この春、新しいフレグランスブランド「nowas(ナワズ)」がデビューしました。
nowasはお線香やお香などで日本人にとって縁のある株式会社日本香堂が手がけ、次世代に向けた新たな取り組みとしてスタートしたブランドです。
そこには日本香堂グループの長い歴史をリスペクトしつつ、現代のフレグランスのテイストも十分に感じられ、オリジナリティあふれるアイテムがラインナップされています。
今回は株式会社日本香堂 プロジェクト開発部 ブランド開発室 課長の嶋脇明菜(しまわき あきな)さんと、市場開発部 主任の坂場美希(さかば みき)さんにブランドのコンセプトやアイテムの紹介、プロダクトへのこだわりなどお話を伺いました。
新たな取り組みで次世代に香りを届ける
―nowasというブランドはどんなきっかけではじまったのでしょうか
嶋脇氏:日本香堂というとお線香をつくっている会社だという認識を持つ方が多いと思うのですが、たとえば入浴剤やルームフレグランスなど、香りに関するさまざまな商品をつくっています。
そんな中、自分たちで工場を持ちフレグランスをつくったというのは、今回のnowasがはじめてのことになります。
坂場氏:昨年グループ450年を迎え、次世代に向けた新たな取り組みをしようというプロジェクトチームが立ち上がり、香水をつくることに至ったんです。
どういったものであれば次世代に響くのか、日本香堂の強みとは何か、ということを考えたときに私たちは香りが好きで入社しているので、お線香やお香以外の新しいキャリアでも”香りの良さ”をどう届けるかということを考え、フレグランスブランドnowasがはじまりました。
日本香堂nowas開発チームのみなさん 写真向かって左から3番目が嶋脇さん、4番目が坂場さん
今と過去を、和の精神をもって繋ぐnowasのブランドコンセプト
―nowasのブランド名の由来はありますか
嶋脇氏:nowasは造語になるのですが、今(now)と過去(was)を、和(wa)というキーワードで掛け合わせていまして、過去と今を和の精神をもって繋ぐということをブランドコンセプトとしてnowasというブランド名になりました。
そのブランドコンセプトの中には、私たちが薫香(くんこう)に携わってきた歴史を尊重して、新たなチャレンジをするという意味が込められています。
私たち日本香堂の歴史もそうですが、日本の香文化といったところにも意味を持たせていまして、今のライフスタイルに、伝統ある香りを届けるということにも取り組んでいます。
nowasを彩る4つの香り
―nowasのアイテムを紹介してください
坂場氏:ブランドが今年の2月にスタートしまして、4つの主軸商品をラインナップしたのですが、それぞれ日本の香文化からインスピレーションした商品になっています。 順にご紹介させていただきますと、
はじめに「AQT(アクト)」という商品なのですが、こちらは気を整え、勇気を灯すというテーマがありまして、戦国時代の武士は戦の前に**沈香(じんこう)**という香木を焚き、気を整えたといわれています。
その沈香の香りをベースにピンクローズで華やかな印象を感じていただき、柚子でピリッとしたニュアンスを表現しています。
武士が戦いの前に気を整えたっていうところを、今の私たちに置き換えると、なにか大事なシーンを控えたときに、気持ちを後押ししてくれる存在っていうところをイメージして作っています。
続いては「TIE(タイ)」という商品なのですが、平安時代に貴族たちは香りを教養として学んでいたみたいなんですね。
女性は男性に顔を見せられないとか、そういった時代背景で、着物や手紙に香りを焚きしめたといわれ、自己表現として香りを使っていたという事柄からインスピレーションを受けて表現した香りです。
白檀(びゃくだん)、サンダルウッドというと聞き馴染みがあるかと思いますが、
こちらの香りをベースにしています。ベルガモットとレモンで軽やかな甘さと爽やかさを感じていただきながら、ローズとアイリスでみずみずしい華やかさを、そしてサンダルウッドとムスクのパウダリックな質感を表現し、お香のような印象を持っていただけると思います。
嶋脇氏:そして次に「ZEP(ゼップ)」という商品なのですが、こちらも先ほどのAQTと同じように沈香の香りをベースとしています。
テーマとしたのが室町時代の後期にかたちづくられた、芸道の世界。茶道、華道、香道 という芸道があるのですが、茶室のような畳の上で花開いた様子をイメージしていまして、畳を思わせるような爽やかな香りはバンブーで表現しています。
ZEPというネーミングは「Zephyr(ゼファー)」という「そよ風」を意味する言葉に由来し、良い風が吹いて、ひらめくようなイメージでつけました。今のシーンに置き換えるとなにか集中したいときや、アイディアが欲しいときに使っていただきたいという意味を込めて作っています。
ベルガモットやラベンダー、ジャスミンが爽やかなハーバル感を届けてくれると思います。
坂場氏:4つ目は「WAF(ワフ)」という商品になります。こちらは先ほどのTIEとおなじく白檀の香りをベースとしております。
イメージしたのは江戸時代で、この頃ようやく庶民に香りが広まり、香り袋をファッションアイテムとして身につけていたそうです。
その用途や目的はさまざまあるのですが、邪気払いだったり、お守り代わりの使い方もあったようです。
WAFは最初に、スパイシーさが香るのですが、それは邪気払いのイメージで、そのあとカルダモンとシナモンなどの温かさが、守ってくれるように感じます。またお餅のようにふくよかなバニラの香りなどが包み込むように香り、幸福感で心を満してくれるというものになっています。
“香りのお守り”を体現したプロダクト
―プロダクトのこだわりについて教えてください
嶋脇氏:nowasの商品は**“香りのお守り”としてとらえていまして、持っているだけで気持ちが高まるとか、なにか行動を後押ししてくれる存在であってほしいと考えています。**
持ち運べて、いつでも身近にいてくれるものを形にしたいという思いをデザイナーに伝えて、プロダクトに落とし込んでもらいました。
サイズが小さくて、手の平に馴染むフォルムで、キャップの部分に木のぬくもりがある部分は今までに日本香堂が培ってきた歴史を感じられるようになっています。 また、昔と今、静と動のような、相反するものを掛け合わせたイメージも表現したプロダクトになっています。
そしてすべての商品には巾着袋がついてきます。これは香りのお守りというお話しを先ほどさせていただいたのですが、この巾着袋に納めていただいて、このままバッグに入れてお守り袋のように持ち歩いていただけるように作りました。
nowasのパッケージ ボトルカラーとリンクした巾着袋が付いてくる
渋谷PARCOのポップアップショップ
―ブランドデビューに合わせて渋谷PARCOにて10日間のポップアップショップが開催されました。はじめてのポップアップショップはいかがでしたか。
坂場氏:4つの商品は基本的にまんべんなく買っていただいた印象なのですが、渋谷PARCOという土地柄インバウンドのお客様も多くいらっしゃいまして、強いていうならAQTが人気だった印象があります。
日本のお客様にはTIEが人気だった印象で、海外の方はしっかりめの香りのもの、日本の方は日常使いができるような爽やかなものがお好みという感じでしょうか。
あと香りの持続時間を気にされるお客様が多かったです。nowasは肌につけてしばらく経つと香りが柔らかくなって、それからも持続するようにつくっているというお話を売場でさせていただきまして、ご購入いただきました。
nowasはオードパルファムという規格なのですが、おおよそ4〜6時間香りが持続するといわれています。
私たち日本香堂が作っているお香は、もともと焚いている時間を楽しむだけじゃなくて、残り香を楽しむともいわれていまして、そういった楽しみ方もフレグランスにも持ち込めるといいなということで、持続時間にはこだわりました。
渋谷PARCOでのポップアップショップ
日本香堂では沈香と白檀をお香の原料として使っているということから、nowasでもそこにリスペクトし商品の香調にこの2つを採用しているといいます。
和をモチーフにしていることもあり、ほかでは体験できないようなオリジナリティあふれる香りですが、日本人にはどこか懐かしさも感じられます。
日本で誕生し、日本らしさがふんだんに散りばめられているnowas。 今後、世界で注目されるブランドになるのではないでしょうか。