春は芽吹きの季節。光が強まり、空気がゆるみ、植物は一斉にひらきはじめます。
その変化に呼応するように、私たちの体もまた揺らぎやすくなります。花粉症による目のかゆみや鼻のムズムズなど、不快な症状を感じる人も少なくありません。
フィトテラピーでは、こうした不調を“敵”として捉えるのではなく、季節に適応しようとする体の反応のひとつと考えます。
植物の力を借りながら、花粉症の症状をやさしく整えていきましょう。
フィトテラピーとは?
ギリシャ語の「Phyto(植物)」と「Therapy(治療、療法)」を組み合わせた言葉。
植物に含まれる生理活性成分を利用した「植物療法」のことです。
私たちの体に備わっている自然治癒力を高めることで、病気やケガの治癒を促したり、病気の予防に役立てたりする、伝承療法のひとつです。
参考:ルボア フィトテラピースクール公式サイト
https://www.phytoschool.com
植物で整える、3つのアプローチ

春のセルフケアを、「クールダウン」「巡り」「バリア」という3つの視点から見てみましょう。
① クールダウン ― 熱を静める植物
花粉症の季節は、赤みやほてり、むず痒さといった“熱感”を伴うことがあります。東洋医学でも春は「上昇」のエネルギーが強まる季節とされ、体もまた上へ上へと動きやすい時期です。
そんな症状のある夜には、鎮静作用が期待できる香りを。
ラベンダーやローマンカモミールの精油は、穏やかなフローラル調の香りで、リラックスタイムに選ばれる代表的な植物です。
ディフューザーでやさしく拡散させるほか、ティッシュに数滴落として枕元に置くだけでもOK。深呼吸をゆっくり3回。それだけで一日の高ぶりが静まりはじめます。
ハーブティーなら、ヨーロッパで古くから親しまれてきたエルダーフラワーやジャーマンカモミールがおすすめです。甘くやわらかな香りが、春のクールダウンの時間にそっと寄り添います。
② 巡り ― 流れをととのえる植物
春は環境の変化も多く、無意識のうちに体がこわばりがち。巡りが滞ると、重だるさや集中力の低下を感じることも増えていきます。
春のハーブとして知られるネトルは、ヨーロッパでは季節の変わり目に取り入れられてきた植物。緑茶に近い風味で、デトックスを促す朝の一杯として続けやすいハーブティーです。
アロマならレモンやグレープフルーツの精油がおすすめです。柑橘系に多く含まれるリモネンは、軽やかで明るい印象を与える成分として知られています。軽いストレッチや散歩と組み合わせれば、呼吸も自然と深まります。
溜め込まずに流す、巡りのケアをしてみてはいかがでしょうか。
③ バリア ― 守る力を育てる植物
花粉が触れるのは、肌や粘膜といった体の外側。こちらを整えることも、春には欠かせません。
まずは保湿。ホホバオイルやスイートアーモンドオイルは、植物由来のシンプルなケアとして定番です。洗顔後、少量を手のひらで温めてからなじませるだけで、花粉によって弱まるバリア機能の修復をサポートします。
内側からのうるおいを意識するなら、粘液質を含むマシュマロウやマロウブルーのハーブティーがおすすめです。とろみのあるやわらかな飲み心地で、乾燥から粘膜を保護します。
そして何より、睡眠の質です。夜はスマートフォンを早めに手放し、ラベンダーの香りでリラックス。眠りの質を整えることも、大切な“バリアづくり”です。
花粉の季節を、我慢する時間にしないために。
・クールダウン
・巡り
・バリア
この3つを意識するだけで、花粉症による不調が少し楽に感じることもあります。
アロマセラピストの花粉症改善アイテム

ナリン「ハーブオイル33+7」
スイスにある修道院の伝統レシピを基に、33種類のアロマと7種類のハーブがブレンドされた、nahrin(ナリン)のハーブオイルです。
心地よい清涼感があり、私はこのハーブオイルに頭痛や風邪の症状から何度も何度も救われています。
通常、エッセンシャルオイル(精油)は肌に直接塗ることはできませんが、こちらは「フランス式アロマ」として安全を考慮した成分構成で肌に塗ることができます。
花粉症で鼻詰まりになった時にはマスクの外側に数滴垂らしたり、鼻詰まりからくる頭痛の時にはこめかみに付けるのもおすすめです。
ゾネントア「オーガニックネトルティー」
ハーブティーが大好きで飲み慣れているので、個人的にはネトルは緑茶のような感覚で、和食にも合う味だと思っています。
学生時代は寝込んでしまうほど重症だった花粉症。アロマテラピーを勉強するなかで、「ネトルティーが花粉症に良い」と知り、すぐに飲み始めたのですが、いちばん渋みが少ないと感じたのがゾネントアのネトルティーでした。ふんわりと草のような香りがするので、ぬるい温度よりは熱々をフーフーして飲む方が好きです。
だいじょうぶなもの「ツルアラメのサプリ」
元オーガニックコスメ販売員の職業柄、周りの先輩方も自然派志向のナチュラルな生活を送っている方が多いのですが、こちらも多くの先輩方が「花粉症の症状が軽くなった!」と言うので取り入れてみました。
ツルアラメは海藻の一種です。ツルアラメに含まれる「フロロタンニン」という海藻ポリフェノールが花粉による鼻の不快感を軽減してくれるそうで、花粉による目の痒みもやわらげてくれることにも驚きます。
私は毎シーズンリピート購入していて、4年以上飲んでいますが、ゆっくりと体質改善できていると感じます。
花粉が飛散し始める前の1〜2月頃から飲むのがおすすめです。花粉症の時期になると売り切れて買えないこともありました。私は今シーズンも飲んでいます。
花粉症におすすめのハーブティー

・ネトル
抗アレルギー作用が期待される代表的なハーブ。ミネラルが豊富で、花粉症の体質ケアに用いられる。味は緑茶に近く飲みやすい。
・エルダーフラワー
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど呼吸器系の不調に使われる。花粉症ブレンドの定番で、やさしいフローラルな香りが特徴。
・ルイボス
抗酸化作用があり、抗アレルギー体質のサポートとして用いられる。ノンカフェインで飲みやすい。
・ペパーミント
清涼感のある香りで鼻づまりやムズムズ感をサポート。気分転換や集中力向上にも役立つ。
・アイブライト
かゆみや充血など目の不快感に用いられてきた伝統的ハーブ。花粉症による目の症状に取り入れられることが多い。
・カモミール
抗ヒスタミン作用とリラックス効果が期待される。花粉症によるストレスや睡眠の質低下を感じる人に向く。
・ローズヒップ
ビタミンCが豊富で、免疫機能や肌のコンディションをサポート。花粉症シーズンの栄養補給にも適している。
・フィーバーフュー
抗炎症作用が期待され、ヒスタミン放出を抑える働きがあるとされる。花粉症や片頭痛などの体質ケアに用いられるが、やや苦味があるためブレンド向き。
※ハーブティーは医薬品ではありません。症状が強い場合は医療機関での治療と併用しましょう。また妊娠中やキク科アレルギーのある人は、フィーバーフューなど一部のハーブに注意が必要です。
アロマオイルでできる簡単ルーティン

朝は呼吸を深めてすっきりと。日中はこもった空気をリフレッシュ。夜は高ぶりを鎮めてクールダウン。
香りで身体のリズムを整え、自律神経のバランスをやさしくサポートしてみましょう。
ほんの数分、アロマの香りを取り入れるだけで、春特有のムズムズ感や緊張感に振り回されにくくなります。
忙しい日でも続けやすい、シンプルな春のセルフケアをご紹介します。
朝 ― すっきり目覚める
ディフューザーに
レモン精油2滴+ユーカリ・ラディアータ精油1滴。
5〜10分香らせ、深呼吸をゆっくり3回。柑橘の軽やかさとユーカリのクリアな香りが、重だるさをリセットしてくれます。
時間がない朝は、ディフューザーの代わりにティッシュに数滴落として嗅ぐだけでも、一瞬で気持ちを切り替えてくれるでしょう。
日中 ― マスクスプレーでリフレッシュ
無水エタノール5ml+精製水45mlに、ティートリー精油2滴+ラベンダー精油1滴。
マスクの外側に軽くスプレー。清潔感のある香りが、気分の切り替えに。
使用前はスプレーをよく振り、肌に直接触れないよう注意しましょう。
夜 ― クールダウンの香り
寝る30分前、ディフューザーに、ラベンダー精油2滴+ローマンカモミール精油1滴。
スマートフォンを手放し、照明を少し落として深い呼吸を。
“抑える”のではなく、一日の高ぶりを鎮める時間をつくりましょう。
まとめ

揺らぎが起こるのは、体がきちんと季節に順応しようとしているから。その働きを否定するのではなく、やさしく支えていくという視点が、フィトテラピーの基本的な考え方です。
整えるという行為は、特別なことではありません。日々の小さな習慣を重ねながら、自分のコンディションに意識を向けること。それ自体が、自分を大切にするという選択につながります。
花粉の季節も、“いつもの私”をあきらめないために。植物の力を上手に取り入れながら、春を穏やかに過ごしていきましょう。フィトテラピーは、そのための静かな味方になってくれます。