのは、気分と実用のちょうどいい交差点を探す姿勢です。買う前にワードローブの地図を描き、ベースを整え、最後に小さな冒険を足す。たったそれだけで、明日の鏡の前に迷いは減ります。

まとめ──“静かな強さ”を味方に、明日の一歩へ

気負いのないテーラリング、クラフト×テックの質感、そしてレッドとインディゴの差し色。2025年注目のファッションは、派手さではなく確かな更新で日常を軽くします。まずはクローゼットから赤い小物をひとつ見つけてみる。次にボトムスの丈を靴に合わせて調整する。そして、柔らかな肩のジャケットを一度羽織って鏡に向かう。たった数分の見直しが、週明けの気分を静かに底上げします。あなたの“いま”に合う一歩は、どこから始めますか。関連記事のガイドも開きながら、自分のペースで確かめていきましょう。

参考文献

  1. Ellen MacArthur Foundation. Fashion and the circular economy: Deep dive. https://www.ellenmacarthurfoundation.org/fashion-and-the-circular-economy-deep-dive
  2. 日本貿易振興機構(JETRO). 米国における中古衣料市場・ファッションレンタルの動向(Thredup Resale and Impact Report 等の紹介). 2022-02-01. https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2022/0201/0a57c90175aa4216.html
  3. World Economic Forum. 5 ways the circular economy will transform your fashion habits. 2022-01. https://www.weforum.org/agenda/2022/01/5-ways-the-circular-economy-will-transform-your-fashion-habits/
  4. Botha F. Future Dusk: The 2025 color that bridges spaces, generations and wealth. Forbes. 2025-01-12. https://www.forbes.com/sites/francoisbotha/2025/01/12/future-dusk-the-2025-color-that-bridges-spaces-generations-and-wealth/
  5. 環境省. サステナブル・ファッション(Sustainable Fashion). https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。