朝クレンジングは必要?肌質・前夜ケア別の目安と低刺激ケアの選び方

朝のクレンジングは本当に必要?肌のpHや皮膚科学の知見をもとに、35〜45歳の敏感肌・乾燥肌向けに、必要な日と不要な日の見分け方、ぬるま湯・低刺激洗顔・ミセラーの使い分けを編集部が実践的に整理。チェックリストで自分に合う方法を見つけましょう。

朝クレンジングは必要?肌質・前夜ケア別の目安と低刺激ケアの選び方

朝クレンジングは「必要な日」と「不要な日」がある

皮膚表面の平均pHはおよそ4.7とされ、弱酸性のバリア環境が保たれていると刺激を受けにくいことが知られています[1]。いっぽうで米国皮膚科学会(AAD)は顔の洗浄を1日2回(朝・夜)と発汗後に推奨しており[2]、“朝は洗わない派” と “朝も洗う派” のあいだで迷いが生まれやすいのも事実。医学文献によると、洗浄は汚れや余分な皮脂を除去する一方で、界面活性剤の種類や接触時間によって角層の水分保持に影響する可能性が示されています[3]。編集部では、前夜のスキンケアや肌質、生活リズムによって必要性が変わると考え、実用情報を整理しました。結論から言えば、朝のクレンジング(=メイク落としレベルの洗浄)が毎日必要な人は多くありません。ただし、前夜に油分リッチな処方を重ねていれば、低刺激な洗顔やミセラでの軽いリセットが快適さと化粧ノリに直結します。

まず言葉の整理から。日本のスキンケア文脈で「クレンジング」はメイクや油性の汚れまで落とす製品を指すことが多く、いわゆる洗顔料(フォームやジェル)より洗浄力が高めに設計されています。朝は通常メイクをしていないため、毎朝オイルやバームのクレンジングが必須というわけではありません。医学文献では、脂性肌・ニキビ傾向では皮脂や汗、夜間の皮脂酸化物を適切に除去することが推奨されます[4]が、乾燥・敏感傾向では洗いすぎがバリア低下につながる懸念が示されています[3]。つまり、**鍵は「前夜に残っているもの」と「今朝の肌の状態」**です。

必要と感じやすいのは、前夜にワセリンをしっかり重ねた、こっくりしたバームやクリームを多層づけした、整髪料がフェイスラインについた、ナイトタイムでもウォータープルーフに近い日焼け止めを使った(屋内でもUV・近赤外を気にして塗る方はいます)といったケースです。こうした油性の残りがベタつきや化粧ヨレの原因になるなら、朝は低刺激の洗顔料かミセラウォーターで短時間のリセットを。逆に、就寝前は軽めの美容液とジェルクリームのみ、寝室環境は適切な湿度で汗も少ない、起床時につっぱり感がある、という人はぬるま湯のみ、もしくはTゾーンだけ低刺激洗顔でも十分フィットします(小児のアトピー性皮膚炎寛解期・夏季では、水だけの洗いが洗浄剤使用に劣らなかったとする報告もあります)[7]。

編集部の肌感覚も添えると、「毎朝がっつり落とすと日中つっぱる」「ぬるま湯だけだとTゾーンのテカリが早い」など、相反する声が同居します。朝のルーティンを固定化するより、その日の肌・天気・スケジュールに合わせて微調整するほうが、大人肌には理にかないます。

皮膚科学が示す「洗いすぎ」と「洗わなさすぎ」の境界線

研究データでは、アルカリ性に傾いた洗浄は一時的に皮膚pHを上昇させ、バリア機能の指標である経表皮水分蒸散(TEWL)が高まる可能性が報告されています[3]。一方、弱酸性(おおむねpH5〜6)のマイルド洗浄は刺激が少なく、角層の脂質や天然保湿因子の保持に寄与しやすい傾向が示されています[6]。つまり、「何で」「どのくらいの時間」洗うかが成果を分けます。長いこすり洗いは避け、泡やミセルが汚れを抱え込む性質を活かして、肌に触れている時間を短くするのが理想です[2]。

夜間の皮脂分泌はゼロにはならず、枕や寝具の付着物、寝汗、スキンケアの残りなどが混ざることもあります。AADは朝晩の洗顔に加え、運動などで汗をかいたら洗うことを推奨していますが[2]、これは皮脂や汗の中に含まれる塩分・皮脂酸化物が刺激になりうるためです[5]。とはいえ、大人の乾燥・赤み・ゆらぎが強い時期にまで一律で強い洗浄を続ける必要はありません。ぬるま湯(熱すぎない水温)でのリンス、短時間の低刺激洗顔、部位洗いといった強弱のつけ方で、洗いすぎと洗わなさすぎのあいだに心地よい解を見つけられます[3]。

また、朝の「クレンジング」という言葉に引っ張られて、夜と同じオイルやバームを反射的に手に取る必要はありません。油性の残りを落としたいのか、汗・皮脂をさっぱりさせたいのか、ただの乾いたつっぱりをほどきたいのか。目的が違えば選ぶ手段も変わります。油性の残りが主語ならミセラやマイルドジェル、さっぱり感を狙うならアミノ酸系の泡、つっぱりが主語ならぬるま湯に留め、保湿へとつなぎます。

必要な日のやり方、不要な日の整え方

朝クレンジングが必要だと判断した日は、まず手を清潔にし、乾いた肌にオイルやバームを広げるような工程は基本的に省きます。代わりに、低刺激の洗顔料を濃密な泡にして肌の上をすべらせるように20秒前後。小鼻や眉間、フェイスラインなどベタつきやすい場所は指の腹で円を描くようにそっと触れ、ぬるま湯で十分にすすぎます。タオルでゴシゴシはせず、清潔なタオルやティッシュで軽く押し当てながら水分をオフしましょう。その後は化粧水よりもまず保湿剤で角層にフタをし、日焼け止めへ。朝の時間がないときは、ミセラウォーターをコットンにたっぷり含ませて拭き取り、ぬるま湯でワンリンスでも。拭き取りだけで終えるより、最後に軽くすすぐほうが肌に残留しにくく、次のメイクがよれにくくなります。

不要だと判断した日は、ぬるま湯だけでTゾーン中心にリンスするのも有効です。頬や目周りのように乾燥しやすいゾーンは水を当てる時間を短くし、洗面後はすぐにモイスチャライザーで保湿。バリアがゆらいでいる時期は、洗顔料の使用頻度を落としても保湿と日焼け止めを丁寧に行うほうが、一日を快適に過ごせることが多いはずです。季節や生理周期で皮脂分泌は揺れます。梅雨や真夏の朝は短時間の洗顔を増やし、真冬や花粉の時期はぬるま湯中心に寄せる、といった季節チューニングもおすすめです。

製品選びで迷ったら、表示成分の「アニオン系よりも両性・非イオン系の比率が高いもの」「弱酸性設計(pH5〜6をうたう)」「香料や着色少なめ」といったヒントが手がかりになります。強い洗浄力が悪という話ではなく、目的に合った穏やかさを選ぶという視点です。朝は短時間接触に向いたジェルや泡タイプ、油性残りにフォーカスする日はミセラや軽めのオイル、という具合に引き出しを持っておくと、肌の揺らぎに付き合いやすくなります[3]。

編集部のスモール実験:3パターンで2週間

最後に、編集部内で行ったスモール実験の話を。乾燥寄りのS、混合肌のK、脂性寄りのMの3名が、それぞれ2週間ずつ「毎朝オイルでクレンジング」「毎朝は洗顔料のみ」「ぬるま湯のみ」をローテーション。もちろん研究レベルの厳密さではありませんが、日中の快適さとメイクの仕上がりという実用目線での所感は、忙しい朝の参考になるはずです。

乾燥寄りのSは「毎朝オイル」は3日目から口元のつっぱりと午後の粉っぽさを強く感じ、「洗顔料のみ」では頬の赤みが落ち着き、「ぬるま湯のみ」が最も快適でした。ただし、前夜にこってりバームを重ねた日だけは、翌朝にミセラで軽く拭き取り→ぬるま湯がベストだったとのこと。混合肌のKは「ぬるま湯のみ」だと昼のテカリが早まり、「洗顔料のみ」ではメイクの密着が良好に。Tゾーンだけ二度目の泡をのせる“部位強弱”が、崩れにくさと快適さのバランスを作ったと話します。脂性寄りのMは「毎朝オイル」でニキビが増えたわけではないものの、午前中のテカリはむしろ早く、短時間の泡洗顔が最もメイク持ちに貢献。運動する日の朝は、シャワータイムに合わせて洗顔を組み込むのがラクだったそうです。

3人に共通していたのは、**「朝に強い洗浄を続けるほど調子が上がるわけではない」ことと、「前夜の油分量が翌朝の正解を左右する」**という実感でした。体験の限界はあるものの、皮膚科学の知見とも矛盾しない示唆だと受け止めています[1,3,6]。

まとめ:朝の正解は、昨日の自分と今日の予定が決める

朝クレンジングが必要かどうかは、単純な二択では語りきれません。前夜に何を重ねたか、今朝の肌が何を求めているか、そしてこれからどんな一日を過ごすのか。油性の残りをリセットしたい日は短時間の低刺激洗顔、乾燥やゆらぎが強い日はぬるま湯中心と覚えておくだけでも、迷いは減ります。水温はぬるめ、こすらない、接触は短く、保湿はすぐに、というミニルールも味方にしてください[2,3]。

鏡の前で、今朝の肌に問いかけてみる。ベタついている? つっぱっている? 予定は外歩きが多い? その小さな対話が、あなたの一日を軽くします。明日の朝は、前夜の油分量と今日の天気をヒントに、クレンジングの要・不要を選んでみませんか。

参考文献

  1. Lambers H, Piessens S, Bloem A, Pronk H, Finkel P. Natural skin surface pH is on average 4.7. International Journal of Cosmetic Science. 2006;28(5):359-370. PMID: 18489300. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18489300/
  2. American Academy of Dermatology Association. How to wash your face. https://www.aad.org/public/everyday-care/skin-care-basics/care/wash-your-face
  3. 奥田峰広, 吉池高志. 皮膚洗浄方法の角層バリア機能に及ぼす影響について. 日本皮膚科学会雑誌. 2000;110(13). https://www.jstage.jst.go.jp/browse/dermatol/110/13/_contents/-char/ja
  4. American Academy of Dermatology Association. Acne: Tips for managing. https://www.aad.org/public/diseases/acne/skin-care
  5. The Ohio State University Wexner Medical Center. Workout without sabotaging healthy skin. https://wexnermedical.osu.edu/our-stories/workout-without-sabotaging-healthy-skin
  6. Schmid-Wendtner MH, Korting HC. The pH of the skin surface and its impact on the barrier function. Skin Pharmacology and Physiology. 2006;19(6):296-302. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17051207/
  7. WASH study (preliminary report): Skin care by washing with water is not inferior to washing with a cleanser in children with atopic dermatitis in remission in summer. https://www.researchgate.net/publication/377936683_Skin_care_by_washing_with_water_is_not_inferior_to_washing_with_a_cleanser_in_children_with_atopic_dermatitis_in_remission_in_summer_WASH_study

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。