30代40代なら知っておきたい!災害時に10秒で避難できる防災用品の置き方

非常袋が役に立つかは置き場所次第。編集部が「10秒ルール」と重い物の低位置固定、劣化対策で玄関・寝室・トイレごとの最適配置と点検習慣を具体的に解説します。今すぐチェックを。

30代40代なら知っておきたい!災害時に10秒で避難できる防災用品の置き方

防災用品は「場所」で機能する:収納の基本原則

防災用品の選び方は多く語られてきましたが、収納は意外に語られていません。編集部が重視したのは、取り出しの速さ、安全性、劣化しにくさの三つの視点です。まず取り出しの速さについては、暗闇や動揺のなかでも扱えるよう**「10秒ルール」**を置き場所の基準にします。具体的には、非常用持ち出し袋は玄関か玄関近く、懐中電灯とスリッパは寝室のベッドから手を伸ばして届く位置、トイレ用品はトイレ内またはドアすぐ外に置いて、思考が追いつかなくても体が動く距離に収めます。

次に安全性です。大きくて重いものは低い位置に固定します[3]。水の段ボールはクローゼット床面やベッド下、玄関の土間などが候補になります。高い棚や冷蔵庫の上、電子レンジの上に重い荷を置くと、地震で落下して通路を塞いだり怪我の原因になります。家具の転倒や中身の飛び出しを前提に、出入り口や避難経路の上方にはなるべく物を置かない発想が安全です[3,4].

最後に劣化対策です。食料や乾電池、カセットボンベなどは直射日光と高温多湿を避け、温度変化が少ない場所に置くと長持ちします[5,6]。ベランダや屋外収納は温度変化が大きく雨風の影響もあるため、やむを得ない場合を除けば屋内を優先しましょう[5]。ローリングストックを採用するなら、キッチンの普段の収納と統合し、古いものが手前に来るよう流れを作っておくと、賞味期限切れを防げます。ここまでの原則を押さえたうえで、生活空間ごとに最適な収納場所を検討します。

間取りと動線で考える:家のどこに置くか

玄関周り:外へ出るための“起点”

非常用持ち出し袋は、玄関のシューズボックス下段や土間、廊下の突き当たりなど、外に出る動線上に置くと素早く持ち出せます。扉を開け閉めするスペースでもあるため、体に当たらない位置と高さを選び、家族一人ひとりが肩に掛けられる重さに調整します。玄関ドアの内側に磁石でつく小型ライトを設置すると、停電直後の暗闇でも照明を確保しやすくなります。車のキーや現金の小袋も、持ち出し袋のポケットに入れておくと探し回る手間を減らせます。

寝室:最初の10秒を守る場所

就寝中に地震が来るケースを前提に、寝室はガラス片から足を守るスリッパ、懐中電灯、携帯型ラジオ、ホイッスルをベッドサイドにまとめます。頭側の低い位置にフックを付けて、袋やヘルメット、防災ずきんを吊るしておくと、床が散らかっても手が届きます。加えて、持病薬や常備薬、眼鏡や補聴器など“自分にしか分からない必需品”は、ベッドサイドの小箱にまとめておくと安心です。家族に知らせたい連絡先や服薬情報は、耐水のメモにしてその小箱と持ち出し袋の両方に入れておくと、どちらかが手元になくても困りません。

リビング・廊下・クローゼット:かさばる物の受け皿

水や主食類、簡易トイレ、紙製品、カセットボンベなど、体積の大きな備蓄は床に近い低所での分散収納が機能的です。クローゼットの床面にフタ付きコンテナを置き、水は箱ごと薄型の台車に載せると掃除や模様替えのときも動かしやすくなります。廊下のデッドスペースにはスリムな収納を設け、簡易トイレやウェットティッシュ、ビニール袋をまとめておくとトイレ詰まりにもすぐ対応できます。紙類は湿気を避けて密閉し、押し入れの上段よりも下段に置くと落下リスクも抑えられます。

キッチン:ローリングストックを生活に組み込む

非常食だけを別の箱にまとめると、日常から切り離されて賞味期限切れが起きがちです。キッチンの常備棚に普段食べる食品と非常食を同じ“列”に並べ、使ったら買い足す流れを作ると管理が楽になります。経口補水液やゼリー飲料など温度変化に弱いものは、冷蔵庫の一定の場所に定位置を作ると探しやすく、家族も認識しやすくなります。カセットボンベは直射日光や熱源を避け、コンロから離した低い場所に保管し、使用後のボンベは完全に使い切ってから自治体のルールで処分します。

トイレ・洗面所:衛生と水の不自由にそなえる

断水や排水の停止は想像以上にストレスになります。簡易トイレと凝固剤、消臭材はトイレの棚に“ひと塊”で置き、ドアの内側やすぐ外の収納にトイレットペーパー、ゴミ袋、ウェットティッシュ、使い捨て手袋をまとめておくと、夜間でも迷いません。水の代替としてペットボトルの洗い水を数本、洗面台の下に置く方法もありますが、漏水リスクがあるシンク下は避け、洗面所の床置きや棚の低段を選ぶほうが安全です。

ベランダ・屋外:置けるが、優先度は低い

ベランダは高温多湿と直射日光、雨風の影響で劣化しやすく、避難経路でもあります。収納庫を置く場合は最小限・低所・防水を徹底し、避難を妨げないレイアウトに。カセットボンベや電池、食品は屋内保管に切り替え、屋外はポリタンクや作業用軍手など、屋内に置きにくいものに絞ると管理が楽になります[5,6].

アイテム別:最適な収納場所と劣化を防ぐコツ

水と食料:重さと回転を味方に

水は一人1日3リットルが目安です[2]。家族人数と日数を乗じると相当な重量になるため、クローゼットの床面やベッド下、玄関土間のような低くて涼しい場所が適しています。箱のまま積むより、薄型台車やキャスター付きコンテナに乗せると掃除も補充も負担が減ります。食料はキッチンの普段の棚で回転させるのが管理しやすく、箱を二つ用意して「開封中」と「未開封」に分けておくと家族にもルールが伝わります。賞味期限は箱の外側に大きく書き、スマホのカレンダーに次の点検日を入れておくと、うっかりを防げます。

ライト・電源:寝室と玄関に“二重化”

停電直後はまず照明です。片手がふさがっても使えるランタン型を寝室の枕元に、ペンライト型を玄関に設置すると、暗闇の移動と外出の両方に対応できます。モバイルバッテリーはPSEマーク付きのものを選び、直射日光を避けて通気の良い棚に保管します。ポータブル電源は満充電での長期保管を避け、取扱説明書に沿って定期的に再充電し、可燃物から距離を取った低い位置に置くと安心です。延長コードや分配器もあらかじめ同じ箱に入れておくと、探し回る時間を減らせます。

衛生・トイレ:家族の人数ぶんを“分散収納”

簡易トイレは、トイレの棚とクローゼット床面の二箇所に分けて置くと、どちらかが使えない状況でも対応できます。ウェットティッシュ、アルコール・ノンアルコールの手指衛生用品、マスク、生理用品、乳幼児のケア用品は、家族構成に合わせて個別の小分け袋にしておくと配布が速くなります。香りの強すぎるものは閉め切った室内で負担になることもあるため、無香タイプを選ぶと安心です。

医薬品・重要書類:小さくても“強い”パッケージに

常備薬や処方薬は、種類ごとに分けるのではなく“1日分セット”にして数日分を作り、寝室の小箱と持ち出し袋の両方に入れます。処方箋の控え、保険証のコピー、本人確認書類、連絡先リストは耐火・防水のポーチにひとまとめにし、持ち出し袋の上層に。ペットがいる家庭は、フードやトイレ砂、予防接種記録も同じ考え方でポーチや小袋にまとめておきます。

防寒・衣類・靴:サイズと季節を“更新”

毛布やポンチョ、レインウェア、替えの下着と靴下は、各自のサイズで年に一度は見直します。子どもの成長や体重変化で合わない装備は使えません。圧縮袋は省スペースに役立ちますが、圧縮したまま長期放置すると劣化する素材もあるため、シーズンごとに空気を入れ替えると良い状態を保てます。非常用の靴は、玄関の下段につま先を保護できるタイプを置き、寝室にもスリッパとは別に簡易シューズを用意すると、ガラス片や瓦礫の上も移動しやすくなります。

狭い家でも増やさない:暮らしに溶け込む収納運用

“見せる”と“隠す”のバランスを決める

防災用品を全部隠そうとすると、取り出しが遅くなりがちです。毎日触れるものは見える位置に置き、かさばる補充品は隠すと決めるだけで、家の印象はすっきりします。例えば、寝室のライトはインテリアになじむ色を選び、玄関の持ち出し袋は布カバーで目隠ししつつ手が届く位置に。クローゼット床面のコンテナは、服の色に合わせてラベルを統一すると圧迫感が薄れます。

分散収納で“一箇所ダメでも残る”仕組み

備蓄を一箇所に固めると、家具の転倒や扉の歪みでアクセスできないリスクが高まります。玄関・寝室・リビング・トイレなど複数の部屋に、小分けで配置する発想に切り替えると、どれかが使えなくても生活が止まりません。重要なのは、家族全員がどこに何があるかを知っていること。週末に5分だけ、家の中を一緒に歩いて場所を確認するだけでも、緊急時の迷いは減ります。

期限と点検を“日常の習慣”に

備蓄の点検は年2回、防災週間と年明けの時期に合わせると続けやすくなります。方法はシンプルです。玄関、寝室、キッチン、トイレの順に歩きながら、ライトは点くか、電池は液漏れしていないか、食品は回転できているか、持ち出し袋は重すぎないかを確認します。次の休日に補充できるよう、足りないものはメモして帰り道のスーパーで買い足すだけでも十分です。忙しければ、まず寝室のスリッパとライトだけ、翌週に水の箱、というふうに小さく進めても変化は積み上がります。

在宅避難を想定した“量の目安”を自分の家に落とす

水と食料は最低3日、できれば7日分が目安ですが[2]、住んでいる階や家族構成で最適解は変わります。高層階は断水やエレベーター停止の負担が大きいため、水を多めに。乳幼児や高齢者、持病のある家族がいる場合は、普段の食事や薬、ケア用品を優先的に多めに確保します。ペットがいるなら、フードやトイレ砂を人と同じく“7日分”の発想で考えると安心です。数字に縛られるより、暮らしに合う量を把握し、収納場所に無理なく収めることが継続のコツです。

参考文献

  1. NHKニュース 防災特集「首都直下地震 発生確率は今後30年間に70%」 https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/natural-disaster/natural-disaster_14.html
  2. 内閣府 防災情報「平時の備え(最低3日分、推奨1週間分の備蓄 ほか)」 https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h28/83/news_01.html
  3. 総務省消防庁「家具の転倒防止等 倒れにくくする原則(重い物ほど下に)」 https://www.fdma.go.jp/publication/database/kagu/post8.html
  4. 東京消防庁「家庭内の地震対策(家具の配置・固定のポイント)」 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/kaguten/measures_house.html
  5. 自動車保険の窓口「非常食の適切な保管場所(直射日光を避け、温度・湿度が低い場所)」 https://www.jihoken.jp/mado/cat3/640/
  6. 亀長プランニング「非常食の適切な保存方法(保管時の注意点)」 https://kamechu.co.jp/column/%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E9%A3%9F%E3%81%AE%E9%81%A9%E5%88%87%E3%81%AA%E4%BF%9D%E5%AD%98%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%AF%EF%BC%9F%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%99%E3%82%8B%E9%9A%9B%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3/

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