気づいたら首に刻まれた横ジワ…スマホ首が招く老け見えを防ぐ5つの習慣

スマホを見る姿勢は首の横ジワを深くしやすい。頭部前傾で首にかかる負荷や年齢によるコラーゲン低下を踏まえ、今日からできる姿勢チェック・習慣改善・スキンケアの実践ポイントを編集部が写真つきでわかりやすく解説します。

気づいたら首に刻まれた横ジワ…スマホ首が招く老け見えを防ぐ5つの習慣

スマホ首のシワはなぜ起こるのか

スマホを見るとき、私たちは無意識に顎を前へ突き出し、視線を下に落としています。研究データでは、頭部を前傾させる角度が増えるほど頸部への負荷が指数関数的に増え、60度では約27kgに達すると報告されています[1]。荷物を常にぶら下げているような状態が、首の前面にある広頚筋(プラティスマ)や深層の筋膜へ慢性的な緊張を生み、皮膚の同じ位置で折れ曲がりが反復されます。この“折れグセ”が、いわゆる横ジワの土台になりやすいといわれています。

年齢による要因も加速要素になります。医学文献によると、真皮のコラーゲンやエラスチンは30代以降ゆるやかに減少し、紫外線UVAは弾力線維の劣化を促すとされています[3]。首は顔よりも皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位で、衣類との摩擦も起こりやすい。つまり、前傾姿勢による機械的ストレス、弾力低下、乾燥と紫外線という三つの要因が重なると、線が刻まれやすい環境が整ってしまう可能性があります。

編集部で在宅ワークの1日を観察したところ、ノートPCは目線より低く、スマホ確認は30分に一度、メッセージ返信のたびに視線が胸元まで落ちていました。夕方の鏡では、朝は目立たなかった浅い線がうっすらと定着。これは珍しいことではなく、行動パターンがそのまま肌に反映された例と考えられます。

頭部前傾が体に与える“連鎖”

顎が前へ出ると、胸椎が丸まり、肩が内巻きになりやすくなります。すると鎖骨の下を走る組織の滑走性が落ち、首の前面に張りが残りやすい。姿勢の連鎖が起きるため、首だけをストレッチしても戻りやすいことがあります。だからこそ、視線と頭の位置を「ゼロ」に戻す小さなリセットを、一日の中に継ぎ目のように入れる発想が有効です。

皮膚の構造と“戻らない線”の境界

皮膚は表皮・真皮・皮下組織からなり、シワは浅い段階では表皮の乾燥や表情の反復で現れます。いっぽうで真皮レベルで線維が乱れてくると、無表情でも残るように見える。乾燥小ジワは保湿によって目立たなくなることが期待される一方、機械的な折れグセが長期化した線は、スキンケアだけでの変化がゆっくりです[4]。だから、折れ曲がらないようにする「姿勢の予防」と、折れても戻れる「弾力を守るケア」をセットで考えます。

今日からできる、姿勢と習慣のリセット

まずは視線の高さを変えることから始めます。スマホは胸の前ではなく、肘を体幹に寄せて前腕で支えながら、目線の高さへ持ち上げる意識を持ちます。長時間は腕が疲れるので、テーブルの縁やバッグを支えにして「上げるための工夫」を作っておくと続きます。PC作業では、ノートPC単体ではなくスタンドで画面を目線近くに上げ、外付けキーボードを使って肘は90度前後、肩は下げて首を長く保つ。カフェなら雑誌を数冊重ねるだけでも十分です。

リセットのタイミングは“アプリが開くまでの数秒”“電車が停車するたび”“湯が湧く1分間”のように、既にある日常の区切りに結びつけると無理がありません。座っている場合は坐骨で座面を捉え、背骨が積み木のように縦に伸びる感覚を作ります。そこから顎を軽く引いて、後頭部を天井のほうへスッと引き上げる。**首の後ろが長くなり、喉が広がる位置が“ゼロ”**です。息を吐きながら5秒キープ、息を吸って緩める。肩は耳から遠ざけるように、後ろへ一度だけ大きく回し下げます。これを数回繰り返すだけで、首の前側の張りが和らぐことがあり、画面を見る姿勢に戻っても折れ曲がりが起きにくくなる可能性があります。

立っている時も同じ発想です。片手でスマホを持つなら、もう一方の手で肘を支えるようにして高さを確保します。信号待ちやエレベーターの中では、目線を水平よりわずかに上に置くつもりで遠くを見ると、自然と頭が体の真上に戻ります。20分に一度、視線を水平に戻し、顎を引くという小さな合図を自分に出せると、1日の合計では大きな差になります。

“1分首リセット”のつくり方

椅子に浅く座り、足裏を床にフラットに置きます。背骨を縦に長くしてから、顎を軽く引いて後頭部を真後ろへ数ミリスライドさせるようにし、喉の前がふわっと広がる位置で3呼吸。次に肩を後ろ回しで一度大きく回して下げ、肩甲骨の間に空気が入るイメージで息を吸い、吐く息で胸骨を優しく持ち上げます。最後に、首の側面を伸ばすため、右耳を右肩に近づけるように頭を傾け、左の首筋が心地よく伸びるところで3呼吸。反対側も同様に行います。手で頭を強く引かず、自重と呼吸だけで行うのがコツです。終わったら正面へ戻し、顔を正々堂々と前に向けてから画面に戻ります。慣れてくると、これら一連の動きは1分以内で完了します。

首のスキンケア:塗る・守る・触れる

日中は守ることを最優先にします。首は衣類の襟元で日陰になりそうに見えて、実はUVAの影響を受けやすい部位です[3]。朝、顔と同じタイミングで日焼け止めを首の前後まで広げ、鎖骨の少し下まで塗り伸ばしてください。手のひらで薄く広げたら、最後に手首から上へなで上げるとムラになりにくい。外出が長い日は、昼にもう一度薄く重ねます。詳細な選び方は「日焼け止めの選び方完全ガイド」で触れていますが、首はこすれやすいのでフィット感と落ちにくさを重視すると安心です。

夜は満たすケアに切り替えます。お風呂上がりの水分がまだ残るうちに、化粧水かボディ用ミルクで素早く潤し、クリームやバームで水分の蒸発を防ぐ“ふた”をします。成分でいえば、セラミドやグリセリンなどの保湿、ナイアシンアミドやペプチド、肌に合えば低濃度のレチノールといったハリ感に寄与するとされる成分が選択肢になります[5]。いずれも乾燥による小ジワを目立たなくすることが期待され、使い始めは少量から、刺激を感じたら中止するという基本を守れば、首でも取り入れやすいアプローチです[4].

触れるケアにもコツがあります。オイルやクリームで摩擦を減らしてから、鎖骨の上を内から外へ、耳の下から肩先へとやさしくなでます。目的は流れを整えることで、強くつまんだり、皮膚を引っ張る動きは不要です。上に持ち上げるより、張りを手放すイメージで十分。就寝時の枕もチェックしてみてください。高すぎる枕は顎を胸に近づけ、首の前側の折れを深くします。横になったときに耳・肩・腰が横から見て一直線に近づく高さが目安です。触れるケアの基本は「顔と首のマッサージの基本」でも解説しています。

服とアクセ、日常の“こすれ”を味方に

タートルや襟の硬いシャツは、便利な反面こすれが増えます。長時間の日は、滑りのよい素材やスカーフで摩擦を和らげる工夫が有効です。ネックレスのトップが同じ位置で当たるなら、長さを変える、やわらかいチェーンにするなど、小さな調整で日々の刺激を減らすことができます。日差しが強い季節は、UVカットのストールを携帯しておくと、日焼け止めの塗り直しが難しい場面でも守りやすくなります。

生活全体でみるエイジングケア

姿勢とスキンケアに加えて、生活の“ベース”が整うと、首の見え方も安定します。寝入りばなの90分を深くする意識で、就寝前は画面から目を離し、照明を落として呼吸をゆっくりに。目覚めの時刻を一定にするだけでも、生活のリズムが安定します。詳しくは「睡眠で整えるエイジングケア」をご覧ください。

食事は華やかな美容食でなくてかまいません。毎食のたんぱく質を意識し、ビタミンCを含む野菜や果物を添えると、日々の合成と守りの土台ができます。水分は一度に大量より、起床時・午前・午後・夕方と分けて口に含むほうがむくみにくい。甘い嗜好品や夜遅い塩分は、翌朝の首元の“張り”や影になって表れやすいので、時間や量のコントロールが効きます。座りっぱなしの在宅ワークなら、「在宅ワークの姿勢リセット」で紹介している立ち上がりの合図や、立ち仕事の合間のリリースも首に好影響です。

編集部では、目線を上げる工夫と1分リセット、首への日焼け止めを2週間続けてみました。朝の“折れ跡”が薄れ、夕方のこり感が軽くなる実感があり、見た目以上に体の疲れ方が変わりました。※個人の感想であり、効果効能を保証するものではありません。重要なのは、完璧を狙わず「戻る」回数を増やすこと。一度深く刻まれた線でも、日々の行動が積み重なると、目に映る印象は着実に変わっていく可能性があります。

まとめ:下を向く時間を、味方につける

スマホを手放せないなら、負荷のかけ方を変えればいい。視線を上げる小さな合図、首をゼロに戻す1分、首まで守るスキンケア──この三つを日常の継ぎ目に仕込むだけで、首の横ジワの予防に役立つことが期待されます。まずは今日、メッセージ返信のたびに顎を引く。明日の朝は、顔と同じように首にも日焼け止めを塗る。今週は、デスクにスマホスタンドを置いて目線を少し上へ。どれも大げさな準備はいりません。あなたが一番やりやすい一歩から始めて、生活の中にやさしい「戻る」を増やしていきましょう。次に画面を見るとき、どの合図を試してみますか?

参考文献

  1. 東京リハビリテーションクリニック「スマホ首(テキストネック)に注意”https://www.tokyoreha-cl.com/info/sumahokubinichui
  2. PR TIMES「スマートフォン利用動向に関する調査”https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001465.000007815.html
  3. 日本皮膚科学会雑誌 102巻4号(J-STAGE)加齢・光老化と真皮線維成分に関する報告ページ https://www.jstage.jst.go.jp/browse/dermatol/102/4/_contents/-char/ja
  4. 西日本皮膚科 78巻4号(J-STAGE)保湿による小ジワ改善効果の無作為化試験 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nishinihonhifu/78/4/_contents/-char/ja
  5. PubMed PMID:37461826 スキンケア成分(ナイアシンアミド/ペプチド/レチノール等)による臨床的改善に関する報告 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37461826/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。