40代のエイジングケアの基本 — 紫外線対策と保湿でハリを守る

肌老化の多くは紫外線などの外的要因とされます。毎日のUV対策と適切な保湿の考え方、レチノール・ビタミンC・ナイアシンアミドなどの成分ごとの特徴と選び方を編集部がやさしく整理しました。35〜45歳の方に役立つ基本ガイドです。続きをチェックして自分に合うケアを見つけましょう。

40代のエイジングケアの基本 — 紫外線対策と保湿でハリを守る
エイジングの正体を知る

エイジングの正体を知る

肌老化の約80%は紫外線などの外的要因に起因するという報告は、エイジングケアの出発点を静かに教えてくれます[1]。さらに、試験条件下の理論値では**SPF30はUVBを約97%、SPF50は約98%**カットするとされ[2]、日々の積み重ねが将来の肌の差につながることも数値が物語ります。研究データでは、40代に入ると女性ホルモン(特にエストロゲン)の変化に伴い、角層のうるおい保持力やハリ感の土台にゆらぎが生じやすいことが指摘されています[3]。忙しさも役割も増えるこの世代で、完璧を目指すより、続けられる“基本”を押さえておくこと。エイジングケアは特別な裏技ではなく、科学的に妥当な小さな選択の積み重ねだと編集部は考えます。

肌のエイジングには大きく分けて、生まれ持った時間の影響と、紫外線・乾燥・摩擦・睡眠不足など生活環境による影響があります。医学文献によると、紫外線(特にUVA)は真皮まで到達し、コラーゲン線維の分解を促す酵素の発現に関与するなど、キメやハリ感に影響を及ぼします[3]。さらに、角層の水分保持が低下すると、乾燥による小ジワが目立ちやすくなり、バリア機能の揺らぎが赤みやごわつきにつながることも報告されています[4]。つまり、守るべきは光と乾燥、避けるべきは過度な刺激、足すべきはうるおいと抗酸化サポート。この順番を理解しておくと、選ぶべきアイテムや使い方に迷いが減ります。

40代の肌で起きていること

研究データでは、40代は皮脂分泌の緩やかな低下により乾燥を感じやすくなる一方、Tゾーンはテカり、Uゾーンはつっぱるなど、部位差が出やすいとされます。さらに、エストロゲン低下に伴う皮膚の水分量や弾力の変化が、色むらやくすみの見え方にも影響しやすくなります[3]。編集部の読者アンケートでも、朝はしっとりしていても夕方にはほおが乾く、マスク擦れで口周りが敏感になる、といった声が多く寄せられました。こうした“混在”を前提に、全顔一律ではなく、部位ごとの最適解を考える姿勢が40代のエイジングケアには有効です。

今日から変えられる基本

まずは光から肌を守ること。日焼け止めは毎朝、顔だけでなく首まで広げ、汗や皮脂で落ちやすい頬骨・鼻・こめかみは日中に塗り直す前提で選びます。UVA/UVBの基礎やPA表示の意味を知っておくと選択の精度が上がります[5]。詳細は編集部のガイド「日焼け止めの基本」にもまとめています。次に、洗い過ぎを避け、肌に必要な油分とうるおいを残すクレンジングを選ぶこと。ポイントメイクは先にオフして摩擦を減らし、肌全体は短時間でやさしく。迷うときは「クレンジングの選び方」を参考に、テクスチャーと洗浄力のバランスで考えると選びやすくなります。そして、保湿は層で考えるのがコツです。水分を抱え込む化粧水、バリアを補う乳液・クリーム、乾燥の強い部位にはセラミド濃度の高い保湿を部分使い[4]。“守る(UV)・落とし過ぎない・重ねて保湿”という大枠が揺らがない限り、成分の足し算はシンプルで十分です。

結果を左右するおすすめ成分

結果を左右するおすすめ成分

エイジングケアで頼れるのは派手な広告ではなく、積み上がったデータです。ここでは、研究データで注目度が高く、薬機法に配慮した表現で生活に取り入れやすい成分を編集部視点で整理します。

ビタミンA(レチノール/レチナール)

ビタミンAは、キメを整え、乾燥による小ジワを目立たなくすることが期待される定番成分です。日本では純粋レチノールを有効成分とした薬用化粧品が承認され、所定の試験で「しわを改善する」効能効果が確認された例があります(9週間の使用試験など)[7]。初めて使う場合は、目の下や口周りなど動きの多い部位にピリつきを感じることがあるため、夜に少量から。肌の様子を見ながら間隔を空け、クリームで包むように仕上げると、敏感さを抱える時期でも続けやすくなります。詳しい選び方や使い進め方は「レチノール入門」で解説しています。

ビタミンC(純粋/誘導体)と相性の良い相棒

ビタミンCは、肌を引き締めてキメを整え、メラニンの生成を抑えしみ・そばかすを防ぐ働きが期待されます。代表的な誘導体(L-アスコルビン酸2-グルコシドなど)には、UV誘発性の慢性炎症関連因子の発現を抑え、メラニン生成を抑制する作用が示された報告があります[8]。朝に取り入れると日中の環境ストレスからのリフレッシュタイムをサポートし、日焼け止めと組み合わせると心強い守りになります[5]。純粋アスコルビン酸は実感が早い一方で、低刺激設計の誘導体は使い続けやすい傾向があります。水っぽい美容液は化粧水の後すぐ、油性寄りの処方は乳液前になじませるなど、テクスチャーの軽いものから順に重ねる基準を持つと迷いません。

ナイアシンアミドとペプチド

ナイアシンアミドはうるおい保持とキメの乱れ対策に寄り添う成分です。臨床研究では、ナイアシンアミド配合処方の継続使用で角層バリア機能や肌のなめらかさ、乾燥による小ジワの見え方に良好な変化が報告されています[6]。敏感さが気になる時期でも比較的取り入れやすく、ビタミンCやヒアルロン酸と組み合わせても使いやすいのが魅力です。ペプチドはハリ感のサポートに着目される成分で、レチノールが使いにくい季節や週に、夜の代替オプションとしても活躍します。どちらも“速攻で劇的に”というより、数週間の積み重ねでじわりと手触りが変わるタイプ。気持ちが先走ると摩擦が増えるので、塗り方は常にやさしくが基本です。

セラミド&ヒアルロン酸

セラミドは角層のうるおいを守る要。セラミド量の低下は乾燥やバリア機能の低下と関連することが示されており[4]、頬や口周りのつっぱり感が気になる時に相性が良いとされています。ヒアルロン酸は水分を抱え込む特性があり、化粧水で与えた水分を逃がさない“網”のような役割を担います。朝は薄く、夜はしっかり。部位によってつけ方の厚みを変えるだけで、メイクのよれを防ぎつつ、乾燥の山を越えやすくなります。

穏やかな角質ケア(PHA/AHA)

角質が厚くなると、どれだけ保湿しても届きにくい感覚が残ることがあります。そんな時は、肌あたりのやさしいPHA(グルコノラクトンなど)や、刺激を感じにくい濃度・pHに設計されたAHA(乳酸など)で、古い角質をやわらげるという選択肢があります。頻度は週数回から様子見。乾燥の強い時期には保湿を厚めにして、摩擦や重ねすぎを避けるのがコツです。

朝と夜、無理なく続く設計図

朝と夜、無理なく続く設計図

エイジングケアは、朝に“守る”、夜に“立て直す”という役割分担で考えると迷いが減ります。朝は、やさしく洗って肌に必要なうるおいを残し、軽めの化粧水で水分を含ませたら、ビタミンC系の美容液でキメを整え、乳液やクリームで薄くふたをし、日焼け止めで仕上げる。SPF30以上・PA値の高いものを日常の基準にし、屋外時間が長い日はPA++++・SPF50+を選ぶといった“場面で上げる”発想が続けやすいポイントです[2,5]。日中の塗り直しは、頬骨や鼻筋の高いところから。ティッシュオフで皮脂を整え、クッションやミストタイプを活用すると、崩れにくく負担も少なくなります。

夜は、メイクと日焼け止めをしっかり落とし、肌の声を聞きながら立て直します。乾燥や赤みが気になる日はセラミドリッチな保湿を“メイン”に[4]、落ち着いている日はレチノールやペプチドなどを“追い足し”に。ビタミンAを使う夜は、目周りや口周りを避けて頬から外側へ薄く伸ばし、クリームで包むように仕上げると、翌朝のつっぱり感を抑えやすくなります[7]。角質ケアを入れる日は、同日に攻めの成分を重ねず、保湿に振り切ることで肌の機嫌が安定しやすくなります。

忙しい日のミニマム、余裕がある日のプラスワン

編集部メンバーのリアルな例を共有します。出勤前の慌ただしい朝は、ぬるま湯すすぎで皮脂を落とし過ぎず、化粧水を手のひらで数回なじませ、ビタミンC美容液をワンプッシュ、乳液を薄く、日焼け止めで完了。夜は、クレンジングを短時間で済ませ、化粧水のあとにナイアシンアミド、週に2〜3回だけレチノールを挟み、最後はセラミドクリームで包む。余裕のある週末は、洗顔後にPHAのローションを取り入れ、その日は攻めの成分を抜いて保湿を分厚くする。こうした“引き算と足し算”の切り替えは、ゆらぎ世代の肌にとって無理のない現実解です。睡眠と肌の関係も見逃せません。寝不足は肌のごわつきやくすみ感に直結しやすいので、「睡眠と肌の関係」も合わせてチェックし、夜のスクリーンタイムを10分だけ短くするなど、続けられる工夫をひとつ見つけてみてください。

まとめ:未来の肌は、今日の習慣でできていく

まとめ:未来の肌は、今日の習慣でできていく

エイジングケアは、完璧なフルコースを毎日続けることではありません。紫外線から守る、落とし過ぎない、重ねて保湿する、そして生活に合う成分を少しずつ育てる。この地味で確かな行いが、数カ月先の鏡の表情を変えていきます。もし今、乾燥やくすみ、キメの乱れに戸惑っているなら、朝のビタミンCと日焼け止め、夜のセラミド保湿とレチノール“週数回”。この4点だけでも十分にスタートラインに立てます。次の一歩は、部位ごとの最適化です。頬はしっとり、Tゾーンは軽く。あなたの生活のリズムに寄り添う設計図を、今日の夜から小さく描き直してみませんか。疑問が出てきたら、「日焼け止めの基本」「レチノール入門」など関連記事もあわせてどうぞ。

参考文献

  1. 日本経済新聞 NIKKEI STYLE. 光老化の影響が8割を占めるという見解についての解説(川島眞教授への取材を含む). https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO15596280R20C17A4000000/
  2. Dermoi. Your essential guide to SPF: Demystifying sun protection(SPF30で約97%、SPF50で約98%のUVB遮断に関する解説). https://dermoi.com/your-essential-guide-to-spf-demystifying-sun-protection/
  3. Dermato-endocrinology(総説). 女性ホルモン低下と皮膚(保湿・厚み・弾力)・UVAによる真皮変化に関するレビュー. NCBI PMC2685269. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2685269/
  4. Systematic review: セラミド低下と乾燥・バリア機能低下の関連に関するレビュー. PubMed 34596254. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34596254/
  5. 日本経済新聞 NIKKEI STYLE. 太陽光の基礎(UVA/UVB/PA表示)と光老化に関する基礎解説. https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO15596280R20C17A4000000/
  6. PubMed 23220080. ナイアシンアミド配合処方のバリア機能・シワ・肌理に関する臨床的評価. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23220080/
  7. 資生堂プレスリリース. 純粋レチノールを有効成分とする薬用化粧品の「しわ改善」承認と9週間試験結果について. https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002135
  8. 小林製薬プレスリリース(2025年). ビタミンC誘導体(L-アスコルビン酸2-グルコシド)のUV誘発性慢性炎症由来シグナル抑制とメラニン生成抑制に関する研究. https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2025/20250611_02/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。