30代・40代が知らない「PREP」で英語プレゼンが劇的に変わる3ステップ

「伝わる」を優先する英語プレゼン術。PREPで結論→理由→例を3ステップで整理し、短い一文と図で根拠を示す。緊張対策や冒頭フレーズ、質疑応答例まで実践的に紹介。冒頭の一言(

30代・40代が知らない「PREP」で英語プレゼンが劇的に変わる3ステップ

英語プレゼンの現実と心構え:完璧より「伝わる」を優先

完璧な文法やネイティブの発音を目指すほど、話すスピードは不自然に落ち、メッセージがぼやけます。編集部が伴走したケースでも、文法の微調整に時間を費やした発表より、一文を短く、キーワードを繰り返し、根拠を1枚の図で支えた発表のほうが理解と共感を得ていました[3]。大事なのは、「今日は何を持ち帰ってもらうのか」を1行で言えることです。試しに、冒頭で次のように置いてみてください。“Today, I have one key message: [結論].” そのあとに理由と具体例を続ければ、英語の滑らかさに自信がなくても、聴き手は道に迷いません。

もうひとつ、緊張を和らげる技があります。発表の最初に、“English is not my first language, so please feel free to ask for clarification.” と添えることです。これは逃げではなく、理解に向けた合図です。聴き手が質問してよい雰囲気をつくると、あなた自身の肩の力も抜けます。間違いを訂正したいときは、“Let me rephrase that.” と言ってから言い直せば十分です。プレゼンは「間違えない競技」ではなく、合意に近づくための対話だからです。

「PREP法」を英語に移植する

日本語のビジネス文章でおなじみのPREP(Point, Reason, Example, Point)を、そのまま英語で使うと設計が一気に楽になります。始めに結論として、“Our recommendation is to launch a pilot in Q3.” と言い切り、理由を “Because early user feedback reduces risk and cost.” と示し、具体例を “For example, our last pilot cut rework by 30%.” と続け、最後に “So, we propose to start with two markets.” と締める。この流れを各セクションに適用すれば、聴き手は迷いません。

シグナルを仕込む:先回りの合図言葉

英語の流暢さに頼らない代わりに、聴き手の注意を誘導する合図言葉を各所に置きます。始まりには、“Today, I will cover three points: background, results, and next steps.” と道順を示します。話の転換では、“Moving on to the results,”“Now, let’s look at the timeline.”、強調したいときは “This is important because…”、まとめに入るときは “To summarize,” といった具合です。合図を口に出すと、自分自身のペースメーカーにもなり、早口を防ぐ効果もあります[3]。

伝わる構成と言い回し:冒頭・核・締めを作り込む

冒頭の30秒は、英語の出来より構図で差がつきます。場を整える挨拶に続けて、目的、約束する価値、全体像の順に置くと、聴き手の頭が準備モードになります。例えば、“Good morning. I’m [Name] from [Team]. Our goal today is to decide the scope for Q3. In the next 15 minutes, I’ll share key findings and a proposal.” と始めれば、何を聞けばいいかが明確です。相手が上層部なら、時間を先に伝えるひと言(“This will take 15 minutes.”)が効きます。

核の部分は、1メッセージ1スライドを守ると読み手の視線が迷いません。英語は短文に分解し、主語-動詞-目的語をはっきり置きます。たとえば日本語で「この施策はユーザー満足度を押し上げ、チャーンを下げ、LTVを高める見込みです」と言いたいとき、英語では “This plan increases satisfaction, reduces churn, and lifts LTV.” と、同じリズムで三拍子を並べると記憶に残ります。数値の根拠は、“based on” と組み合わせると自然です。“Based on the last two cohorts, conversion rose by 12%.” のように、出どころを添えましょう。

締めと呼びかけ:次のアクションを埋め込む

締めは「よろしいでしょうか?」では終わりません。合意してほしい具体を言語化し、期日か人を伴わせます。“We request your approval to start the pilot this month, with the first review on Oct 15.” のように、動詞は request/approve/decide など意思のある言葉を選びます。時間が押しているときは、“In the interest of time, let me jump to the key decision.” と舵を切り、要点に合流しましょう。

準備とリハーサル:短く回す、録音する、直す

準備に終わりはありませんが、際限なく時間を吸われるのも現実です。編集部で推しているのは、**「15分×3回の集中リハ」です。最初の回は、台本を見ながら全体を通して口に出します。発音が気になる語には下線を引き、カタカナではなく音節で区切ってメモを残します。二回目は、スライドのノート欄に「見出し英語」**を1行ずつ書き、文章ではなくキーワードの並びにして読み上げます。例えば、“Goal – decide scope / Three options / Cost & risk / Proposal” のように、視線を落とす時間を最小化します。三回目は録音し、噛んだ箇所と沈黙の長さをチェックします。自分の声は残酷な先生ですが、最短で改善点を示してくれる相棒でもあります。

話す速さは、オンラインであれば1分あたり120語前後を目安に落ち着かせると聞きやすくなります[4]。詰まりそうなら、“Let me pause for a second.” と言って間を作って構いません。呼吸は、文の切れ目で鼻から静かに吸い、言い切りで吐ききると声が安定します。手元には水を置き、乾燥に備えましょう。スタンディングなら、足は肩幅、片足に体重をかけすぎない。座りなら、背もたれに預けすぎず、椅子の前半分に座ると呼吸が入ります。オンラインでは、カメラの位置を目線の高さに揃え、窓の光を正面から受けるだけで印象が整います。

原稿は「書く」から「削る」へ

最初は全文を書いてOKです。そこから、1文15語以内を意識して削っていくと、言いよどみが減ります。長い関係代名詞は、文を分けるだけで理解が進みます。例えば、“We chose plan A, which is cheaper and faster” を、“We chose plan A. It is cheaper and faster.” と二つに割るだけで、口がまわります。数値は、“about”“roughly”“around” の緩衝材を持っておくと、その場での微調整が楽になります。

スライド、質疑、文化差:当日のつまずきを前処理する

スライドは、英語の文章を詰め込むほど読み手の負担が増えます。見出しを**「結論の文」**にし、本文は3行以内に抑えるつもりで作ると、話す内容との役割分担ができます。図表は、強調したい線や柱だけ色を変え、凡例は英語でも短く。単位はスライドの右上に置くと迷いません。フォントは癖のないサンセリフにして、サイズは会議室の後方からでも読める大きさに。オンラインなら、共有時の圧縮で文字がつぶれないかを事前確認しておきます。

質疑は、想定問答集をつくるより、「受け止め→要点化→答える→確認する」の流れを体に入れるほうが応用が利きます。まず、“Thank you for the question.” と受け止め、要点を “If I understand correctly, you are asking about the cost impact.” と言い換えます。答えが長くなりそうなら、“There are two parts to this.” と枠を示し、簡潔に返します。最後に、“Does that answer your question?” と確認すれば、追加の深掘りが自然に続きます。わからないときは、“That’s an important point. Let me check the data and get back to you by Friday.” と期限つきで約束すれば信頼は下がりません。

文化差への配慮:沈黙、否定、合意形成

国や組織によって、沈黙の捉え方や否定の強さは違います。英語圏でも、沈黙は「考えているサイン」と受け止められることが多いので、黙ってスライドを指す数秒は気にしすぎなくて大丈夫です。反対意見が出たときは、“I see your point.” と関心を示し、“From our side, the risk is…” と主語を we ではなく our side に置くと角が立ちにくくなります。合意が必要な場では、“What would make this a yes for you?” と条件を引き出し、次の一歩へつなぎます。

忙しい日常に組み込むミニ習慣

プレゼン直前だけ英語に触れるのではなく、日常に小さな習慣として組み込みます。朝の10分で、前回のスライド見出しを英語で言い直してみる。移動中に、過去の自分の録音を1倍速で聞いて「詰まった箇所」をメモする。会議の議事メモを、英語の動詞から書き始める練習をする(“Decide scope”, “Review timeline” のように)。この積み重ねが、当日の落ち着きを支えます。継続のコツは、成果ではなく行動を記録すること。打刻のように「10分やった」と残すだけでも、自信は蓄積されます。

まとめ:英語のうまさより、意志が届く設計を

英語でのプレゼンは、完璧主義と現実の間で揺れるテーマです。だからこそ、今日できる一歩を小さく具体にしましょう。まず、冒頭の30秒を書き出し、声に出して録音してみる。次に、合図言葉を3つ選んでスライドのノートに入れる。最後に、締めの1行を意思のある動詞で言い切る。これだけで、あなたのプレゼンは「情報の報告」から「合意をつくる対話」に変わり始めます。

流暢さは目的ではなく結果です。伝わる構成、使えるフレーズ、短いリハーサルという地に足のついた仕込みを続ければ、必要な英語はあとからついてきます。次の会議で、ひとつだけでも取り入れてみませんか。あなたの意志が、英語という媒介を超えてきちんと届くことを、編集部は知っています。

参考文献

  1. Fear of Public Speaking (FoPS) — Review article. National Center for Biotechnology Information (NCBI).
  2. 第二言語読解における認知的負荷に関する研究(日本人中級英語学習者を対象). 認知心理学研究(J-STAGE).
  3. Meta-analysis on signaling in multimedia learning and its effects on comprehension and recall. PubMed.
  4. Effective narrated presentations: pacing, segmentation, and design tips. Oregon State University Ecampus.

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。