飲み会翌日の肌ケア:脱水・炎症・血流・睡眠の4つの実践対策

飲み会翌日の肌は赤み・むくみ・乾燥が出やすい。編集部が朝・日中・夜それぞれのやさしいセルフケアと、今すぐ試せる現実的な回復プランを35〜45歳女性向けに紹介。まずは今日の朝からできるステップをチェック。詳しい手順は記事で写真つき解説。

飲み会翌日の肌ケア:脱水・炎症・血流・睡眠の4つの実践対策

飲酒が肌に与える影響を科学で読み解く

日本人の約4割はアルコール分解酵素(ALDH2)の活性が低いとされ、顔の赤みやむくみが出やすい体質が一定数存在します[1]。さらに、医学文献によるとアルコールは抗利尿ホルモンを抑えて体から水分が出ていきやすく[2]、睡眠を分断し、肌の回復力を低下させる可能性があります[3]。編集部で各種研究データを読み解くと、飲み会翌日の肌トラブルは「脱水」「炎症」「血管拡張」「睡眠の質低下」が同時に起きていることが多いと考えられます。なお、飲酒後の強い口渇感は必ずしも脱水の指標ではなく、血漿浸透圧の上昇や口腔粘膜の乾燥による可能性が指摘されています[2]。

言い換えれば、会翌日のケア方法は、この4つに対策を意識した設計にするとよいでしょう。やみくもにスペシャルケアを重ねるのではなく、まず水分とバリア、ついで血流と睡眠を整える。きれいごとで片付けない、現実的な順番と強度でのぞむのが有効と考えられます。ここでは、科学的な裏づけをベースに、忙しい35-45歳の私たちでも続けられる実践的な方法をまとめました。

アルコールは肝臓でADHとALDH2により代謝され、その途中で生じるアセトアルデヒドが炎症や血管拡張を引き起こします[1]。頬や小鼻の赤み、ほてりはこの影響が色濃く、体質的に分解が遅い人ほど長引きやすい傾向があります。加えて、利尿により体内の水と電解質が失われ[2]、角層の水分保持にも影響します。乾燥とツヤのなさが同時に起こるのは、単なる保湿不足ではなく“内側の水分ロス”が背景にあります。

研究データでは、飲酒は睡眠の前半に深い眠りを増やす一方で、後半の睡眠を断片化させ[4]、結果として肌の夜間リペアに必要な時間が削られやすいことが示されています。エスティ ローダーと大学の共同研究では、質の低い睡眠群は肌のバリア回復が約30%遅いという報告もあり[5]、会翌日のケア方法に睡眠の再設計が重要な理由の一つと考えられます。さらに、甘いカクテルや締めの糖質は終末糖化産物(AGEs)の蓄積を高め、弾力低下に関与することが皮膚科学のレビューで指摘されています[6]。むくみについては、塩分の高いおつまみと血管拡張が重なり、朝のまぶたやフェイスラインに水分がよどみやすくなる。だからこそ、翌朝は「水だけ」ではなく、電解質と温冷のコントロール、摩擦を避ける洗顔、バリア回復型の保湿が効率的と考えられます[7]。

飲み会翌日の朝:肌を立て直すケア方法

会翌日の朝は、まず内側のリセットから始めるとスキンケアの効きが変わることがあります。起きてすぐに常温の水をゆっくり含ませるように飲み、喉が渇いている時は経口補水液を少量ずつ挟みます。これはナトリウムと糖の同時輸送で水分の吸収効率を高めるためで、単なる大量の水より体に残りやすい設計です[7]。カフェインは巡りを助ける反面、利尿を強めるので、朝に一杯だけにしておくとバランスが取りやすくなります。

顔に触れるときは、摩擦を減らす工夫を積み重ねると回復が早まる可能性があります。洗顔はぬるま湯で皮脂と汗を浮かせ、低刺激のジェルやミルクを“押して離す”タッチでなじませてから、両手で水を運ぶようにすすぎます。タオルはこすらず、柔らかい面で水滴を“置き取る”イメージにすると、赤みの火に油を注がずにすみます。

保湿は層を薄く重ねて、角層の水分保持とバリア補修を同時に狙います。ヒアルロン酸やグリセリンで水分を抱え、セラミド・コレステロール・脂肪酸の配合が明示された保湿剤で隙間を埋める。乾燥が強いところだけワセリンを米粒一つ分ほど薄く乗せると、テカり過ぎずにフタができます。赤みが強い日はビタミンCやレチノール、ピーリング酸はお休みし、ナイアシンアミドの低濃度やパンテノール、ツボクサエキスなど刺激の少ない処方に寄せると無理がありません。

むくみには温冷のリズムが有効なことがあります。ぬるめのシャワーで首筋から肩を温めたあと、冷やしたスプーンや保冷剤をハンカチで包んで目元に数十秒あて、外側へ流すように離します。重力に逆らってゴリゴリ押すのではなく、皮膚を動かさずに“冷やして、解く”ミニマルなケアで十分です。日中に向けた肌色補正は、緑みのある化粧下地を薄く仕込んで赤みをやわらげ、ファンデーションはスポンジの水分を軽く絞ってから薄膜に。仕上げの粉は小鼻まわりだけにして、乾燥ゾーンは光沢を残すと疲れが目立ちにくくなります。

そして紫外線対策は翌日にこそ丁寧に。角層がゆらいでいる時ほど外部刺激の影響を受けやすいため、SPFとPA値の高い日焼け止めを、顔全体でティースプーン半分強を目安に二度に分けて塗り、頬の高い位置と鼻筋は重ねづけするとよいでしょう。塗り直しは、日焼け止めミルクを米粒大ずつ頬に置き、スポンジでトントンなじませるとヨレにくくなります。紫外線の記事はこちらでも詳しく解説しています。

日中と夜のリカバリー:24時間の設計図

午前中は、こまめな水分と軽い巡りで体を目覚めさせる助けにします。デスクでは常温の水か薄めた経口補水液を少しずつ、トイレ休憩のたびに肩を回し、ふくらはぎを上下に動かす。これだけで顔のよどみが軽くなることがあります。乾燥が気になる時のミストは、粒子が細かく保湿成分が入ったものを肌から離して“一呼吸で終わる短さ”で。吹きすぎればかえって水分が蒸発するので、手のひらでそっとフタをして終えるのが合図です。

食事は、たんぱく質とカリウムを含むメニューに寄せると回復の足場ができます。鶏むねや豆腐、鮭と、ほうれん草やアボカド、キウイのような食材を組み合わせ、塩分は控えめに。味噌汁やスープの温かさは消化を助け、体内の“冷えむくみ”もやわらげます。砂糖の多いドリンクはAGEsの観点でもほどほどにし[6]、午後の眠気には緑茶を小さめのカップで。水分補給の考え方はこちらも参考になります。

夕方以降は、回復の主役である睡眠に向けてギアを落とします。帰宅後すぐの熱い長風呂はのぼせと乾燥のもと。38〜40℃のぬるめで10分前後にして、上がったら5分以内に保湿を済ませます。ナイトケアは、朝と同じくバリア優先の処方に寄せ、角層がしっとり“安定している感覚”を合図にやめるのがコツ。攻めの美容液は明日に回して問題ありません。眠る90分前に照明を落とし、スマホの光を遠ざけると、分断された睡眠の質が戻る助けになることがあります。睡眠の基本設計についてはこちらで丁寧に解説しています。

メイク直しが必要な日は、クレンジングウォーターを綿棒に含ませて小鼻や目尻だけをオフし、保湿ミルクを米粒大なじませてから薄く重ねると、全オフより摩擦が少なくて済みます。マスクを着けるなら、内側にティッシュを一枚はさんで蒸れをコントロールすると、崩れと赤みの再燃を防げます。乾燥対策の基本はこちらもチェックしてみてください。

崩れを繰り返さないための生活アップデート

次の会翌日に向けた“仕込み”があると、ダメージは目に見えて軽くなることがあります。まず、飲むペースを一定に保ち、一杯ごとに同量の水をはさむルールを自分の標準にするのがおすすめです。割りものはトニックのような砂糖多めではなく、炭酸水やお茶ベースに寄せると、翌朝のむくみと口内の乾きが抑えられる傾向があります。塩分の高いおつまみは最初の一口で満足感を取ってから、枝豆やナッツ、サラダの比率を上げる。お開きの2時間前にアルコールを切り上げてノンアルに切り替えると、睡眠の前半が整って回復が早まる可能性があります[3]。出かける30分前にヨーグルトやゆで卵など軽いたんぱく質を入れておくのも、血糖の乱高下をやわらげる現実的な一手です。

スキンケアの土台も、日々の小さな継続で変わります。毎日セラミドで角層の“レンガの目地”を整え、朝は日焼け止めを習慣化する。ビタミンC誘導体や低濃度レチノールは、肌が安定している夜に少しずつ取り入れるとよいでしょう。会翌日は無理に続けず、戻せる夜に戻す。この引き算と足し算のバランス感覚が、ゆらぎ世代の肌には何よりの武器になります。忙しい日常の中でも、続けられる配分で。

まとめ:今日をいたわり、明日を軽くする

飲み会翌日の肌は、がんばれない日がある私たちの表情そのもの。赤みもむくみも乾燥も、体のサインだと受け止めて、静かな順番で手当てをすれば、たいていの不調は数時間から一日で落ち着くことが多いでしょう。水分と電解質を少しずつ、摩擦の少ない洗顔で始め、バリアを補修して紫外線から守る。日中はこまめな巡りとやさしい食事、夜は明日のための睡眠設計へ、という流れをひとつの方法として持っておくと、会翌日のケア方法は“儀式”ではなく“習慣”に変わります。

**完璧でなくていい、続けられる強度で。**今日、どれからなら始められそうですか。水を一口、タオルで一押し、早めの就寝。小さな一歩が、明日の肌と気分を軽くする手助けになるでしょう。

参考文献

[1] 佐賀大学 医学部 社会医学講座「ALDH2の基礎知識 Q&A”https://sagasocialmed.med.saga-u.ac.jp/aldh2/2023webstudy/qanda/” [2] 医書.jp(医学雑誌記事)飲酒の利尿作用の機序と口渇感に関する解説(視床下部下垂体系・抗利尿ホルモンの放出抑制)“https://webview.isho.jp/journal/toc/00257699/23/3” [3] PubMed ID: 37057339. Alcohol and sleep architecture(アルコールと睡眠構造に関するレビュー)“https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37057339/” [4] Roehrs T, Roth T. Sleep, sleepiness, and alcohol use. Alcohol Res Health. 2001;25(2):101-109. [5] Oyetakin-White P, Suggs A, Koo B, et al. Does poor sleep quality affect skin ageing? Clin Exp Dermatol. 2015;40(1):17-22. [6] Gkogkolou P, Böhm M. Advanced glycation end products: Key players in skin aging. Dermatoendocrinol. 2012;4(3):259-270. [7] 大塚製薬 経口補水液OS-1 エビデンス「ナトリウム・ブドウ糖共輸送機構と水分吸収”https://www.os-1.jp/products/enableindication/evidence/01/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。