インテリアの要は「色」。メイクに例えて解説してみよう

部屋の印象を左右する色選びは、メイクと似ています。顔の血色を整えるように、インテリアの色も空間の雰囲気と心地よさを演出するのです。

インテリアの要は「色」。メイクに例えて解説してみよう

メイクとインテリアの色使いにおける考え方は、実は全く同じことだとご存じですか?今回の記事では、インテリアにおける色の役割や選び方をわかりやすく解説します。

メイクとインテリアの色使いの役割

私たちが毎朝、鏡の前で行うメイク。それは単なる習慣ではなく、自分らしさを表現し、1日を前向きに始めるための大切な儀式です。

ファンデーションで肌を整え、チークで血色を足し、アイシャドウで目元を引き立て、リップで印象を完成させる。メイクにおける色使いには、目的があり、意味があります。

実は、インテリアにおける「色」も、まったく同じ。部屋を美しく見せ、住む人の個性や気分を反映させるために、計算された色彩のバランスが求められます。

「ベースカラー」はファンデーション──空間の肌を整える役割

メイクの基本はファンデーション。肌の色を均一に整え、全体の印象を清潔感あるものに仕上げてくれます。インテリアにおいてのファンデーションにあたるのが、「ベースカラー」です。

「ベースカラー」とは、空間全体の60〜70%を占める色で、主に壁や天井、床などの大部分に使われます。この色が空間の「肌」になります。

例えば、ナチュラルなホワイトやベージュ、明るいグレーなどは、どんな家具やアクセントとも馴染みやすく、ベースカラーに最適。逆に暗すぎたり、主張が強すぎる色をベースにすると、メイクで言えば厚塗り感や不自然さが出てしまいます。

ポイント

ベースカラーは「無難」でいいのです。むしろ無難であることが、次に加える色たちを引き立てる“舞台”となります。

「アソートカラー」はチークやアイシャドウ──雰囲気をコントロールする色

メイクでは、チークやアイシャドウを使って、顔の立体感や血色感、印象の方向性を調整します。ピンク系なら可愛らしく、ブラウン系なら大人っぽく、オレンジなら元気な印象に。インテリアにおける「アソートカラー(配合色)」も、まさに同じ役割を果たします。

アソートカラーは全体の20〜30%を占め、カーテン、ソファ、ラグ、収納家具などに使われます。この色の選び方によって、部屋の雰囲気が劇的に変わります。

たとえば、同じベージュの壁でも、ブルーグレーのソファを置けばクールで落ち着いた空間に。マスタードイエローのチェアなら明るくポジティブな印象に。くすみピンクのカーテンなら、柔らかく女性らしい空間に仕上がります。

ポイント

アソートカラーは「方向性」を作る色。どんなムードの空間にしたいかを考えて選びましょう。

「アクセントカラー」はリップ──印象を決める主役の色

メイクの仕上げに欠かせないのがリップ。どれほどナチュラルメイクでも、赤いルージュを引くだけで一気に華やかになったり、逆にベージュでまとめるとシックに仕上がったりします。

これはインテリアでも同じ。アクセントカラーは空間の印象を一気に決定づける、「主役」の色です。

アクセントカラーは全体の5〜10%程度に抑えるのが理想的。クッションやアート、照明器具、小物などに取り入れます。このわずかな色の選び方ひとつで、「おしゃれな部屋」に見せられるかどうかが決まるといっても過言ではありません。

たとえば、ベージュとホワイトで統一した空間に、ビビッドなグリーンの観葉植物や、マットなブラックのフロアランプを加えると、それだけで空間にメリハリが生まれ、スタイリッシュな印象に変わります

ポイント

アクセントカラーは「遊び心」を入れる場所。トレンドカラーを取り入れても失敗しにくく、季節ごとの模様替えにも最適です。

メイクと同じ、色の「バランス」

ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、インテリアの色の構成は、まるでメイクの手順そのもの。ベース、アソート、アクセントという3つの色をバランス良く使うことが、洗練された空間を作るコツなのです。

この色の配分は「6:3:1の法則」と呼ばれることもあります。

ベースカラー(ファンデーション)…全体の60%

アソートカラー(チーク・アイシャドウ)…30%

アクセントカラー(リップ)…10%

この割合を意識するだけで、不思議と空間が整って見えるようになります。逆に、アクセントカラーが多すぎると派手すぎて落ち着かず、アソートが弱いと単調な印象に。これは、メイクでリップが濃すぎたり、チークがなさすぎたりしたときと同じです。

季節や気分で「色を変える」楽しみ

メイクも、季節や気分によって色を変えますよね。春はピンク系、夏は爽やかなブルーやオレンジ、秋はブラウンやボルドー、冬は深みのあるレッドやネイビー。

インテリアも同じく、季節感や気分に合わせて「色」を変えることで、日常に新鮮さや心地よさをプラスできます。

もちろん壁紙や大型家具を頻繁に変えるのは難しいですが、クッションカバーやブランケット、フラワーベース、小物類など、アクセントカラーの部分を中心に変化をつけるだけでも十分。

「夏は白×ブルーで海辺のような爽やかさに」

「冬はグレー×ボルドーで温かみを」

こんなふうに、メイクのカラーパレットを選ぶような感覚で、インテリアの色遊びを楽しむことができます。

自分らしい「パーソナルカラー」を見つけよう

パーソナルカラー診断が流行しているように、自分に似合う色は人それぞれ。インテリアにも、自分が「心地よい」と感じる色が存在します。流行やSNSの写真に流されず、「この色に囲まれていると落ち着く」「元気になれる」という感覚を大事にしてください。

メイクにおいて、肌色や雰囲気に合わないリップは浮いてしまうように、インテリアでも自分に合わない色はしっくりこないもの。まずは、小物やファブリックから、自分らしい色を試していくのがおすすめです。

おわりに。色は「感情」と直結するインテリアの鍵

メイクをすると気分が上がるように、部屋の色が整うと暮らしの質も自然と上がります。色は単なる装飾ではなく、自分を映し出す方波見のようなもの。

どんな色に囲まれて過ごしたいか、どんな自分でいたいか。それを意識しながら、インテリアの色選びを楽しんでみてください。

著者プロフィール

fumi

fumi

1982年生まれ。インテリアコーディネーター。毎日の暮らしが豊になるコツをご紹介。二宮工務店に所属。プライベートでは1児の母。趣味は美容院巡り、料理、お酒、模様替え。