LED美顔器の色(波長)別の働きと選び方 — 赤(633nm)・青(415nm)・近赤外(830nm)の違い

LED美顔器の作用は色ではなく波長で決まります。赤・青・近赤外・黄・緑それぞれの特徴と、35〜45歳女性のハリ・くすみ・肌悩みに合わせた使い分け・選び方、注意点や安全な使い方をエビデンスに基づいて整理します。詳しくチェック。

LED美顔器の色(波長)別の働きと選び方 — 赤(633nm)・青(415nm)・近赤外(830nm)の違い

光は「色」ではなく波長で働く:届く深さが効果を左右

赤は約633nm、青は約415nm、近赤外は約830nm。LED美顔器の「色別効果」は、実は色味そのものではなく、この波長の違いがカギです[1]。研究データでは、赤〜近赤外の照射で8〜12週後に肌のハリや小ジワの指標が改善した報告があり[2]、青色が肌荒れの原因菌に関連する分子(ポルフィリンなど)を標的にするメカニズムが示されています[3,4]。一方で、家庭用の美顔器は医療機器より出力が低い設計が一般的であるため、実感は穏やかで継続前提です[2]。編集部が各種論文や技術資料を読み解いた結論は、**「色で選ぶ」のではなく「波長と目的で選ぶ」**ということでした。

夕方にくすみが気になる、季節の変わり目に肌が不安定になる、マスク生活で毛穴が気になる——揺らぎ世代の悩みは複合的です。だからこそ、ひとつの色に過度な期待を寄せるのではなく、肌のゴールに合わせて色(波長)を組み合わせる視点が役立ちます。ここからは、科学的な裏づけと生活者の実感のバランスを大切に、LED美顔器の色別効果を整理していきます。

まず土台の理解から。LED美顔器が出す光は、波長ごとに肌のどこまで届くかが異なります。短波長の**青(約415nm)は主に表皮にとどまり、皮脂や肌表面のコンディションに関わる領域に作用します[1]。対して赤(約630〜660nm)は真皮浅層に届き、ハリ感に関わるコラーゲン線維の周辺まで到達しやすい特性があります[1,6]。さらに近赤外(約810〜850nm)**はより深く入り、めぐりや筋膜に近い層まで届くとされます[1]。結果として、どの色を選ぶかは「どこに届かせたいか」の選択でもあります。

研究データでは、赤や近赤外の連続照射で皮膚の弾力やテクスチャの指標が改善した例が報告されています[2]。青は、皮膚科領域で知られるポルフィリン反応を介し、肌荒れの原因に関わるアクネ菌周辺の環境に影響することが示されています[3]。黄や緑は、赤みの見え方や色ムラ印象へのサポートとして提案されることが多い一方、臨床レベルのエビデンスは限定的です[2]。ここを正直に押さえた上で、家庭用美顔器は**「日々のスキンケアを底上げする光の習慣」**として位置づけるのが現実的です。

LED美顔器の色別効果:赤・青・近赤外・黄・緑の使い分け

赤(約630〜660nm):ハリ、キメ、乾燥小ジワの見え方をサポート

赤色LEDは、フォトバイオモジュレーションと呼ばれるミトコンドリア由来の細胞エネルギー代謝の調整に関与すると考えられ、線維芽細胞のコラーゲン産生などを後押しする可能性が示されています[1,6]。研究データでは、633nm付近の照射を8〜12週間続けることで、肌の弾力指標や小ジワスコアの改善が報告されています[2]。家庭用美顔器では出力が低いため変化は緩やかですが、週3〜5回、1回10分前後をコツコツ続けることで、キメの整い方やつやの見え方が安定してくる実感に近づきます。乾燥ケアと組み合わせると体感が高まりやすいのも特徴です。

近赤外(約810〜850nm):深部に届き、ハリの底上げに寄与

近赤外は赤よりも長波長で、より深い層に届きます[1]。筋膜や結合組織周辺へのアプローチが示唆され、赤と同様にハリ感の底上げに向くとされます[1,2]。編集部の視点では、赤と近赤外を交互または同時に使える美顔器は、時間効率と実感のバランスが取りやすい選択。デスクワーク中のながらケアでも続けやすいのが利点です。

青(約415nm):肌荒れ予防のサポートに。皮脂環境を整えたい日に

青色LEDは、皮脂が気になる時期や、マスクや汗で肌が不安定になりやすい時期のケアに役立ちます。皮膚科学の領域では、415nm付近の波長がアクネ菌(Cutibacterium acnes)のポルフィリンに吸収され、反応性酸素種の産生を通じて環境を変えることが知られています[3,5]。家庭用美顔器では、洗顔後の清潔な肌に短時間あてるルーティンに組み込むと、肌荒れを繰り返しにくい環境づくりを後押しします。乾燥を招かないよう、その後の保湿と日中の紫外線ケアは丁寧に。

黄(約580〜600nm):赤みの見え方やくすみ印象に穏やかに

黄色は、赤みの見え方や一時的なくすみ印象のトーンアップに使われることが多い波長帯です。赤や青に比べると臨床エビデンスは少ないものの、**「メイク前に明るさを底上げしたい」**といった日常のニーズにはフィットしやすい選択です[2]。撮影やオンライン会議の前など、ポイント使いに向いています。

緑(約520〜560nm):色ムラ印象のケアに。ただしエビデンスは限定的

緑色は、色ムラやくすみ印象のサポートとして採用されることがあります。メラニンに関連する研究の示唆はあるものの、家庭用美顔器レベルでの明確な臨床効果は限定的です[2]。使用するなら、日々のUV対策と保湿を軸にしつつ、補助的に取り入れると期待値のコントロールがしやすくなります。

なお、紫やシアンなど複合色をうたう美顔器は、上記の波長を組み合わせたプリセットである場合が多く、発光色そのものに特別な意味があるわけではありません。仕様欄の**波長(nm)表示と照度(mW/cm²)**を確認して選ぶのが賢い方法です[3]。

選び方と続け方:仕様確認から安全対策まで

仕様は「波長」「照度」「照射面積」を確認

美顔器選びでまず見たいのは、色名ではなく波長の明記です。赤は630〜660nm、青は415〜470nm、近赤外は810〜850nmあたりが多く、狙いたい目的に沿って選べます[3]。次に、照度(mW/cm²)の目安が提示されているか、照射面積が十分かを確認しましょう。家庭用は安全性を優先して出力が抑えられているため、短時間で強い変化を狙うより、適切な頻度で淡々と積み上げる方が結果につながりやすいと感じます[2]。

使い方の流れ:短時間・高頻度でルーティン化

使い方はシンプルです。洗顔で肌表面の汚れと皮脂を落としたあと、肌が乾いた状態で照射を始めます。赤や近赤外をベースに、気になる日だけ青や黄を加えるなど、「ベース+スポット」の考え方が続けやすさにつながります。1回あたり5〜10分を、週に3〜5回。終了後は低刺激の保湿剤で肌を整え、日中は日焼け止めで守ります。レチノールやAHA/BHAなど刺激になりやすい成分と同日に重ねると敏感に傾くことがあるため、肌の様子を見ながら日をずらすのが安心です。

安全面:目の保護と光過敏のチェックはマスト

LEDは比較的安全性の高い技術ですが、目への直視は避ける、付属のアイシールドを使うなどの配慮は欠かせません。光に敏感になる薬を服用中の方、皮膚科治療中の方、てんかんなど光刺激に配慮が必要な方は、使用前に医師へ相談してください[3]。妊娠・授乳中はメーカーの注意事項に従い、体調に違和感があれば中止を。赤みや熱感が強いときは、冷却や保湿で落ち着かせ、無理に照射を続けない姿勢が肌を守ります。

40代の悩み別・色の組み合わせ戦略

揺らぎ世代の肌は、季節、睡眠、ホルモン、ストレス、食事など多くの要因に影響されます。だからこそ、ひとつの色に固定せず、赤/近赤外を土台に据えて必要に応じて青や黄を差し込む運用が実用的です。例えば、ハリとつやを底上げしたい期間は赤+近赤外を交互に。Tゾーンの皮脂や肌荒れが気になる週は、洗顔後に青を短時間足す。くすみが気になる朝は黄を活用してメイク映えを狙う。そんな柔軟な組み合わせが、忙しい毎日でも続けられる鍵になります。

開始2〜3週は肌の水分保持やなめらかさの変化を、4〜8週でハリやテクスチャの落ち着きを、8〜12週で小ジワの見え方の安定を、それぞれ鏡だけでなく写真やメモで記録してみてください。数値にできない体感も、記録することで小さな変化が見えやすくなります。もし乾燥や赤みが出るときは、頻度を落とす、色を切り替える、保湿を強化するなど微調整を。日中のUV対策や、攻めの成分の取り入れ方、毛穴ケアの基本など、土台のスキンケアと併走させるほど、LEDの良さは生きてきます。

最後に、LED美顔器は**「シミが消える」「たるみが治る」**といった即効の魔法ではありません。あくまで日々のスキンケアを支える光のトレーニング。期待値を現実的に保ちつつ、生活に無理なく溶け込む形で続けることが、結果的にいちばんの近道です。

まとめ:色ではなく目的で選ぶ。小さく続けて、肌の機嫌を整える

LED美顔器の色別効果は、波長が届く深さと働きの違いに根拠があります[1,3]。赤と近赤外はハリとつやの底上げ、青は肌荒れを繰り返しにくい環境づくり、黄や緑はトーンと印象のサポートという位置づけが現実的です[2,3]。家庭用なら、短時間・高頻度でルーティン化し、強さよりも継続を重視するののが現実的。必要に応じて色を差し替える柔軟さが、揺らぎの多い40代の肌に寄り添います。

今日のあなたが目指したいのは、どんな肌の機嫌でしょう。ハリを育てたい日、肌を落ち着かせたい日、明るさを底上げしたい朝——その時々の目的に合わせて、色(波長)を選んでみてください。次のスキンケアの一歩として、取扱説明書を開き、今夜の5〜10分を予約する。それだけで、未来の肌に小さな貯金が始まります。

参考文献

  1. Avci P, Gupta A, Sadasivam M, et al. Low-level laser (light) therapy (LLLT) in skin: stimulating, healing, restoring. Semin Cutan Med Surg. 2013;32(1):41-52. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3926176/
  2. Review: Light-emitting diode (LED) therapy/devices for skin rejuvenation and dermatologic use; efficacy and limitations (systematic review, 2018). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6099480/
  3. Review: Light-emitting diodes in dermatology (mechanisms, acne blue light, safety, wavelengths). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4126803/
  4. Randomized controlled clinical study of blue light (approx. 415 nm) for acne vulgaris. PubMed ID: 16766484. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16766484/
  5. Review of phototherapy for acne vulgaris with blue (415 nm) and red (633 nm) light. https://doi.org/10.1080/14764170600735912
  6. In vitro study: 633 nm red light increases collagen in human dermal fibroblasts. https://doi.org/10.3892/ijmm.2014.2030

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。