40代でも疲れ知らず!アルコールとカフェインの賢い摂取法で睡眠の質を上げるコツ

カフェイン1日約400mg、アルコールは純アルコール約20gが一般的な目安。しかし40代は代謝や睡眠が変化しやすい時期です。睡眠・気分・仕事のパフォーマンスに配慮した、無理なく続けられる現実的な調整法を編集部が具体例つきで提案します。

40代でも疲れ知らず!アルコールとカフェインの賢い摂取法で睡眠の質を上げるコツ

いまの自分に合う「適量」は変わる

研究データでは、健康な成人のカフェイン摂取は1日400mgまでが概ね安全域[1,2]、さらに就寝6時間前の摂取でも睡眠時間を約1時間短くしうることが示されています[3]。また、日本の公的な指標では「純アルコール20g/日」が“節度ある飲酒”の基準として広く用いられてきました[4]。一方で、医学文献によるとアルコールは寝つきを早める反面、深い睡眠を減らし中途覚醒を増やす傾向があることが知られています[5]。35〜45歳の「ゆらぎ世代」では、ホルモン変動や仕事・家庭の負荷が重なり、同じ量でも昔より効き方が強く感じられる。編集部が各種データを横断して見えてきたのは、“ゼロか百か”ではなく、量・タイミング・文脈を微調整するのがいちばん現実的という結論でした。

同じコーヒー一杯でも、二十代の朝と四十代の午後では体感が違います。医学文献では、カフェインの血中半減期はおよそ3〜7時間とされ[1]、年齢や体重、睡眠不足、妊娠、経口避妊薬の使用などで延びることが報告されています[6,2]。アルコールに関しても、女性は体内の水分割合が低いことなどから同量でも血中濃度が高くなりやすく、年齢とともに代謝が緩やかになるため、昔の“いつもの一杯”が今は強く響くのは不思議ではありません[10]。だからこそ、いまの自分の基準を更新することが大切です。

数字で「目安」を持つと判断がぶれにくい

研究データでは、健康な成人のカフェイン摂取量は1日400mg程度までが一般的な安全域とされ、単回では200mgくらいまでが無難と示されています[1,2]。目安として、ドリップコーヒーは一杯あたり約80〜120mg、エスプレッソは30〜90mg、紅茶は約40〜50mg、緑茶は約20〜40mg、エナジードリンク小缶でおよそ80mg前後、デカフェでも微量(2〜5mg程度)のカフェインが含まれます[7,2]。アルコールは、日本で目にする純アルコール20gという単位を知っておくと役立ちます。たとえばビール5%なら500ml程度で約20g、ワイン12%ならグラス約180mlで17〜20g、日本酒(15%)一合180mlで約22g、焼酎25%は約80mlで16gほどと計算されます[8]。数値は銘柄や抽出条件でぶれるので、完璧さよりも「だいたい」を掴むことが目的です。

一日と一週間のリズムで整える

タイミングは量と同じくらい効きます。カフェインは半減期の幅が大きいので、就寝の8時間前までに切り上げると睡眠が守りやすくなります[1,3]。たとえば23時に眠りたいなら、15時をカフェインの“打ち止め”にしてみる。朝の一杯は楽しみつつ、午後はハーブティーやデカフェに切り替えて振れ幅を小さくするのが現実解です。アルコールは寝つきを助ける一方で睡眠の後半を浅くしやすいため、平日は飲まない日を意図的に作るか、飲むとしても就寝3時間前までに終えると翌朝の凪が戻ります[5]。週の前半をノンアル、週末も遅くならないうちに切り上げる。これだけで翌週の体感が変わるという実感の声を多く聞きます。

パフォーマンスと感情のための設計

午後の会議前に目を覚ましたい、寝かしつけ後の一杯で肩の力を抜きたい。必要なのは否定ではなく、目的に沿った設計です。カフェインは50〜100mg程度の少量でも覚醒効果が得られる一方、過ぎれば焦燥感や動悸を招きやすくなります[1]。空腹時だと揺れ幅が大きくなるので、食事やナッツと一緒に取る、ミルクを合わせて吸収を緩やかにする、といった工夫で“効きすぎ”を抑えられます。短い昼寝(10〜20分)と100mg未満のカフェインをセットにする“コーヒーナップ”は、研究でもパフォーマンス向上が示されていますが、実践は昼過ぎまでに留めるのがコツです[1].

眠りを守る「スイッチオフ」の合図を決める

眠りは回復の母体です。研究データでは、就寝6時間前のカフェインでも睡眠の総時間と質を落とす可能性が示されているため、午後の後半はノンカフェインに舵を切るのが賢明です[3]。アルコールは少量でも深睡眠を削りやすく、利尿作用で途中覚醒や口渇も増やします[5]。そこで、カフェインは就寝8時間前、アルコールは就寝3時間前までという**“時間のガードレール”**を自分に引いてしまう[1,3,5]。夕方以降はスパークリングウォーターやビネガードリンク、ノンアルのスプリッツァーに置き換え、歯磨きやシャワー、照明を落とすといった就寝ルーティンを合図にすれば、脳が「オフの手順」を思い出してくれます。睡眠環境の基本整備は別記事「睡眠衛生のはじめかた」も参考にしてください。

「酔いの錯覚」を見抜けば距離が取れる

アルコールとカフェインを一緒に摂ると、眠気や酔いの自覚が薄れる一方で血中アルコール濃度は下がらない、という点は医学文献でも繰り返し指摘されています[9]。つまり“シャキッとした酔い”は錯覚で、判断力の低下自体は残るということ。夜の会食では、最初の一杯の前に水を一杯、グラスが空く前にノンアルやソーダでリズムを挟む、アルコール度数の低い選択肢をメニューの最初から探しておく、といった小さな設計が効きます。ワインはスプリッツァーに、カクテルはロングにして氷とソーダを増やす。ノンアルの満足度を上げるアイデアは「マインドフルドリンキング入門」で詳しく紹介しています。

習慣を変えるときの心理戦

夜の一杯や朝のコーヒーは、ただの化学作用ではなく一日の区切りやご褒美の役割も担っています。だから「やめる」ではなく**「置き換える」「間をあける」「量を整える」**という三つの引き出しで向き合うのが現実的です。たとえば寝かしつけ後のワインを、平日はノンアルのトニック+ライムに置き換え、金曜だけグラス一杯の良いワインにする。午後のカフェインは14時までにまとめ、16時にどうしても欲しい日はデカフェに切り替える。どれも“しない”ではなく“別の選択をする”という言い換えです。

7日間のマインドフル・トライアル

まずは一週間、実験だと思って生活を少しだけ組み替えてみます。初日は現状を知る日にして、飲んだ量と時間、眠りの質や翌朝の気分をメモに残します。二日目と三日目はノンアルにして、夕食時は炭酸水やビネガードリンクをグラスに注ぎ、食後はハーブティーで口さみしさをやり過ごします。四日目は会食があればグラス一杯までをゆっくり味わい、なければ引き続きノンアルとします。五日目は午後のカフェインを13〜14時で終えて、夕方は10分の散歩やストレッチでリフレッシュします。六日目はお気に入りのコーヒー豆を使い、量を控えめにして香りを楽しむことに集中します。七日目に一週間の記録を振り返り、眠り、肌、気分、朝の立ち上がり、仕事の集中のどこに変化があったかを言葉にして、次週に持ち越すルールを一つだけ選びます。小さな勝ち筋を残すことが、継続のいちばんの近道です。

体のサインと頼れるリソース

向き合い方を見直しても、量が増え続ける、コントロール感が持てない、動悸や不眠、強い不安が続く、といったサインがあるときは、無理に一人で抱え込まないでください。職場の産業保健や地域の相談窓口、かかりつけ医やメンタルヘルスの専門家に早めに相談する選択は、自分のためだけでなく家族やチームのための投資です。更年期の睡眠や不調と重なっている可能性もあるので、関連する知識は「更年期と睡眠の整え方」や「ストレスを溜めないリセット術」も参考に。ノンアルや低カフェインのレシピは「夜にやさしいドリンク集」にまとめています。

まとめ:今日からできる小さな再設計

わたしたちの体は毎年すこしずつ変わります。若い頃の“普通”を追いかけるのではなく、いまの自分に合うバランスを探すことが、結局いちばん気持ちいい。カフェインは就寝8時間前で打ち止め、アルコールは就寝3時間前まで。この時間のガードレールに、平日のノンアル日と午後のデカフェ切り替えを重ねれば、睡眠・感情・集中力が静かに底上げされます。完璧さより一貫性です。今週、あなたはどの一手から試しますか。まずは今日、午後の一杯を早めに楽しみ、夜はノンアルのグラスで乾杯してみる。変化は静かに、でも確かに、明日の自分に届きます。

参考文献

  1. EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA). Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal. 2015;13(5):4102. https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4102
  2. 厚生労働省. 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
  3. Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T. Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours prior to bedtime. Journal of Clinical Sleep Medicine. 2013;9(11):1195–1200. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3805807/
  4. 厚生労働省. 健康日本21(第1次)「節度ある適度な飲酒」について. https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
  5. Ebrahim IO, Shapiro CM, Williams AJ, Fenwick PB. Alcohol and sleep I: effects of alcohol on the sleep structure. Sleep Medicine Reviews. 2013;17(4):347–352. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4427543/
  6. Abernethy DR, Todd EL. Impairment of caffeine clearance by chronic use of low-dose oestrogen-containing oral contraceptives. Eur J Clin Pharmacol. 1985;28(4):425–428. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7359014/
  7. 厚生労働省. 飲料中のカフェイン含有量(例:コーヒー、紅茶、緑茶等). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
  8. 厚生労働省. アルコール度数と純アルコール量の目安(「節度ある適度な飲酒」関連資料). https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
  9. 厚生労働省. カフェインを多く含むエナジードリンクとアルコールの同時摂取に関する注意(CDCの見解の紹介). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
  10. けんせつ労働者健康増進センター(KENNET)/ 厚生労働省. 女性は男性より酔いやすい体質などに関する解説. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/information/alcohol/a-04-003.html

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編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。