35~45歳のゆらぎ世代向け 皮脂崩れに強いベースメイクの作り方(仕込み・塗り方・直し方)

午後のTゾーンのテカリやメイク崩れの原因と対策を一貫解説。下地・ファンデの選び方、薄膜塗り、待ち時間、ティッシュオフ、日中の簡単リタッチまで、35〜45歳の肌に合う実践テクを写真つきで紹介。今すぐ試せるチェックリスト付き。

35~45歳のゆらぎ世代向け 皮脂崩れに強いベースメイクの作り方(仕込み・塗り方・直し方)

皮脂崩れの正体と、ゆらぎ世代の肌で何が起きているか

日本の夏の平均相対湿度はおよそ70%前後とされ、気温と湿度の上昇は皮脂分泌と汗量を押し上げます[1,2]。さらに、研究データでは日中に皮脂が増えやすい日内変動が確認され、午後のTゾーンのテカりやすさは理にかなっています[3]。編集部が各種データと現場の声を重ね合わせると、崩れの正体は「皮脂」「汗」「摩擦」という3つの力が同時に働くことにあります[4]。35-45歳のいわゆるゆらぎ世代は、頬は乾くのに鼻まわりはテカるという“混合”のバランスに悩みがち。だからこそ、メイクの仕上がりを諦めるのではなく、仕込み方と塗り方、そして直し方を現実的に最適化する視点が必要です。ここでは、装飾的なテクではなく、皮脂崩れに強いベースメイクをつくるための実践的な手順と選び方を、最新知見と実践ポイントに絞ってお届けします。

皮脂の分泌は思春期をピークに緩やかに低下しますが、完全に少なくなるわけではありません[5]。特に鼻や額などの皮脂腺が密な部位は大人になっても活動が続き[6]、湿度や体温の上昇、マスクや前髪の接触といった環境要因が重なると、ファンデーションの油分と混ざり合うことで浮きやヨレが起きます[7]。汗は揮発するときに肌表面の温度を下げますが[8]、同時に水分が付着した直後はファンデの結合を一時的に緩めるため、ティッシュで押さえずに放置すると斑状のムラを招きやすくなります。

研究データでは、日中にかけて皮脂が増える傾向が示され、特に正午から午後にかけての変化が大きいと報告されています[3]。いわゆる混合肌傾向が強まる35-45歳では、頬の乾燥小ジワを隠そうとして保湿やファンデを厚くしがちで、これがTゾーンでの崩れを加速させる一因になります。つまり、**頬はうるおいを留めながら、Tゾーンは薄く軽く仕上げるという“差のつけ方”**が肝心です。ここを押さえるだけで、午後の鏡に映る自分への落胆が軽減する可能性があります。

皮脂・汗・摩擦の三角関係

皮脂は油、汗は水、そして摩擦は物理的な力。油と水が交じるとファンデの結合は緩み、そこにマスクや前髪、手で触れる動作といった摩擦が加わると、薄い膜がズレて崩れに変わります[9]。したがって、崩れ対策は一方向からのアプローチだけでは不十分です。皮脂には吸着・コントロール、汗にははじく・素早く押さえる、摩擦には滑りと密着力の確保という、別々の策を組み合わせていく必要があります。

35-45歳の肌変化と皮脂分泌のリアル

エビデンスに基づく報告では、皮脂の絶対量は若年層よりは低下していく一方、局所的な分泌は続きます[5]。ホルモンバランスの揺らぎや睡眠不足、食事、そして季節変動が拍車をかけます[2]。加えて、キメの乱れや軽いハリ不足によって、ファンデーションが均一に乗りにくくなることも、崩れを「目立たせる」要因に。言い換えると、同じ量の皮脂でも、肌の“受け皿”が整っていないと崩れやすく見えるのです。

崩れないための準備:スキンケアと下地の選び方

土台が整っていないと、どんなメイクも長持ちしません。けれど保湿を厚塗りすればいいわけでもない。朝のケアは、肌が必要とする水分と最小限の油分で、軽く・速く・均一に整えることが重要です。洗顔後は肌がふやけた状態なので、タオルでそっと水気を取ったら、化粧水を手で包み込むように重ね、頬は1回多め、Tゾーンは軽めに。乳液やクリームは米粒ほどを手のひらで薄く広げ、頬の外側から内側へ、最後にTゾーンに残りをなじませるくらいで十分です。時間が許すなら、ここで**1〜2分だけ“待つ”**と、表面のペタつきが落ち着き、ベースが密着しやすくなります。

下地は「保湿」「凹凸補整」「皮脂吸着」「トーン補正」の中から、肌の現実に合わせて目的を絞って選びます。例えば、**皮脂吸着パウダー(シリカやマイカなど)**が配合されたものはTゾーンのテカりを穏やかにコントロールし、毛穴の影を目立たなくすることが期待されます。暑い日や湿度が高い日は、揮発性シリコーン由来のサラッとしたテクスチャーや、耐水性ポリマーでメイクの膜を固定しやすい処方が頼りになることがあります。一方、頬はうるおいが抜けやすいので、軽いジェルや乳液感のある下地でキメを柔らかく均します。トーン補正が必要なら、くすみにはピンク、赤みにはグリーン、黄ぐすみにはラベンダーといった色の助けも、薄く一点投入するイメージで。

日焼け止めは汗・皮脂・こすれに耐えると明記されたものを、顔全体でパール2粒分ほどに分けてムラなく。ここでも塗ってすぐにファンデに進まず、1分だけ待ってから薄いティッシュで上から軽く押さえると、表面の余剰分を先にコントロールでき、メイクの持ちが良くなる可能性があります。

朝の保湿は「薄く・点で・均一に」

クリームを顔全体に一気に伸ばすより、頬の高い位置、あご先、口角下、目尻の外側など、乾きやすい“点”に少量を置き、手のひらで包むように体温でなじませると、厚みのムラが出にくくなります。Tゾーンは最後に手に残ったもので軽く撫でる程度で十分。仕上げに、鼻のキワや小鼻の溝を綿棒でひとなですると、溜まった油分やクリーム残りを取り除けて、毛穴落ちの予防に寄与します。

皮脂を味方にする下地成分の見方

商品名ではなく、機能で見るクセをつけると選択が早くなります。皮脂吸着ならシリカ、ポーラスパウダー、スフェリカルパウダーといった表示が目印です。凹凸補整はシリコーンエラストマーやボール状粉体、汗・こすれへの耐性はアクリレーツ系などのフィルム形成ポリマー。どれか一つで万能ではないため、頬は保湿&トーン、Tゾーンは皮脂吸着&フィルムのように、顔の中で役割分担させるのが現実的です。

ベースメイクの塗り方:薄膜・待ち時間・余分をオフ

崩れない人の共通点は、塗る量が少ないことではなく、膜を均一に薄く重ね、各ステップで余分をオフしていることです。ファンデーションは肌と相談しながら“塗る”のではなく“置いて伸ばす”。道具はスポンジでもブラシでも構いませんが、仕上がりとスピード、好みに合わせて一つを使い込み、動かし方を手に慣らすのが近道です。

ファンデの量と伸ばし方

リキッドならポンプ半押しから、クッションなら1プッシュ分を面積の広い頬の中央に置き、外側へ。頬の三角ゾーンが整うと、それだけで顔全体がきれいに見えるため、Tゾーンは残った量で薄く十分です。小鼻はスポンジの角を使って、毛穴の向きに逆らわずに軽く押さえるだけにとどめます。フェイスラインは色が溜まりやすいので、首との境目を払うように薄く引き伸ばし、手のひらで顔全体を包んで体温で密着を促します。ここで**30〜60秒の“待ち時間”**を入れて、ファンデの揮発と定着を待ち、ティッシュ一枚で頬とTゾーンをそっと押さえれば、余分な油分・水分が抜けやすくなります。

パウダーの重ね方とTゾーン戦略

フェイスパウダーは全顔に厚くのせる必要はありません。崩れやすい部位から先に、薄く速く。パフを半分に折ってよくもみこみ、手の甲で量を調整したら、小鼻のわき、鼻筋、額の中央、目尻の下の順で軽く置くように。頬の高い位置は素肌感を残すと、午後の乾燥によるくすみが目立ちにくくなります。粉質は、サラサラ重視の日はシリカやタルク主体、ツヤを残したい日はマイカやアミノ酸パウダー主体を選ぶと、仕上がりのコントロールがしやすくなります。

日中のリタッチと持ちを伸ばす習慣

完璧に崩れないベースは存在しません。大切なのは、崩れ方をコントロールし、短い手間で“きれいな状態に戻せる”こと。テカりや崩れを見つけたら、いきなりファンデを重ねず、まずは皮脂と汗を抜きます。ティッシュを二つ折りにして、Tゾーンを押すだけで拭かない。小鼻の際は綿棒を転がすようにして、溜まった皮脂を点で回収します。そのうえで、無色のプレストパウダーを小さなブラシで毛穴の向きに沿って置き、必要ならクッションファンデをスタンプするようにごく薄く。最後にミストをふんわりと遠くからひと吹きすると、粉っぽさが落ち着き、膜が馴染みやすくなります。

メイクの持ちは、朝の仕込みと同じくらい、日中の過ごし方に影響されます。マスクを外すときは、片側からすべらせず、両側を持って顔からまっすぐ離すと、摩擦が最小限で済みます[9]。前髪が肌に触れると皮脂と摩擦が増えるので、蒸し暑い日はピンやスタイリングで額の通気を確保するとテカりにくくなります。デスクの小型ファンは汗が揮発するのを助けますが、風が直接顔に当たると乾燥を招いて皮脂のリバウンドを誘発することもあるため、風向きは胸元から上に抜ける程度が安心です[10].

食事や生活の工夫も、“やりすぎない”範囲で効いてきます。油っぽい食事の直後は口周りの崩れが目立ちやすいので、ナプキンで皮脂を押さえてからマスクをするだけでも差が出ます。睡眠不足が続くと肌のバリアが不安定になり、メイクの密着感も落ちがち。根性論ではなく、数日単位でリズムを整える意識が、巡り巡って午後の鏡をラクにすることにつながります。

それでもテカる日の微調整

汗ばむ予定がある、外回りが多い、そんな日はメイク計画も“暑さ仕様”に切り替えます。ファンデはカバー力の高いものを薄くより、カバーはコンシーラーで点に絞り、全体は透ける処方で薄く。下地はTゾーンの皮脂コントロールを優先し、頬は保湿とトーン補正に寄せます。仕上げのパウダーは持ち運びしやすいプレストを選び、ミラーを見ずとも小回りが利く小ブラシかパフをセットに。これだけで、移動中の30秒リタッチが現実的になります。

まとめ:自分の“崩れ方”に合わせると、毎日は軽くなる

皮脂崩れは、性格でも努力不足でもありません。湿度と温度、皮脂と汗、そして日々の忙しさが重なれば、誰の肌にも起こる自然な現象です。だからこそ、闘うより、**「仕込みを分ける」「薄く均一に重ねる」「余分をこまめに抜く」**という現実的な作法に寄り添えば、午後の鏡が穏やかになることが期待できます。今日のあなたの肌が、頬は乾いてTゾーンはテカりやすいなら、頬にうるおい、Tゾーンに軽さという差をつける。塗ってすぐに次へ行かず、ひと呼吸おいて定着を待つ。崩れたら、まず拭かずに押さえる。どれも手間は最小限で、効果を高めることが期待できます。

明日のベースメイク、どこから一つ変えてみますか。朝の保湿を“点”にする、下地を役割で選ぶ、待ち時間を30秒入れる、どれも今日から可能です。あなたの生活に馴染む小さな一手が、忙しい午後を少しだけ自由にしてくれます。

参考文献

  1. 気象庁. 気象統計情報(相対湿度の平年値). https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
  2. 渋谷皮フ科. 皮脂過剰分泌を抑えるには(季節や天候による変動). https://shibuya-hifuka.jp/wppage/column/hishikajobumpitsu-osaeru/
  3. Wang S et al. Circadian rhythms in human skin physiology and implications for dermatology. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8489538/
  4. コーセー研究所. メイクの科学とテカり・色移りの課題(総論). https://corp.kose.co.jp/ja/research/secretstory/makeup/
  5. 日本産科婦人科学会. 皮膚(ライフステージによる機能変化). https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E7%9A%AE%E8%86%9A/
  6. 渋谷皮フ科. 皮脂は毛穴の中にある皮脂腺から分泌される(部位差の説明). https://shibuya-hifuka.jp/wppage/column/hishikajobumpitsu-osaeru/#:~:text=%E7%9A%AE%E8%84%82%E3%81%AF%E6%AF%9B%E7%A9%B4%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E7%9A%AE%E8%84%82%E8%85%BA
  7. コーセー研究所. 皮脂をはじく撥油性粉体の開発と化粧膜への皮脂浸透防止. https://corp.kose.co.jp/ja/research/secretstory/makeup/#:~:text=%E7%9A%AE%E8%84%82%E5%90%B8%E7%9D%80%20%E7%B2%89%E4%BD%93%E3%81%AE%E3%81%BF%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E7%9A%AE%E8%84%82%E3%81%8C%E7%B2%89%E4%BD%93%E3%81%AB%E5%90%B8%E7%9D%80%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E5%89%8D%E3%81%AB%E5%8C%96%E7%B2%9A%E8%86%9C%E5%85%A8%E4%BD%93%E3%81%AB%E6%B5%B8%E9%80%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%84
  8. NTT ComZine からだの仕組み. 汗の働きと気化熱(皮膚表面温度の低下). https://www.nttcom.co.jp/comzine/archive/clinic/clinic14/index.html
  9. コーセー研究所. 皮脂や摩擦(マスク着脱)による色移り検証. https://corp.kose.co.jp/ja/research/secretstory/makeup/#:~:text=%E3%83%89%E3%83% A9%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%81%A7%E7%96%91%E4%BC%BC%E7%9A%84%E3%81%AB%E7%9A%AE%E8%84%82%E3%81%8C%E5%87%BA%E3%81%9F%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%82%92%E5%86%8D%E7%8F%BE
  10. NTT ComZine からだの仕組み. 体から出ていく熱の内訳(気化による放熱). https://www.nttcom.co.jp/comzine/archive/clinic/clinic14/index.html#:~:text=%E4%BD%93%E3%81%8B%E3%82%89%E5%87%BA%E3%81%A6%E8%A1%8C%E3%81%8F%E7%86%B1%E3%81%AF%E3%80%811

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編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。