エイジングケアは“年齢”でなく“サイン”で始める
研究データでは、顔の見た目の老化の約80%に紫外線が関与するとされます(この「約8割」という数値は医師の見解に端を発し、厳密な統計値ではないとの指摘があります[1]。一方で、慢性的な紫外線曝露(光老化)が見た目の変化に大きく寄与すること自体は皮膚科学の定説です[2,6])。さらに、肌の生まれ変わりを意味するターンオーバーは20代で約28日、40代では45〜60日へと緩やかになります[3]。年齢を重ねることは自然なことですが、紫外線や乾燥、寝不足といった外的・生活要因への対処で、見た目の変化のペースは生活要因の改善で緩やかになる可能性がある——研究はそう示唆しています。NOWH編集部が国内外の研究データを読み解いた結論はシンプル。エイジングケアは「何歳から」より、「何に気づいたときから」。そして、もし35-45歳のゆらぎ世代であるあなたがこの記事を開いたなら、その答えはより現実的に「今日から」です。
年齢を軸にして「もう遅いかも」と身構えるより、乾燥のしやすさやくすみ、ハリの低下といったサインを合図に、生活と肌に合ったケアを段階的に積み重ねること。過剰でも放置でもなく、データに沿って適切に整えること。エイジングケアに必要なのは、その二つの目線です。
肌の内側で何が起きているのか
ターンオーバーが緩やかになると、角層が厚くなりやすく、くすみを感じます[3]。真皮ではコラーゲン線維の質が紫外線や酸化ストレスでダメージを受け、ハリの低下につながると考えられています[8]。さらに、皮脂の減少は乾燥による小ジワを目立たせます[5]。これらは加齢そのものというより、加齢×生活環境の掛け算。生活要因に対処することで、見た目の変化が穏やかになることがあると考えられます。
35-45歳の“いま”の典型サイン
朝は問題ないのに夕方の乾燥が強い、頬の毛穴の影が濃くなった、目元のファンデが入り込みやすい、首や手の甲に日焼けの名残が抜けにくい。こうした小さな変化が積み重なると、写真や鏡でふと「疲れて見える」と感じやすくなります。編集部メンバー(40代前半)は、朝のUV対策を見直し、夜の保湿を丁寧に重ねるだけで、2カ月後には化粧直しの回数が減りました(※個人の感想であり、効果効能を保証するものではありません)。
いつ始める? 結論は「今日から、段階的に」
「何歳から」は便利な検索語ですが、ケアはカレンダーではなく今日の肌から始めます。最初に大切なのはUV対策・洗浄と保湿・睡眠と栄養の三本柱を、無理なく続くレベルで整えること。エイジングケアの多くは、この土台の上で効果を実感しやすくなることが多いです。
今日からできる“土台”の整え方
紫外線対策は季節を問わずに行います。一般的にSPF30でUVBを約97%カットできるとされ[7]、日常生活ではPA値の高い製品がUVA対策の助けになります[6]。量は顔全体でパール2個分を目安に、頬や鼻筋など高いところから薄く均一に。テレワークでも窓際の光があるなら、朝の一塗りを習慣にします[6]。
洗浄と保湿は“奪いすぎず、与えすぎない”が基本です。ぬるま湯での洗顔にやさしい洗浄料を合わせ、入浴後5分以内に化粧水や美容液、乳液やクリームの順で水分と油分をバランスよく重ねます。乾燥小ジワが出やすい目元・口元は最後に少量を重ねづけし、枕との摩擦を減らすために寝具の清潔さと素材にも配慮します。
睡眠と栄養は肌の夜勤シフトを守るイメージです。就寝の90分前から強い光を避け、カフェインを控え[9]、タンパク質と色の濃い野菜、良質な脂質を欠かさない。肌は臓器のひとつ。からだ全体のコンディションが、翌朝の肌の透明感やむくみに直結します。睡眠と肌リズムの関係は、NOWHの関連記事「眠りと肌リズムの整え方」でも詳しく解説しています。睡眠の質と肌老化指標の関連を示す研究報告もあります[10]。
“強度”は季節と生活に合わせて上げる
三本柱が安定してきたら、季節の変わり目や多忙期に合わせてケアの強度を微調整します。花粉や冷暖房で乾燥が進む時期は保湿の重ね方を増やし、夏はUVと抗酸化の軸を太く。仕事が立て込み睡眠が削られる週は、夜のケアを“短くても濃く”に切り替えます。35-45歳は生活の役割が増える時期。完璧なルーティンより、続けられるスイッチングの設計がエイジングケアの現実解です。
成分で選ぶなら:目的別の考え方
土台が整ったら、悩みに合わせてアイテムを一つ足します。医学文献によると、ビタミンC(L-アスコルビン酸や誘導体)は酸化ストレスから肌を守り、透明感のある印象づくりに寄与すると報告されています[11]。朝のUV対策と組み合わせると、日中の外的ストレスに対する守りが強くなるイメージです。併せてナイアシンアミドは水分保持を助け、キメの乱れを整える働きが期待できます[12]。詳しい選び方は関連記事「ビタミンCコスメの選び方」も参考にしてください。
ハリ不足や乾燥小ジワが気になるときは、ヒアルロン酸やグリセリンなどの保湿成分をベースに、セラミドで角層のバリア機能を支えます[13]。レチノールを含むコスメは夜の使用が一般的で、乾燥しやすい人は低濃度・高保湿と併用するなど、肌の様子を見ながら段階的に慣らすと無理がありません。薬機法上の表現では、乾燥による小ジワを目立たなくするなどの機能性表現が用いられます。刺激感が不安な人は、週2〜3回から始め、赤みや違和感があれば頻度を下げる、保湿を厚くする、あるいは中止し医療機関に相談するなど、肌ファーストの姿勢を忘れないでください。レチノールは外用で細かなシワの改善が示唆されているという報告があります[14]。
くすみとごわつきには、穏やかな角質ケアが選択肢になります。ポリヒドロキシ酸(PHA)などマイルドな角質ケア成分は、敏感さを感じやすい世代にも比較的合わせやすい存在です[15]。過度なピーリングは逆に乾燥を招くため、保湿とセットで考えます。
“全部盛り”より、生活に一つ足す
エイジングケアの落とし穴は、気合いが入った初日にアイテムを増やしすぎること。編集部のおすすめは、朝なら「UV+抗酸化」、夜なら「保湿+1成分」の二層構造です。これなら忙しい週でも続き、トラブルがあったときに原因を切り分けられます。UVの基本については「日焼け止めの基礎知識」もあわせて読んでみてください。
1日の流れで見る、ムリのないエイジングケア
朝は、顔をこすらない洗顔でスタートし、化粧水や美容液でうるおいを含ませます。ここで抗酸化ケアを一つ合わせ、最後にUVを丁寧に。ベースメイクを薄く仕上げたい日は、UV効果のある下地を選び、パウダーは皮脂の出やすいTゾーンだけに軽くのせると、乾燥による小ジワの目立ちを抑えられます。外出時間が長い日は、昼に一度だけでも塗り直しの機会を作ると安心です[16].
日中は、室内の乾燥や長時間の画面による目元の疲れが“老け見え”を招きます。加湿器やデスク用の小さなミストを活用し、姿勢と視線の位置を意識して負担を減らします。飲み物は、冷たい清涼飲料より常温の水かお茶を少しずつ。むくみに配慮しつつ、脱水を避けるバランスを探します。
夜は、メイクや日焼け止めをやさしく落とし、湯温は40℃未満に。入浴で芯から温まったら、タオルオフ後5分以内に保湿。肌が柔らかいうちに、クリームや油分でフタをして水分の逃げ道をふさぎます。週に数回は、気になるパーツだけに集中ケアを。たとえば目元は摩擦を避けるために薬指でそっと、首は上方向になじませるなど、小さな工夫の積み重ねが差につながることがあります。
そして就寝。デバイスのブルーライトを遠ざけ、部屋の照明を落とします[9]。睡眠の質は、翌朝の透明感やむくみ、肌のキメに反映されます[10]。短い夜でも、寝る前の10分だけ呼吸を整える時間を作ると、自律神経が静まり肌の回復環境が整います。
“続けられる設計”が、明日の顔をつくる
毎日完璧である必要はありません。大切なのは、崩れた翌日に立て直すためのシンプルな合図と手順を自分の生活に埋め込むこと。帰宅が遅い日は“落とす・うるおす・寝る”の3動作だけ、朝は“うるおす・守る”に集中する——そんな優先順位があれば、忙しさに飲み込まれません。エイジングケアは意志の強さより、仕組みの上手さがものを言います。
まとめ:始めどきは、あなたが気づいた今日
エイジングケアの正解は一つではありません。年齢で区切るより、サインに気づいたときから始める。そのうえで、UV対策・洗浄と保湿・睡眠と栄養の土台を整え、悩みに合わせて成分を一つ足す。生活に馴染む“続く設計”にする。これだけで、半年後に変化が見られることが期待できます。あなたの肌は、あなたの生活の延長線上にあります。だからこそ、無理なく、賢く、プレイフルに。今夜、何を一つ足しますか?それを選ぶところから、あなたのエイジングケアは始まっています。
さらに深めたい人は、UVの基本やビタミンCコスメ、睡眠と肌の関係の記事もチェックしてみてください。小さな知識の積み重ねが、明日の顔の味方になります。
参考文献
- 青いとり皮膚科クリニック(ブログ). 「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」の出典についての解説(専門家見解の由来を考察). 2021. https://www.aoitori-clinic.com/blog/2021/08/8-1-785723.html
- 上出良一. 皮膚の老化とは―通常の老化と光老化の違い. 日本皮膚科学会雑誌. 2022;132(12). https://www.jstage.jst.go.jp/browse/dermatol/122/0/_contents/-char/ja
- 藤田医科大学. 「皮膚から老化細胞が排除されるメカニズムを解明」(ニュースリリース内で表皮ターンオーバー約28日と加齢に伴う停滞に言及). 2023. https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000atmf.html
- Reilly DM, Lozano JE. Skin collagen through the lifestages: importance for skin health and beauty. OA ePublish. 2021. https://www.oaepublish.com/articles/3863
- Review article (PMC10991793). Age-related changes in skin, including sebaceous function and dryness. National Library of Medicine. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10991793/
- 日本皮膚科学会. Q&A「日焼け・紫外線の健康影響について」(UVA/UVBの違い、窓ガラス越しの紫外線、光老化の解説). https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/index.html
- American Academy of Dermatology (AAD). Sunscreen FAQs/How to select a sunscreen(SPF30は約97%のUVBをブロック). https://www.aad.org/public/everyday-care/sun-protection/sunscreen
- Review article (PMC10947487). Intrinsic and extrinsic skin aging mechanisms and the role of oxidative stress/UV exposure. National Library of Medicine. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10947487/
- American Academy of Sleep Medicine (AASM). Healthy sleep tips(就寝前の強い光・刺激の回避を推奨). https://sleepeducation.org/healthy-sleep/healthy-sleep-habits/
- Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin aging? Clin Exp Dermatol. 2015;40(1):17-22. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25266053/
- Pullar JM, Carr AC, Vissers MCM. The roles of vitamin C in skin health. Nutrients. 2017;9(8):866. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5579659/
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- Green BA, Yu RJ, Van Scott EJ. Clinical and cosmeceutical uses of hydroxyacids, including glycolic acid, lactic acid, polyhydroxy acids, and bionic acids. Dermatol Surg. 2009;35(3):344–356. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19415226/
- U.S. Food and Drug Administration (FDA). Sunscreen: How to Help Protect Your Skin from the Sun(2時間ごとの塗り直し推奨). https://www.fda.gov/drugs/understanding-over-counter-medicines/sunscreen-how-help-protect-your-skin-sun