生理周期に合わせたスキンケアで肌悩みが変わる!40代が知っておきたい「攻めと守り」の使い分け術

生理周期と肌の関係をフェーズ別に解説。卵胞期は“攻め”、黄体期は“守り”といった基本方針に加え、研究知見に基づく具体的なケア例とすぐ始められる実践ステップで、35〜45歳のゆらぎ肌の傾向を理解し日々の対処に役立てられます。

生理周期に合わせたスキンケアで肌悩みが変わる!40代が知っておきたい「攻めと守り」の使い分け術

生理周期で肌はどう変わる?ホルモンと肌の関係

研究データでは、月経前に肌荒れやニキビが悪化すると答える女性は約40〜60%にのぼると報告されています[1]。さらに、生理周期にともない皮脂分泌や肌の水分蒸散量(TEWL)が揺れ動く傾向が示され、排卵期にテカりや毛穴の目立ちが強まり、黄体期には乾燥・赤み・刺激感を訴える人が増えるという知見もあります[2,5]。加えて、皮膚血流などの生理指標も周期に応じて変動する報告があります[4]。編集部が各種論文やレビューを読み解くと、同じスキンケアを毎日続けるよりも、周期に合わせて「攻め」と「守り」を切り替える方が、肌のコンディションを安定させやすいという結論に至りました。日々の変化を「体のリズム」として受け止め、道具箱を入れ替えるようにお手入れを微調整する。これが、ゆらぎを前提に生きるわたしたちに現実的なアプローチです。

医学文献によると、女性ホルモンは肌の生理機能に広く関与します。エストロゲンはコラーゲンやヒアルロン酸の産生を支え、創傷治癒や水分保持に寄与します[2]。一方、プロゲステロンは体温をわずかに上げ、むくみや皮脂分泌の変動を引き起こしやすく、月経前には赤みや刺激感が増す報告があります[3]。研究データでは、皮脂分泌は排卵前後でやや高まり、経皮水分蒸散量は黄体期に上昇しやすい傾向が示されています[2,5]。つまり、同じ化粧水・美容液・クリームでも、卵胞期には浸透感や手応えが出やすく、黄体期は敏感に傾きやすいというのが全体像です[2]。

この前提を押さえると、スキンケアの目的が明確になります。コンディションが安定しやすい卵胞期には美白やハリ感などの“攻め”を取り入れ、変化が出やすい黄体期〜月経前はバリア強化と鎮静の“守り”を優先する。排卵期は皮脂と毛穴のコントロールを意識しつつ、過剰な脱脂は避ける。「同じ肌」は続かないからこそ、同じルーティンでなくていいのです。

フェーズ別スキンケア戦略:攻めと守りの切り替え

月経期(1〜5日目):最小限でいたわる“レスキュー期”

血行や睡眠の乱れ、プロスタグランジンの影響などで、刺激に反応しやすいタイミングです。洗顔は短時間でやさしく済ませ、ぬるま湯での予洗いを丁寧にしてから低刺激の洗浄料を使います。化粧水はコットン摩擦を避けて手で重ね、セラミドやグリセリン、ヒアルロン酸などの保湿成分を含むアイテムで水分と油分のバランスを整えましょう。クリームは薄く重ねて密閉感を作り、赤みや熱感が出やすい部分には鎮静系のローションやジェルを部分使いします。メイクは石けんオフできる軽めのベースに切り替えると、夜のオフ負担が減り、翌日の揺らぎを抑えられます。日中の紫外線対策は欠かせませんが、塗り直しはクッションタイプやミストを使い、触れる回数を減らすのがコツです。紫外線は皮膚に酸化ストレスを与えるため、室内でも状況に応じた対策を意識しましょう[6]。

卵胞期(6〜12日目):コンディションが整う“育て期”

エストロゲンの後押しで肌が落ち着きやすく、トーンやハリの手応えを感じやすい時期です[2]。ここではビタミンC誘導体やナイアシンアミドなどの美容液を主役に据え、朝は抗酸化、夜は保湿とマイルドな角質ケアを組み合わせます。刺激が心配な人は濃度の低いものから隔日で導入し、頬の高い位置など敏感な部位を避けて塗り広げてください。角質ケアは頻度を決めて淡々と続けるのがポイントで、週に1〜2回のマイルドな拭き取りや洗い流しタイプで十分です。ここで土台を整えると、後半のゆらぎ期に崩れにくくなります。朝のテクスチャーは軽く、夜はしっとりめに振り分けると、皮脂と水分のバランスが取りやすくなります。

排卵期(13〜16日目):皮脂と毛穴を“コントロールする期”

テカりやすさ、毛穴の目立ち、メイク崩れが気になる人が増えるタイミングです。皮脂対策は“取りすぎない”が鉄則で、朝はジェル状の保湿で水分を足し、メイク前に皮脂吸着系の下地をTゾーンにだけ薄く仕込みます。夜は毛穴詰まりが気になる部分に限って、サリチル酸配合の拭き取りやマスクをスポット的に使うと、顔全体の過乾燥を避けながら、ざらつきの悪循環を断ちやすくなります。クレイパックは時間を短めに設定し、洗い流した直後に化粧水と乳液で素早くバリアを閉じるのがコツです。紫外線ダメージはコンディション悪化の一因となるため、室内でもこまめなUV塗り直しをルーティン化しましょう[6]。なお、この時期は皮脂分泌が高まりやすいとの報告もあります[5]。

黄体期(17〜28日目):赤み・むくみ・乾燥に“守りを厚く”

月経前の揺らぎが出やすい時期です[2,3]。美容液の攻め度合いを一段階落とし、保湿と鎮静を優先しましょう。化粧水は複数回に分けてやさしくなじませ、乳液やクリームでふっくら感をキープします。香料やアルコールが強い処方を一時的にお休みし、敏感肌向けの処方へスイッチするのも有効です。ニキビができやすい人は、洗顔後にTゾーンやフェイスラインを清潔に保ち、部分的なケアを“点”で行うと全体の乾燥を招きにくくなります。むくみが気になる朝は冷やしすぎない程度のひんやりローションをそっと当て、こすらずに水分を補いましょう。夜更かしや塩分過多は赤みや乾燥感を強めやすいので、この時期だけ意識的に睡眠と水分補給を整えると、翌朝の肌機嫌が安定します。

ゆらぎ世代が押さえたい実践ポイント

35〜45歳は、ライフイベントやホルモンの段差が重なる移行期。周期が乱れたり、同じ周期でも肌反応が毎回違ったりします。だからこそ、“固定メニュー”ではなく“選手交代”を前提にしたスキンケア設計が現実的です。具体的には、手持ちのコスメを小分けして「守り(低刺激・高保湿)」「攻め(美容液・角質ケア)」「皮脂コントロール(部分用)」の3グループにゆるく分類し、カレンダーの進行に合わせて主役を入れ替えます。すべてを一度に変える必要はなく、まずは美容液の濃度や使用頻度だけを動かすと負担が少なく続けやすくなります。

**“朝は短く、夜で取り戻す”**というリズムも効果的です。朝は洗顔〜保湿〜UVまでをタイムリミット内で完了させ、夜に丁寧な保湿やスペシャルケアを配分します。黄体期はとくに、クレンジングの摩擦を減らすためにベースメイクを軽くし、オフが簡単な処方へ切り替えると、肌の揺れ幅が小さくなります。卵胞期に新しい美容液を試すときは、耳の後ろやあご下でパッチテストを行い、数日かけて広げると失敗が減ります。周期が不規則な人は、肌に現れる“兆し”をシグナルにするのが近道です。テカりが増えたら排卵期メニュー、赤みや乾燥が出たら黄体期メニューへ、と体感ベースで切り替えても構いません。

生活要因も無視できません。研究では、睡眠不足やストレスが皮膚のバリア回復能や炎症応答に影響しうることが示されています[7]。睡眠時間を30分だけ前倒しする、入浴後5分以内に保湿を始める、デスクにミニサイズのミストと日焼け止めを置いておく。こうした小さな仕組み化が、周期対応のスキンケアを支える土台になります。インナーケアに興味がある人は、PMS期の食事と肌の関係を整理した解説も参考になります(PMSと食事の基礎)。紫外線対策の見直しは一年中のテーマなので、季節別のUV戦略も合わせてチェックしてください(大人のためのUVケア入門)。日中の乾燥が気になる人は、オフィスでできる保湿の工夫も役立ちます(デスク周りのうるおい習慣)。

続けるためのコツ:7日スプリントで検証する

最初から28日すべてを設計しようとすると挫折しがちです。編集部の提案は、各フェーズの“7日スプリント”で小さく検証する方法。たとえば卵胞期の7日間は、美容液の使用頻度や濃度を計画的に上げ、乾燥・赤み・ざらつきの主観スコアをメモします。排卵期の7日間は、Tゾーンだけ皮脂コントロールを強化し、メイク崩れ時間やテカりの出方を記録します。黄体期の7日間は、保湿の重ね方と睡眠・塩分・カフェインのバランスを意識的に整え、翌朝の肌機嫌を観察します。月経期は、最小限のケアと負担の少ないメイクで回復に専念し、摩擦と刺激を徹底的に減らします。こうして一巡すれば、自分の肌が“何に反応し、何で落ち着くのか”が可視化され、次の周期に生かせます。

よくある疑問にも触れておきます。まず、周期が不規則でフェーズが読めない場合は、カレンダーよりも肌のサインを優先し、乾燥や赤み、テカりなどの実感に応じてメニューを切り替えましょう。次に、ビタミンCや酸でしみやすい敏感肌の場合は、卵胞期の夜だけ低濃度・短時間接触から始め、黄体期は一時休止して保湿に専念すると、トラブルを避けやすくなります。旅行や出張のときは、ミニサイズを「守り」中心で持参し、クレンジング〜保湿〜UVの動線をシンプルに保つのが安心です。体感に大きな変化がある、にきびや炎症が続く、色素沈着が気になるなど不安が強いときは、自己判断でケアを続けるより医療機関で相談すると、最短距離で解決につながります。

まとめ:揺らぐ前提で設計する、だから続く

生理周期は止められないけれど、揺らぎに備えることはできます。今日からできるのは、手持ちのスキンケアを「攻め」「守り」「皮脂コントロール」にゆるく仕分けし、その日いちばん気になるサインに合わせて主役を入れ替えること。完璧な28日設計より、7日単位で小さく試し、うまくいった手を次に持ち越す方が、現実の生活にフィットします。次の一歩は、カレンダーに現在のフェーズを書き込み、今夜のケアを1つだけ調整してみること。小さな切り替えが積み重なったとき、肌の機嫌は確かなリズムを取り戻します。あなたの周期に、あなたのスキンケアを合わせていきましょう。

参考文献

  1. PR TIMES. PMSと美容トラブルに関する調査(日本国内調査・プレスリリース)
  2. PubMed Central. Estrogen receptors and skin physiology(総説・レビュー)
  3. PubMed Central. Progesterone: mechanisms and systemic/skin effects(総説・レビュー)
  4. PubMed. Cutaneous physiological changes across the menstrual cycle(皮膚血流などの変動に関する研究)
  5. DECENCIA ドクターコラム(月経周期と皮脂・にきびに関する解説記事)
  6. World Health Organization. Ultraviolet radiation and the INTERSUN Programme
  7. Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin aging? Clinical and Experimental Dermatology. 2015;40(1):17–22.

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。