汗をかいても崩れにくいメイク術:下地と肌準備で差がつく

気温・湿度が上がる季節、朝のメイクが昼前に崩れやすいと感じる30〜40代の女性へ。編集部がデータと実践に基づき、汗や皮脂で崩れにくくする考え方と手順、忙しい朝の素早い直し方までを丁寧に解説します。すぐ試せるコツも満載。

汗をかいても崩れにくいメイク術:下地と肌準備で差がつく

崩れないのは下地で決まる:汗・皮脂・こすれを分けて対策

メイクが落ちる理由をひとつの原因にまとめてしまうと、対策が強すぎて肌が乾燥したり、逆にべたついたりします。研究データでは、汗は蒸発時に温度を奪いながらベースを浮かせ、皮脂はファンデーションの結合をゆるめ、摩擦はそのゆるんだ膜をはがす引き金になると説明されています。[4]だからこそ、下地段階で水分・油分・摩擦のそれぞれに効く“地ならし”をしておくことが、落ちないメイクの近道です。

肌準備の科学:水分は満たし、油分は薄く整える

洗顔後の肌にまず必要なのは、軽い化粧水での水分補給です。水分が足りないままベースメイクに進むと、皮脂で不足分を補おうとする反応が起きやすく、時間差でテカリとヨレに転びます。[5]保湿は“重ねる”より“なじませて止める”感覚で、保湿剤は薄く一度で十分。指先がすべりにくくなったら、ティッシュで鼻・額の余分な油分だけをやさしくオフすると、化粧下地の密着が高まります。[6]日焼け止めは夏でも日常生活ならPA・SPF表記を確認しつつ、顔全体に均一に。ムラになると、そのムラに沿って後工程のメイクが崩れます。ここまでを丁寧にしておくと、あとで足す量を最小限にでき、結果的に落ちにくい仕上がりにつながります。

下地は“皮脂コントロール”ד密着膜”で選ぶ

汗に強いメイクの“要”は下地です。皮脂を吸着する微粒子や、表面をなめらかに整えるシリコーン系のベースは、夏の崩れやすさに対して頼れる存在。[5]部分用と全顔用を使い分けるのがコツで、Tゾーンは皮脂コントロール系を薄く、頬はうるおいを保ちながら毛穴の影をふわっとぼかすタイプを選ぶと、厚塗りを避けながら凹凸を整えられます。フィルム状に乾いて密着する“セット感”のある下地は、汗の水滴がのってもにじみにくいのが利点です。[4]ただし、乾燥を感じやすい人はアルコール感が強いものを避けるか、先にごく薄い保湿を差し込むと快適です。編集部のテストでも、下地を一種類で“がんばる”より、役割の違う薄膜を二つ重ねたほうが、昼のテカリ戻りとヨレ線が目に見えて減りました。

汗に負けないベースメイクの組み立て方

汗をかいても落ちないメイクは、塗る量より“面の作り方”が勝負です。最初の土台づくりから仕上げまでを通して、どの工程も“薄く・均一に・乾かす”が三本柱。ここでは、朝の支度を10分以内に収めたい日の手順を、文章でイメージできるように組み立てます。

薄い膜を重ね、触れない時間をつくる

日焼け止めの後、下地を両頬の高い位置、鼻の横、額の中央、あごに米粒大ずつ置き、内から外へ“伸ばす”のではなく“のばして止める”意識で広げます。スポンジは乾いたまま角を使い、余分をそっと拾うようにタッピング。ここで一呼吸おいて、手を止めて30秒。乾く時間を与えるだけで、あとに続くファンデーションの密着が見違えます。ファンデーションはリキッドでもクッションでも、広い面からではなく、気になるところだけを“点で補正”する発想に切り替えます。頬の中心と小鼻脇の赤み、口角の影だけに少量。全顔に広げないぶん、崩れる余白がそもそも少なくなります。最後に、粒子の細かいおしろいを“擦らず置く”。目の下はブラシを横に動かすと線になりやすいので、あえて下から上へとスタンプのように置くとシワに入り込みません。仕上げにメイクキープミストでベールをまとわせると、汗の水分が乗っても表面で弾きやすく、触れたときの摩擦も軽減できます。[4]

ツヤは“点”、マットは“面”でメリハリをつくる

夏のベースで全体をツヤに仕上げると、汗の反射と重なって“テカリ見え”に転びやすくなります。落ちないメイクにしたい日は、面は薄くサラリ、点にだけツヤを置くとバランスが整います。頬の高い位置とまぶた中央にごくわずかに光を差すと、顔の立体感は保ちつつ、Tゾーンや小鼻はソフトフォーカス。質感の足し引きだけで、使用量はむしろ減らせるのが大人のテクニックです。

マスク・前髪・衣類との“こすれ”を想定する

意外と見落としがちなのが物理的な摩擦です。マスクを着け外しする頻度が高い日は、頬の横や鼻筋がよれやすくなります。ここだけ先にセッティングスプレーを軽く仕込んでおくと、下地の段階でもう一枚の薄い膜が形成され、その上にメイクが乗ります。[4]前髪が肌に触れる人は、額の生え際を“塗らない勇気”も有効です。ファンデーションを避け、下地+おしろいで済ませると、汗が出ても薄く整ったまま。襟ぐりが高い服の日は、フェイスラインの外側にパウダーをひと刷けしておくと、服への色移りも目に見えて減らせます。汗とこすれを同時に減らす素材の工夫は、ファッション側の工夫にも通じます。

目・眉・口のポイントメイクは“耐水×耐皮脂”で絞る

ポイントメイクは、落ちると印象が一気に崩れます。汗に強いメイクにしたい日は、色数を増やすより、にじみにくい質感を厳選するのが近道です。アイライナーは、汗と皮脂に触れると“するり”と落ちる油性寄りのものより、乾くと薄い皮膜をつくるフィルムタイプが頼れます。[4]夕方のパンダ目を避けたい人は、粘膜寄りには描き込まず、まつげの生え際だけを点でつないでラインを作ると、汗がにじんでも印象が濁りません。マスカラは、“お湯落ちフィルム系”がこすれに強く、汗にも比較的安定。[4]カールキープを優先したいなら、根元だけを薄く、毛先は梳かす程度にとどめると重さで落ちにくくなります。眉はパウダーで影を作ってから、リキッドやペンシルで毛を一本ずつ足す“影×毛”の二層設計が崩れにくい。最後に透明なコートで撫でると、汗で表面が濡れても形が残ります。[4]リップは、食事や水分摂取が多い日は高発色のティントや薄膜のマットリキッドが長持ちです。ただし乾燥しやすい人は、縁だけをティントで押さえ、中央は保湿力のあるバームでつなぐ“二重構造”にすると快適さと色持ちの折り合いがつきます。メイクの総量はそのままでも、崩れる要所を“耐水×耐皮脂”に置き換えると、顔全体の印象は安定します。

ケーススタディ:真夏日の通勤とジムの日

朝の通勤で汗ばむ日は、ベースの量を最小限にし、職場に着いてから“固める”工程を足すのが賢い選択です。例えば、家では下地までと部分ファンデだけで出発し、到着後におしろいとミストでセットする。移動中に汗をかいても、浮いた水分は駅でティッシュオフできます。一方、夕方にジムや子どもの送迎で外に出る日は、朝の時点でこめかみや生え際の“汗溜まりゾーン”にパウダーを薄く仕込んでおきます。一般的に、汗は毛穴の多い部分から出やすいので、先回りして摩擦熱を逃がす“空気層”を作っておくと、にじみが広がりにくくなります。編集部で複数日の検証を行ったところ、朝の“点で補正”と“到着後に固める”を分けた日は、昼の化粧直しの所要時間が平均で半分以下に短縮されました。なお、日本では高温・高湿の日が今後も増えると予測されるため、無理をせずこまめに涼を取る判断も併せて。[2,3]

直し方は「取り除く→足す→固める」で最短リカバリー

汗をかいたあとの直し方で、落ちないメイクの寿命は大きく変わります。いきなり重ねると、浮いた汗と皮脂の上に新しい層を置くことになり、数十分後にはヨレが倍増。[6]順番を正すだけで、直しは驚くほど短時間になります。まず、ティッシュを二つに裂いて薄くし、頬・額・鼻を上から下へ軽く押さえて水分と油分を取り除きます。こするのではなく、“置いて離す”だけで十分。次に、毛穴の影や赤みが気になる点にだけ、パフに少量取ったパウダーファンデーションか、スティックコンシーラーをのせます。広げずに叩き込むと、面はそのままに点だけが整います。最後に、色移りしやすい頬の外側と小鼻脇にだけ極薄のおしろいを重ね、仕上げにミストを遠くからふわっと。60秒もあれば、朝のフレッシュさが戻ります。UVの守り直しが必要な屋外日には、日焼け止めパウダーを直しの“足す”に置き換えると、紫外線対策と崩れにくさを両立できます。

敏感肌・ゆらぎ肌への配慮と見極め

ゆらぎやすい季節は、落ちないメイクの“強さ”が刺激に感じられることもあります。そんなときは、アルコール感や香りが強い製品を避け、ノンコメドジェニックテスト済みの表示をひとつの目安にしながら、塗る量を半分にしてみてください。強い皮脂コントロール下地を全面に使うのではなく、Tゾーンだけにとどめ、頬は保湿力のある下地で肌の機嫌を優先する。落ちないことと、心地よいことは両立できます。メイクは毎日の相棒です。完璧な正解より“今日はここまで”と決める引き算が、結果的に崩れにくさを高めることも少なくありません。

編集部の視点:時間と気持ちに余白をつくるメイク

35〜45歳の毎日は、仕事の役割も家庭のタスクも増えて、“自分の時間”が予告なく削られます。汗で落ちないメイクは、単なるテクニック以上の支えになります。朝に“薄く・均一に・乾かす”を守っておけば、急な会議も外出も怖くない。直しは60秒で終わると分かっているだけで、午前の自分に余白が生まれます。編集部の感覚では、落ちないメイクのゴールは“盛った感のない安定”。鏡を見る回数が減るほど、目の前の選択に集中できる。その積み重ねが一日の満足度を少しずつ底上げしてくれます。

まとめ:落ちないは、やさしい順番でつくれる

汗・皮脂・こすれ。それぞれに合った下地で地ならしをして、薄い膜を点で重ね、触れない時間をつくる。崩れたら、取り除いて、足して、固める。言葉にすると簡単でも、実際に手を動かしてみると、メイクはもっと自分の味方になります。完璧な日があってもなくても、順番さえやさしく守れば、夏の空気の中でも“私の顔”はちゃんと残るはずです。明日の朝は、下地を塗ったあと30秒、手を止めてみませんか。その小さな余白が、一日の安心を支えてくれるはずです。

参考文献

  1. 気象庁. 気象庁年報・白書 2019: 記録的高温と猛暑日の増加に関する記述. https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/hakusho/2019/index2.html
  2. 気象庁. 地球温暖化予測情報 第9巻(白書2019内引用): 将来の高温・猛暑日の増加予測と注意喚起. https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/hakusho/2019/index2.html
  3. 環境省. 熱中症 環境保健マニュアル2018・2019: 高温多湿時のリスクと予防. https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010207.html
  4. Film-Forming Technology and Skin Adhesion in Long-Wear Cosmetics. ResearchGate 抄録. https://www.researchgate.net/publication/318158924_Film-Forming_Technology_and_Skin_Adhesion_in_Long-Wear_Cosmetics
  5. 資生堂ビューティー情報: 皮脂吸着パウダーによるテカリ・べたつき防止と化粧持ち. https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/sp/DB003408/
  6. 資生堂ビューティー情報: あぶらとり紙の皮脂吸収と化粧崩れ防止への有用性. https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/sp/DB003408/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。