AIを使った仕事、評価面談でどう説明する?

AIで作業が早くなったあと、成果をどう伝えるか。利用回数ではなく、自分が判断したこと、勤務時間外の作業、AIに入れない情報を整理します。

AIを使った仕事、評価面談でどう説明する?

AIを使うと、どこまでが仕事か迷いやすい

Xでは、最新ツールを試した話や、AIで作業がどれだけ早くなったかという投稿を見かけます。そうした声は職場の関心を知る手がかりにはなりますが、この記事では根拠としては扱いません。

AIを使うと、どこまでが仕事か迷いやすい

ここで考えたいのは、もっと日常的な場面です。資料のたたき台が早くできたら、空いた時間に次の仕事が入る。帰りの電車で、翌日の会議メモをAIで下書きする。1on1で「どのくらいAIを使っている?」と聞かれ、利用回数や短縮できた時間ばかり話してしまう。

これは、AIでメールや議事録を早く作る方法とは少し違います。30代・40代といっても、担当者として手を動かす人、後輩を見ながら自分の数字も持つ人、管理職としてルールを説明する人まで立場はさまざまです。共通して迷いやすいのは、AIを使った成果をどう伝えるか、勤務時間外の小さな作業をどう扱うか、入力してはいけない情報をどう決めるかです。

使った回数より、自分が判断したことを書く

AIを使った回数、入力したプロンプト数、生成した文書の本数。どれも記録しやすい数字です。ただ、評価面談でそれだけを並べても、自分が何を判断したのかは伝わりにくくなります。

たとえば「AIで議事録を作りました」だけでは、仕事の中身が伝わりません。「会議後の論点整理を早め、次回までに決める項目を3つに絞った」と言えば、何を判断し、相手と何を決めやすくしたのかまで伝わります。

「AIで提案書を作りました」なら、「複数案の抜け漏れを比べ、顧客に出す前にリスクのある案を外した」と言えます。AIに任せたのは観点出しや文章の下書きで、最後に決めたのは自分です。

今週の成果メモは、AI利用回数ではなく次の3点で残します。

  • AIに任せたこと
  • 自分が判断したこと
  • 手戻りを減らしたこと

細かい記録で十分です。「FAQ案はAIで初稿。古い仕様を削除し、問い合わせが多い順に並べ替えた」。この一行があると、面談で話せる内容が変わります。

通勤中や夜の5分も、まず記録しておく

スマホで下準備できることは、たしかに増えました。駅のホームでメールの文面を直す。夜、翌朝の会議メモをAIで下書きする。5分なら負担に見えない分、積み重なると勤務時間との区別がつきにくくなります。

通勤中や夜の5分も、まず記録しておく

ここで「それは必ず労働時間です」とは言い切れません。労働時間に当たるかは、指示の有無や業務との関係など、個別の状況で判断されます。厚生労働省の労働時間管理のガイドラインでも、使用者の指揮命令下にある時間や、業務に必要な準備・学習の扱いは個別具体的に判断されるとされています[1]。

だから、まず記録します。勤務外にAIを開いたら、作業名だけを残す。「月曜夜、明日の定例アジェンダ下書き、10分」。このメモがあると、上司や人事に確認するとき、事実をもとに話せます。

テレワークのガイドラインでも、労働時間管理の方法や連絡方法などは、あらかじめ労使で話し合い、ルールを決めることが重要とされています[2]。AIでの下準備も、個人の工夫だけで済ませないほうがよいでしょう。「勤務時間外にやる前提にしない」「急ぎの指示はどのチャネルだけにする」など、チームで確認しておくと話しやすくなります。

チームで先に決めたい「入力しない情報」

新しいAIツールの名前はすぐ増えます。けれど、チームで最初にそろえたいのは、どのツールを使うかより、何を入れないかです。

個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力する場合のリスクや、利用規約・プライバシーポリシーの確認に注意を促しています[3]。総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインも、AI利用者にとってプライバシー保護、セキュリティ、透明性、説明責任が重要な観点であることを示しています[4]。

現場のメモに落とすなら、まず3種類で十分です。

  • 顧客名、連絡先、社員番号など個人を特定できる情報
  • 未公開の売上、契約条件、企画書、議事録
  • 社外秘のトラブル、評価、人事に関わる情報

会社で許可されたAIがあり、入力できる範囲や保存設定が明示されているなら、そのルールに従います。曖昧な場合は、「固有名詞を伏せれば大丈夫」と個人判断で進めず、確認事項として残す。30代・40代には、AIを使う側として作業を進める人もいれば、後輩やチームに使い方を説明する立場の人もいます。だからこそ、便利だからと各自の判断に任せきらないほうがよいでしょう。

評価面談では、ツール名より仕事の中身を話す

面談や1on1では、ツール名を前に出すより、仕事の中身を短く話したほうが伝わります。

「AIでメールを短時間で返しました」 「返信前に論点を整理し、相手が選べる次のアクションを明確にしました」

「AIで資料を作りました」 「初稿づくりを短縮し、比較表の前提条件を自分で確認しました」

「AIで議事録をまとめました」 「決定事項と未決事項を分け、担当者が動ける形に直しました」

ポイントは、AIがしたことではなく、自分が残した判断を主語にすることです。品質を確認した、合意に必要な順番に並べた、社内ルールに合わない情報を削った。そうした仕事は、生成物の量よりも面談で説明したい部分です。

もちろん、評価制度は会社によって違います。AI利用そのものを評価項目にする職場もあれば、まだルールが曖昧な職場もあります。面談では、「どの範囲までAI利用を成果説明に入れるべきか」「利用ログや社内ルールは何を基準にするか」も確認しておくと、あとで説明しやすくなります。

まずは今週、3つだけ確認する

最新ツールを全部追い続けるのは、現実的ではありません。まずは、自分の仕事でAIに任せる部分と、自分で確認する部分を説明できるようにしておくほうが役に立ちます。

今週やるなら、3つで十分です。

  1. 成果メモを1行だけ、AI利用回数ではなく「自分が判断したこと」で残す。
  2. 勤務外にAIで下準備したくなった作業を1つ記録し、確認事項にする。
  3. 自分の仕事で、許可なくAIに入れない情報を3種類だけ書き出す。

AIを使うこと自体を怖がる必要はありません。ただ、便利になるほど、成果の説明、勤務時間外の作業、情報の扱いを聞かれる場面は増えます。評価面談でも、チームの雑談でも、「何をAIに任せ、何を自分で判断したか」を短く話せるようにしておく。それが、AIを仕事で使うときの準備になります。

参考文献

  1. 厚生労働省. 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
  2. 厚生労働省. テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインについて. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6069&dataType=1&pageNo=1
  3. 個人情報保護委員会. 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について. https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
  4. 経済産業省. AI事業者ガイドライン. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。