40代女性が10年の経験を月10万円に変える|副業コンサル90日スタート術

35〜45歳女性が副業で始めるコンサル起業の核心:10年以上の実務経験を収益化する方法、最初の90日計画、価格・契約・時間管理と税務の実務ポイントを簡潔に解説。すぐに実践できるチェックリスト付きで、無理なく小さく稼ぐ第一歩を踏み出せます。

40代女性が10年の経験を月10万円に変える|副業コンサル90日スタート術

コンサルティング起業が副業から始めやすい理由

総務省「労働力調査」では、複数就業者が直近でおおむね約300万人規模に達しています[1]。2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定し副業・兼業を後押しして以降[2]、実務職や専門職の「知見を活かす働き方」が広がりました。編集部が国内外の公開データを確認すると、経験や判断を価値に変える領域ほど在宅・短時間での提供が進み、発注側も成果ベースを志向しています[3,4]。きれいごとだけでは続かない現実もありますが、35-45歳の「ゆらぎ世代」が積み上げてきた10年超の実務経験は、そのまま“相談に乗る力”=コンサルティングの核です。

専門用語で言うコンサルティングは「課題の特定から意思決定と実行支援までを伴走する仕事」。ただ、日常語に置き換えれば「相手の困りごとを、一緒に地図化して道筋を示すこと」です。資本を大きく要しない、在庫も不要、オンラインで完結しやすい――こうした特徴が、副業からの小さな起業に向いています。

最大の理由は初期投資がほとんど要らないことです。必要なのは、これまでの実務で培った「どの手順を踏めば、どんな落とし穴を避けられるか」という生活者目線の知恵と、クライアントが迷わないように選択肢を整理する編集力。スライド数枚と60分の対話からでも価値は生まれます。移動を伴わず、夜間や早朝の時間帯に稼働できる点も家庭や本業と両立しやすい理由です。

35-45歳の強みは、個人のスキルだけでなく、現場で磨かれた判断基準と関係調整力にあります。例えば、経理・人事・広報といったバックオフィス系、EC運営や法人営業の実務、IT導入や業務改善の担当、マネジメント経験。これらは企業の中小規模領域でそのまま不足しがちな知見です。「一度やったことがある人」に短時間で伴走してほしい――副業案件の発注背景はたいていそこにあります。

法令や規程の観点でも、副業としてのコンサルティングは整えやすい部類です。会社の就業規則で副業可否を確認し、利益相反にならない領域を選び、守秘義務を明確にする。連絡手段や稼働時間帯、データの取り扱いを事前に合意し、成果物の範囲を文字に落とす。こうした基本を押さえれば、勤務先とぶつからない設計にしやすいのが特徴です[2]。また、企業側の運用も徐々に進みつつあり、調査では「副業・兼業を許可(検討含む)」する企業が約19%との報告もあります[5]。

「経験・関係・判断」を商品に変える視点

スキルの羅列では売れません。相手の「困っている具体」を一文で言い切ることが出発点です。例えば「採用広報を始めたいが、何から着手すべきかわからない」「ECの在庫・発注が場当たりで、欠品と過剰が続く」「営業資料が刺さらず、受注率が伸びない」。この一文に、あなたの経験がどう役立つかを接続します。対応できる範囲とできない範囲を同時に明確化し、60〜90日で変化が実感できる単位に切り出すと、初対面でも合意しやすくなります。

会社と両立するための設計

平日夜・早朝・週末のいずれに稼働するかを先に決め、家庭行事や本業の繁忙期をカレンダーに固定化します。打ち合わせは原則30分、資料は1枚。チャットは即レスではなく「24時間以内」「緊急は電話」といった運用ルールを最初に共有しておくと、無理が積み上がりにくくなります。副業では「やらないこと」を決める勇気が品質を守ります。

最初の90日:最小サービスを設計し、検証する

はじめに棚卸しを行います。肩書ではなく、具体的な成果で思い出してください。たとえば「請求から入金までのリードタイムを20%短縮した」「新人育成のオンボーディング資料を刷新し、定着率が上がった」「Shopアプリのレビュー改善で平均評価を3.4から4.2に上げた」。数値で語れる体験は、そのまま説得力です。数値化が難しいときも、期間・関係者・前後比較など、変化の輪郭を言語化すると伝わります。

次にターゲットを一つに絞ります。業種や企業規模、担当者の役割まで具体化し、相手の一日を想像して「朝いちで開く画面は何か」「最終承認者は誰か」「今月のKPIはどれか」を仮説化します。その仮説から、提供価値の最小単位を決めます。例えば「60分の壁打ち×3回でロードマップを作る」「週2時間×4週で運用の型をつくる」「既存資料を診断し、改善案の雛形を納品する」。ここまでをA4一枚の提案にまとめ、価格とスケジュール、成果物の定義、責任範囲、守秘義務、支払い条件を明記します。

価格は「時間×単価」ではなく「成果とリスク」で考えるとブレにくくなります。公開されている副業案件を眺めると、短時間の専門相談で数千〜数万円、継続伴走なら月数十万円のレンジが見られます。初回は検証の意図も込め、明確な成果が提示できる範囲で無理のない線を引きます。重要なのは割引ではなく、スコープの調整で価値とリソースの均衡を保つことです。

ここまで整ったら、小さく打席に立ちます。既存の知り合いに営業しづらい場合は、匿名化したナレッジ発信から始めるのも現実的です。ノウハウ断片やチェックリスト、簡単な診断チャートをSNSや個人サイトに置き、相談の導線を一本に集約します。問い合わせが来たら、最初の30分はヒアリングに徹し、現状・目標・制約の三点を整理し、提案の当否をその場で率直に伝えます。合わない案件は断ることが、長く続けるためのいちばんのリスク管理です。

提案・契約・オンボーディングの勘所

提案は簡潔に、A4一枚で十分です。背景と課題、アプローチ、アウトプット、体制と役割、スケジュール、費用と支払い条件、秘密保持、キャンセルポリシーを記し、相手が社内決裁に回しやすい形式にします。契約は見積・業務委託契約・秘密保持契約の三点セットが基本です。オンラインでの締結を想定し、署名フローやPDF運用、ファイル保存のルールを先に合意すると後が楽になります。キックオフは「目的・役割・成功条件・意思決定の方法・コミュニケーションルール」を確認し、週次の小さな合意を積み上げます。

納品後は必ず振り返りを行い、良かった点・改善点・次の一歩を双方でまとめます。成果を外部に出せない場合も多いので、匿名化した学びを自分のドキュメントに蓄積していくと、次の提案の質が上がります。

受注の導線を整える:信頼のつくり方

売り込みより「見つけてもらう設計」が持続します。まずは1ページのポートフォリオを用意しましょう。提供できるテーマ、過去の成果の要約、支援スタイル、価格の目安、実施までの流れ、問い合わせ先を一枚に凝縮します。可能なら、数値で示せる事例を二つだけ短く添えます。肩書は「◯◯コンサルタント」よりも「◯◯の現場を整える人」のほうが相手の記憶に残ります。

発信は「知っていること」より「役立つ順」に並べます。FAQ形式でよくある誤解を解き、最短で使えるテンプレートやチェック項目を公開します。検索の入口を意識して、記事タイトルに相手の言葉を使い、見出しに具体語を置くと、必要な人に届きやすくなります。より詳しい始め方やセルフブランディングの考え方は、NOWH内の関連記事(副業の始め方・はじめの一歩、等身大のセルフブランディング術、フリーランスの税金入門、1ページ・ポートフォリオの作り方)も参考になります。

直接提案の文面は、相手の時間を奪わない構造にします。何者か、相手の現状理解、提案の着地点、負担の小ささ、次の一歩。この五点がさらりと読めれば十分です。以下は雰囲気の一例です。

はじめまして。◯◯業界でバックオフィス改善を10年担当してきた△△と申します。御社サイトの採用情報と直近のニュースを拝見し、成長局面に合わせた業務フローの整備に関心を持ちました。もしよろしければ、現状のプロセスを60分で可視化し、90日で効果が出やすい打ち手だけを3つに絞ってご提案します。負担は最小限で、オンライン完結です。合うかどうかの見極めとして、まずは15分だけご相談の機会をいただけませんか。

返信がなければ縁がなかったと切り替えて、過度に追いません。副業は体力戦にしない設計が続けるコツです。

信頼を積む小さな約束

初回の打ち合わせで決めたことは、24時間以内にメモで共有します。約束の時刻に1分でも遅れるときは、事前に連絡する。できないことは早めに伝え、代替案を示す。地味ですが、この反復が一番効きます。口コミや再依頼は、派手な実績よりも「一緒にやりやすい人」から生まれます。

リスク管理と持続性:時間・お金・心の折り合い

まずは時間です。目安として、週5〜10時間に上限を置くと生活の土台が揺れにくくなります。夜は認知資源が枯れやすいので、思考を要する作業は朝に寄せ、夜は打ち合わせや軽作業に回すなど、脳の使いどころを分けると疲労の蓄積を抑えられます。家族の合意形成も忘れずに。相談・共有・感謝の三拍子を言語で交わすほど、不満はたまりにくくなります。

お金の面では、入金サイトとキャッシュフローが要です。月末締め翌月末払いなどの条件は早めに確認し、着手金を設定できる場合は一部前受けにします。個人口座と事業用口座を分け、経費の支払いを集約すると記帳が楽になります。税務は、年間の売上見込みや経費構成に応じて、開業届の提出や青色申告の選択、インボイス制度の登録要否を検討します。具体的な手続きや判断のポイントは、NOWHの解説(フリーランスの税金入門)も併せて確認してください。

心の面では、「期待値の管理」が最重要です。相手の期待が大きすぎると摩耗しますし、小さすぎると価値が伝わりません。着手時に到達可能なゴールと到達しないゴールを明記し、途中で仮説を修正する文化を合意します。自分の評価指標は「相手の意思決定が速くなること」や「次の一手が鮮明になったか」に置くと、短期の数値に振り回されにくくなります。

法務と情報の取り扱いを甘くみない

業務委託契約の範囲外の作業は、口頭のまま進めない。機密情報の保存場所は個人PCではなく、相手が指定したクラウドを使う。自分の過去資料を流用するときは、権利関係を確認する。競業避止や副業禁止の条項は勤務先・クライアント双方の規程を読み、グレーは相談してから進める。面倒に見えて、ここを丁寧にするほど信頼は積み上がります[2]。

最後に、スケールの選択肢も視野に入れておきましょう。コンサルティングは人に依存しがちですが、提供内容を型化して「プロダクト化」すると、少ない時間で再現性を高められます。診断キットやテンプレ資料、研修コンテンツ、運用レシピ。ひとつずつ形にし、必要なときに組み合わせる。副業の延長線上に、小さく強い事業の芽が育ちます。

まとめ:小さく始め、約束を守り、続ける

副業としてのコンサルティング起業は、派手な肩書きや完璧な準備よりも、相手の困りごとを一文で言い切る力と、小さな約束を積み重ねる姿勢がものを言います。初期投資を抑え、60〜90日の最小サービスで検証し、振り返りで磨く。この地道な反復が、あなたの経験を「価値」に変えます。生活の優先順位を守りながら、週5〜10時間で試し、続けられそうなら少し広げる。迷いが出たら、いったん立ち止まり、目的と設計を言葉に戻せば大丈夫です。

きれいごとでは続かないからこそ、現実に合うサイズで始めて、誠実に続ける。今のあなたの経験で、誰のどんな迷いが軽くなるか――その問いから、最初の一歩を言葉にしてみませんか。次の週末、A4一枚の提案をつくって、ひとりにだけ届ける。そこから物語は動き出します。

参考文献

  1. リクルート ジョブズリサーチセンター(JBRC)「本業にフルタイムで従事する人たちの副業動向を捉む」2025-04-01. https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20250401_3714.html
  2. 厚生労働省「副業・兼業」モデル就業規則・ガイドライン等(改定の経緯含む). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
  3. リクルートワークス研究所 Works-i「定点観測」特集(副業・兼業や新しい働き方の動向). https://www.works-i.com/special/teiten/detail017.html
  4. NIRA総合研究開発機構 オピニオンペーパー「就業者のギグワーク等の実態と課題」. https://nira.or.jp/paper/opinion-paper/2023/64.html
  5. 日本生産性本部「副業・兼業を希望する労働者は年々増加傾向にあります」JILPT調査引用(平成30年). https://www.jpc-net.jp/consulting/report/detail/post_5.html

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。