ゆらぎ世代が知っておきたいIPL光治療の基本|月1回×3〜5回で期待できる肌変化とは

IPL(光治療)は、くすみ・赤み・毛穴など“ゆらぐ肌”に穏やかに働きかける医療施術です。仕組みと期待される変化、施術回数の目安(個人差あり)、痛み・ダウンタイム、注意点を正直にまとめました。まずは知っておきたいポイントをチェック。

ゆらぎ世代が知っておきたいIPL光治療の基本|月1回×3〜5回で期待できる肌変化とは

IPL光ケアの仕組み:なぜ肌質改善につながるのか

肌の加齢変化の約80%は紫外線などによる「光老化」に起因するといわれています[1]。保湿もUV対策もしているのに、朝のくすみやマスク跡の赤み、年々目立つ毛穴やキメの粗さが気になる――。そんな“積み重なった光ダメージ”に、近年、通いやすさとダウンタイムの軽さで選ばれているのがIPL(Intense Pulsed Light)による光ケアです。編集部が各種研究報告や臨床解説を読み解くと、IPLは広い波長の光を用いてメラニンやヘモグロビンに選択的に作用し、色むらを整えながらコラーゲン産生にも寄与する仕組みが示されています[2,3]。つまり、表面の「見た目」を整えるだけでなく、土台の質感にも働きかける可能性があるということ。月に1回ペースで 3〜5回 受けると肌質の変化を実感しやすいといわれているという傾向も複数の臨床報告で示されています[4,5]。なお、この「約80%」という割合は推定であり、光老化が皮膚老化に大きく寄与することを示す総説はあるものの、数値には幅があります[1]。

IPLはレーザーではなく、500〜1200nm程度の広帯域の光をパルス状に照射します[2]。フィルターや設定を調整することで、メラニンに反応しやすい波長、赤みに関わるヘモグロビンに届きやすい波長などを選び、不要な色素や拡張した毛細血管にエネルギーを集中的に与えます[5]。これにより、褐色の色素斑が徐々に薄く見えたり、毛細血管由来の赤みが落ち着いて見えることが期待されます[3]。さらに、皮膚の浅い真皮層では温熱刺激が線維芽細胞の働きを促し、コラーゲンやエラスチンの再構築(いわゆるリモデリング)をサポートすると解説されています[3]。光が「点」で深く入るレーザーと比べ、IPLは「面」で広く穏やかに働きかけるイメージに近く、広範囲の色むらや質感の乱れに向くとされます[2]。

色ムラへのアプローチ:くすみ、そばかす、赤み

研究データでは、日光性色素斑やそばかす様の色素沈着に対し、複数回のIPL照射で明度と均一性が改善したという報告が繰り返し示されています[3,4]。メイクで隠していた薄いシミやくすみが、洗顔直後でもトーンアップしたように見えるといった視覚的な変化が起きやすいのは、メラニンに選択的にエネルギーが集まり、ターンオーバーとともに排出されやすくなるためと説明されます[5]。一方、赤ら顔や小鼻の赤みの背景には、拡張した毛細血管や炎症性の変化があり、ヘモグロビンに吸収されやすい波長を選ぶ設定で、赤みの目立ち方が和らぐケースが臨床的に報告されています[3]。色ムラの多くは一度で劇的に消えるものではなく、2〜3回目あたりから変化に気づく人が増えるというのが現場の実感として共有されています[4]。

質感へのアプローチ:毛穴、キメ、ハリ

肌質改善の実感としてよく挙がるのが毛穴の見え方の変化です。毛穴そのものの数や大きさを直接変えるわけではありませんが、角質の整い方、皮脂の出方、そして真皮のコラーゲンリモデリングによって、光の反射が均一になり、「毛穴が目立ちにくい」質感に近づきやすくなります[3,4]。加えて、浅いちりめんジワやキメの乱れは、表皮から真皮浅層の水分保持とコラーゲンネットワークの状態に左右されるため、温熱刺激を介した線維芽細胞の活性が保たれると、なめらかさやハリ感の体感につながります[3]。研究報告では、数回のIPL後に皮膚弾力計の指標が改善したデータもあり、単なる「色のケア」にとどまらない可能性が示されています[3].

実際の流れと体感:回数、痛み、ダウンタイム、費用感

施術はクレンジングで皮脂やメイクを落とし、ジェルを塗布してから照射するのが一般的です。設定は肌質や悩みに合わせて調整され、月1回程度の間隔で3〜5回を1クールとし、状態に応じてメンテナンスへ移行する流れが多く見られます[4,5]。痛みは「輪ゴムで弾かれる程度」と表現されることが多いですが、出力や部位、個人差で感じ方は動きます[7]。冷却機能やジェルで熱感は和らぎ、必要に応じて出力を下げるなどの対応も行われます[2]。

ダウンタイムは比較的軽く、赤みやほてりが当日〜翌日まで残ることがある程度です[3,7]。しみの種類によっては、照射後に薄いかさぶた状になり、1週間ほどで自然に脱落するプロセスをたどることがあります[4,5]。この期間はこすらず、十分な保湿と日焼け対策を徹底することが重要です。メイクについては、当日から可能とする施設も多いものの、肌の状態を見て指示に従うのが安心です。

費用はクリニックや照射範囲、採用デバイスによって幅がありますが、顔全体1回で1万〜3万円台が目安としてよく提示されます。数回の通院を前提に、トータル費用と通いやすさを天秤にかけて計画を立てると現実的です。なお、ホーム用の光美容器も流通していますが、医療機関でのIPLと比べると出力や冷却、安全監視の体制が異なります。自宅ケアの延長としては便利でも、短期間で明確な肌質改善を求める場合は、医療機関での評価と計画的な照射が選ばれることが多い理由です[2]。

フォトフェイシャルとの違い、デバイスの違い

「フォトフェイシャル」は特定ブランドのIPL機器に由来する名称で、広義にはIPL光ケアの一種です。現在は複数のメーカーが異なるフィルターやパルス設計を持つデバイスを展開しており、同じ光照射でも仕上がりの傾向が微妙に異なることがあります。色ムラに寄せる設定、質感に寄せる設定など方針が分かれるため、カウンセリングで「何を一番変えたいか」を明確にし、それに沿ったパラメータを提案してもらうと満足度が上がります。

ここは正直に:向いている人、注意したいポイント

光照射は、メラニンやヘモグロビンに働きかける仕組み上、**“濃いシミを点で狙い撃ちして一度で取り切る”**という目的には向かないことがあります。そうしたケースでは、ピコレーザーやスポット照射の方が適することもあるため、希望のゴールに応じて施術の選択が変わると考えましょう。また、肝斑は刺激で悪化する場合があるため、見極めと設定が特に大切です[8]。日焼け直後、炎症が強い状態、妊娠中・授乳中の方、光過敏を起こす薬を使用中の方などは、施術の可否や時期を慎重に検討する必要があります[3]。

リスクとしては、一時的な赤みやほてり、軽い腫れ、かさぶた化のほか、まれにやけどや炎症後色素沈着が起こる可能性があります。これは出力と肌状態のマッチング、アフターケアの徹底度に大きく左右されます[3,7]。施術前のカウンセリングで既往症やスキンケア習慣、日焼けの有無を率直に共有し、当日の肌に合わせた設定に調整してもらうことが安全性を高めます[3]。施術後は、保湿とUVカットをいつも以上に丁寧に続け、かさぶたや乾燥部位は触らずに見守るのが回復の近道です。

「通い続けられるか」が最も効く設定

光ケアで肌質改善を目指すうえで鍵になるのは、無理なく続けられることです。出力を欲張って1回でダメージをためるより、月1ペースで数回続ける方が色ムラと質感の両方にとって好ましいことが多く、日々のスキンケアとUV対策の積み重ねが結果を支えます[3,4]。スケジュール帳に「光ケアの日」を固定化し、前後1週間は屋外レジャーを控えめにする、施術前後は刺激の強いピーリングやレチノールを休む、といった生活設計も、効果の一助となります。忙しい時期には間隔を少し空けても問題ありません。中断と再開を柔軟に許しながら、シーズン単位で肌の状態を観察すると、変化が把握しやすくなります。

ホームケアと併走する:毎日の積み重ねが効き目を底上げ

IPL光ケアで得た手応えを、日常のケアで支えると、肌質改善の体感はさらに安定します。具体的には、朝は十分な量の日焼け止めを塗り、屋外ではこまめに塗り直すこと。夜は低刺激の保湿を軸に、必要に応じてビタミンC誘導体やナイアシンアミドなどの整肌成分を取り入れ、角質が乱れていると感じる時期はマイルドな角質ケアで整える。こうした地味な積み重ねが、光照射後の光沢や均一感を持続しやすくします。食事や睡眠、ストレス対策といった生活習慣も、炎症や酸化ストレスのコントロールという意味で肌の土台を支える要素です。美容施術は魔法ではありません。けれど、生活とケア、そして光ケアが同じ方向を向いたとき、朝の鏡の前でため息が一つ減るような、実感が積み上がっていく可能性があります。

まとめ:期待と不安、その両方を味方に

光ケア(IPL)は、色ムラに穏やかに働きかけ、質感にもじわりと効かせるアプローチです。月1回×3〜5回を目安に、無理なく続ける計画を立てることが多いといわれています[4,5]。施術当日は赤みやほてりが出ることもあるため、予定は控えめにするのが安心です[3,7]。紫外線の強い季節は対策を徹底し、ホームケアで整える。こうして一つひとつの不安に手を打ちながら進めると、変化が見えやすくなります。気になるのは、くすみか赤みか、毛穴かハリか。あなたがまず変えたいものは何でしょう。小さく始めても大丈夫です。期待だけでなく不安も含めて計画に組み込むことが、肌質改善の近道になることが多いと考えられます。

参考文献

  1. 日本レーザー医学会誌 総説:光老化によって引き起こされる皮膚の組織学的変化の特徴. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/41/4/41_jslsm-41_0035/_html/-char/ja#:~:text=%E5%85%89%E8%80%81%E5%8C%96%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%BC%95%E3%81%8D%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%AD%A6%E7%9A%84%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%EF%BC%8C%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%8C%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E3%81%AE%E6%96%AD%E7%89%87%E5%8C%96%EF%BC%8C%E5%BC%B5%E6%80%A7%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E3%81%AE%E5%A4%89%E6%80%A7%EF%BC%8C%E8%A1%A8%E7%9A%AE%E3%81%AE%E8%90%8E%E7%B8%AE%EF%BC%8CMatrix%20metalloproteinase%EF%BC%88MMP%EF%BC%89%EF%BC%8C%E7%89%B9%E3%81%ABMMP
  2. Dr.佐藤 形成外科・美容外科:AFT/アイパルス(IPL)の技術解説(IPLは広帯域500〜1200nm、フィルター選択、レーザーとの違いなど). https://www.drsato02.com/chiryou/aft/ipulse-tech/#:~:text=IPL%E3%81%AF%E7%89%B9%E5%AE%9A%E3%81%AE%E6%B3%A2%E9%95%B7%E3%81%AB%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E5%85%89%E3%81%A8%E3%81%AF%E7%95%B0%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%80%81%E5%B9%85%E5%BA%83%E3%81%84%E6%B3%A2%E9%95%B7%E5%B8%AF%E3%81%AE%E5%85%89%E3%82%92%E4%B8%80%E5%BA%A6%E3%81%AB%E7%85%A7%E5%B0%84
  3. Raulin C, et al. Intense Pulsed Light in Dermatology: A Review. PMC10970793. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10970793/#:~:text=IPL%20has%20been%20recommended%20in
  4. オーロラクリニック:IPL光治療のアフターケア・回数目安(3〜5回推奨、複数症状への同時アプローチ、微小痂皮の経過など). https://aurora-clinic.jp/ipl_after/#:~:text=IPL%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97%E3%81%AE%E5%85%89%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%B3%E8%89%B2%E7%B4%A0
  5. 大沢眼科:IPL(フォトフェイシャル)について<詳細>(メラニン・ヘモグロビン選択性、560〜600nm、マイクロクラスト、推奨回数など). https://www.osawaganka.jp/blog/detail.html?did=53#:~:text=IPL%EF%BC%88%E3%83%95%E3%82%AA%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%EF%BC%89%E3%81%AF
  6. 松山眼科医院:IPLのダウンタイム(痛みの体感、赤み・腫れの経過、痂皮の落屑時期など). https://www.matsuyama-eye.jp/blog/ipl-downtime/#:~:text=%E8%B5%A4%E3%81%BF%E3%83%BB%E8%85%AB%E3%82%8C%E3%83%BB%E3%81%BB%E3%81%A6%E3%82%8A%E3%81%AF
  7. 椿クリニックグループ:フォトフェイシャルと肝斑(刺激により悪化するリスクへの注意). https://tsubaki-grp.com/column/ipl-article/photofacial_kanpan/#:~:text=%E3%83%95%E3%82%AA%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%96%BD%E8%A1%93%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%8C%E5%88%BA%E6%BF%80%E3%81%95%E3%82%8C%E3%80%81
  8. 椿クリニックグループ:フォトフェイシャルと肝斑(刺激により悪化するリスクへの注意). https://tsubaki-grp.com/column/ipl-article/photofacial_kanpan/#:~:text=%E3%83%95%E3%82%AA%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%96%BD%E8%A1%93%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%8C%E5%88%BA%E6%BF%80%E3%81%95%E3%82%8C%E3%80%81

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NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。