色が心に与える影響
花や植物、洋服やインテリアなど私たちの身のまわりには、さまざまな色があふれています。そのような色が気持ちや行動に影響を与えていることを知っていますか?
色の持つ効果を利用し、心身のバランスを整える自然療法は「カラーセラピー」と呼ばれ、医療や福祉の現場でも使われています[1]。
目から入る光(色の波長)が脳に伝わり、自律神経やホルモン分泌に作用することは科学的にも証明されていることです[2]。
いくつかの研究では色彩がストレス緩和に役立つ可能性が確認されており、京都大学の研究では特定の色を見せることで被験者の心理状態に変化が見られたという結果も報告されています。[1]。
また、色彩心理学の文献でも、赤やオレンジなどの暖色系の色は興奮をもたらし、青や緑などの色は心を落ち着かせる効果があると記載されています[3]。
30代、40代の女性は、慌ただしい生活や責任の重さからストレスや心の疲れを抱えがち。
女性ホルモン「エストロゲン」や「プロゲステロン」が減少し始める30代後半〜40代前半には、気分の落ち込みやイライラ、不安感も出やすくなります[4]。
「エストロゲン」は幸せホルモン「セロトニン」の分泌を促す物質。減少すると気持ちの浮き沈みだけなく、睡眠や食欲に影響が及ぶことも少なくありません[5][6]。
そんな時、色は視覚を通じて気持ちを前向きに導いてくれます。今の自分に必要な色を取り入れることで、落ち着きや活力、安心感などを取り戻すことができるでしょう。
ここからは実際に、感情別のおすすめの色と効果的な取り入れ方を紹介していきます。
【感情別】色の力で心のバランスを整える方法
イライラ・ストレスには安らぎを感じるグリーンを
イライラしたり人間関係でストレスを感じたりした時にはグリーンの力を借りましょう。
植物の色であるグリーンは、自然の中にいるような安らぎを与えてくれる色です。京都府立大学の研究でも、グリーンが心身の健康に役立つことが認められています[7]。
リフレッシュ効果を持つ明るいグリーンは、仕事や育児に行き詰まったときにもおすすめです。心がニュートラルになり、新たな気持ちで向き合えるようになるでしょう。
おすすめの取り入れ方は観葉植物を部屋に置くことです。視界に入るたび、リラックス効果やリフレッシュ効果が感じられます。
また、波長である色は食べることでもエネルギーを取り込むことができます。緑茶やサラダなど、緑色の食材を食事に取り入れるのも効果的です。
焦りには落ち着きを与えるブルーを

心が焦ると、呼吸がだんだんと浅くなり視野も狭くなってしまいます。そのような時はブルーを意識するようにしてください。
ブルーには呼吸や心拍数を落ち着かせ、気持ちを鎮める効果が認められています[1]。
焦りの裏にあるのはものごとをコントロールしたい気持ち。海や空の色でもあるブルーは、広い視野と柔軟な考えを取り戻してくれるでしょう。
スマホの待ち受けを海や空の色にする、寝具やカーテンをブルーにするなど、すぐ目にできる場所に取り入れてみてください。
焦りが収まらないときには空を見上げて深呼吸をしてみましょう。どこまでも広がる青い空が、心のゆとりを与えてくれます。
不安には安定を与えるブラウンを

理由もなく不安になったり、何となく心がざわついたりする時におすすめなのがブラウンです。大地の色であるブラウンには、心の落ち着きと安定を取り戻す効果があります。
また、グラウンディング(地に根付かせる)を意味するブラウンは、浮足立っているときにも役立ちます。ふわふわした気持ちを、現実に引き戻してくれるでしょう。
おすすめの取り入れ方は、木目調の家具や雑貨をインテリアに使うことです。天然素材のものであれば、自然のぬくもりも感じられます。
また、温かいココアやカフェラテも、心をほっと落ち着かせてくれます。
無気力にはエネルギーを活性化するレッドを

「何もしたくない」「気力がわかない」と感じた時は、エネルギーを活性化するレッドを取り入れましょう。情熱や生命力を意味するレッドは行動力や積極性を高めてくれる色です。
名古屋学院大学の研究では、赤いユニフォームを着ることで選手たちのモチベーションが上がることも認められています[8]。
赤系のリップをつける、赤いネイルを塗るなど、レッドはワンポイントでも十分効果を発揮します。赤い靴を履けば、活動的に行動もできるでしょう。
トマトやパプリカなど、赤色が濃い野菜を食べるのもおすすめです。
寂しさには愛情を象徴するピンクを

寂しさや孤独感を感じた時に優しく寄り添ってくれるのがピンクです。ピンクは愛情や優しさを象徴する色。満たされない気持ちを和らげ、人とのつながりを感じさせてくれます。
また、ピンクには傷ついた心を癒す効果も期待できます。恋愛や仕事で傷ついた時には、柔らかなピンクを意識してみてください。自信を失った心を優しく温めてくれます。
ピンクは花で取り入れるのが効果的です。カーネーションやガーベラなど、ピンク色の花を部屋に飾りましょう。幸福感とともに、優しさや思いやりの気持ちも高まっていきます。
香りとの相乗効果も感じられるでしょう。
落ち込みには希望を与えるイエローを

気分が落ち込み、何をしても楽しくないと感じる時にはイエローの力を借りましょう。太陽の色であるイエローは希望を与え、前向きな気持ちを取り戻してくれます。
また、脳を刺激するイエローは、集中力や思考力も高めてくれます。勉強や仕事をする時に意識すれば、アイデアやひらめきも生まれてくるでしょう。
おすすめは朝カーテンを開けて太陽の光をたっぷりと浴びること。光の波長を感じることで、セロトニンが分泌されやすくなります[9]。
セロトニンは睡眠の質にも大きく影響するホルモン。セロトニンが分泌されることで、睡眠の質を高める「メラトニン」が分泌されやすくなり、良質な睡眠がとれるようになります[10]。
迷いには判断力を高めるブラックを

「どうしたらいいかわからない」「心が揺れて決められない」など、迷いが生まれた時にはブラックを意識しましょう。
ブラックは強さや決断力を与えてくれる色。余計な感情を取り去り、判断力を高めてくれます。まわりの意見に左右されがちな時にも、ゆるぎない強さを与えてくれるでしょう。
ブラックは洋服で取り入れるのが効果的です。気持ちが引き締まるとともに、意志の強さもアピールできます。フォーマル感を演出できるのも、ブラックの利点です。
また、考えがまとまらないときは、黒いノートに想いを書き出してみてください。思考も心もすっきりとしていきます。
自己否定には心をリセットするホワイトを

「私なんてどうせ……。」と自分を責めてしまう時には、ホワイトが力を発揮します。
ホワイトは浄化や始まりを意味する色。否定的な感情や罪悪感を洗い流し、まっさらな気持ちを取り戻してくれます。
「白紙に戻す」という言葉があるように、ホワイトは全てをクリアにしてくれます。新しくやり直したい時や何かを断ち切りたい時にもおすすめです。
効果的なのはホワイトを使って空間を整えることです。
白いシーツやカーテン、クッションなどを使い、清らかな環境をつくり出しましょう。白を基調とした空間が、心の余白を生み出してくれます。
自分をリセットしたい時に白い服を着るのもおすすめです。
まとめ:色の力で自分らしく輝こう

身近にあふれる色はどんな感情にも優しく寄り添い、前に進む力を与えてくれます。
30代、40代の女性は、心も体も揺らぎがち。そんな時こそ、毎日の暮らしに色を取り入れてみてください。自分らしい輝きを取り戻す第一歩となるはずです。
参考文献
[1]カラー映像によるストレス緩和効果の 研究|京都大学
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/bitstream/2433/39566/1/O-6-001.pdf
[2]カラーセラピー ~ストレス解消法~ | 日本成人病予防協会https://www.japa.org/tips/kkj_1011
[3]色彩心理のすべてがわかる本|山脇蕙子著(ナツメ社)
[4]プレ更年期とは?30代~40代に起こる体や心の変化と症状|クラシエ公式サイト
プレ更年期とは?30代~40代に起こる体や心の変化と症状 | 更年期のためのサポート・メディア MenotechLife (メノテックライフ)
[5]女性特有の不眠とは?女性ホルモンと睡眠の関係について専門家が解説|エーザイ株式会社公式サイト
女性特有の不眠とは?女性ホルモンと睡眠の関係について専門家が解説 - 相談e-眠り
[6]食欲と女性ホルモンの深い関係|前田カイロプラクティック公式サイト
食欲と女性ホルモンの深い関係性 / 健康コラム - 前田カイロプラクティック
[7]都市における緑の効用-身近な緑がもたらす心身の健康と人間らしい生活|京都府立大学
071213tosimondai.pdf
[8]ヒトはなぜ赤に反応するのか? 赤色の機能に関する進化心理学的研究|名古屋学院大学総合研究所
https://ngu.repo.nii.ac.jp/records/949
[9]適度な日光浴のススメ 太陽の光を浴びることで期待できる効果|再春館製薬公式サイト
適度な日光浴のススメ|太陽の光を浴びることで期待できる効果|私らしく。|再春館製薬所
[10]メラトニンと睡眠の関係とは?セロトニンや快眠を得る効果的な方法も解説|いびきメディカルクリニック公式HP
メラトニンと睡眠の関係とは?セロトニンや快眠を得る効果的な方法も解説 | 【公式】いびきメディカルクリニック