35-45歳女性向け|新築と中古、総額で比べて後悔しない選び方

35〜45歳女性向け。新築と中古、購入価格だけでなく固定資産税、住宅ローン控除、修繕・管理費、リセールまで総額を分解。具体的なシミュレーションとチェックリストで後悔しない選び方を手に入れよう。節税ポイントや自治体支援も紹介。

35-45歳女性向け|新築と中古、総額で比べて後悔しない選び方

見落としがちな「総額」を分解する

家計に効くのは購入価格そのものより、手数料や税金、入居後に静かに積み上がるコストです。ここを分解して見ると、新築と中古の差分が立体的に見えてきます。

初期費用と税の優遇で生じる差

新築は販売価格に販売経費やプロモーション費が含まれやすく、同じ立地・専有面積でも中古より高く提示されがちです。その代わり、建物の固定資産税については新築住宅に一定期間の減額措置が設けられるのが通例で、条件を満たすと入居から数年間は税負担が軽くなります(原則3年間[マンション等は5年間]1/2に減額。認定長期優良住宅は延長特例あり)[3]。中古でも要件を満たせば住宅ローン控除や登録免許税の軽減などが適用されるケースがあるため、“新築=優遇が大きい、中古=優遇がない”と短絡しないで制度の適用条件を必ず確認することが大切です[4]。税制は改正が続く分野なので、自治体と国の最新情報で差額を実額で把握しておきましょう[4]。

保有コスト(管理・修繕・保険・金利)の現実

マンションなら管理費・修繕積立金、戸建てなら外壁・屋根・設備の更新費が、毎月もしくは数年ごとに発生します。中古は購入時点で築年数が進んでいる分、入居1〜5年以内に水回りや給湯、空調の更新が発生しやすい一方で、長年の運用で管理水準が読み取りやすいという利点もあります。新築は初期故障が少なく設備も新しい分、入居後しばらくの修繕は軽めで、メーカー保証やアフターサービスが受けやすいのが一般的です。ただし、マンションの修繕積立金は当初低めに設定され、段階的に増額されることが多く、10年・15年後に実負担が上がる前提でキャッシュフローを見ておくと現実的です。金利については、超低金利の環境が変化しつつある中、固定・変動の選択によって長期の総支払額が大きく動くため、物件比較と同時にローン条件の比較も欠かせません。住宅ローンの考え方は、NOWHの関連記事「住宅ローン繰上げ返済の基本」も参考になります。

リセール(出口)で見る“本当の差”

新築は“新品プレミアム”が価格に含まれるため、入居直後に市場価格が1〜2割下がるといった現象が起こりがちです。中古は当初の価格下落が小さい分、短・中期で売るなら理屈の上では中古のほうが有利に働く場面があるのが実態です。もっとも、出口を決めるのは築年数より立地と管理です。駅距離、生活利便、学区、眺望・日照、修繕履歴や管理組合の健全性といった「将来の買い手が欲しがる要素」を複数備える物件は値崩れしにくい傾向があります。売却時コスト(仲介手数料や譲渡税)も総額に効くため、購入時点から出口戦略を描いておくと“得”の精度が上がります。出口計画の立て方は「住み替えの売り時ガイド」もあわせてどうぞ。

暮らしの質とリスク、数字に出にくい差

家は資産であると同時に日々の暮らしそのもの。新築と中古の差は、帳尻だけでは測れない生活の実感にも及びます。

新築の安心感と、中古の読みやすさ

新築の魅力は、最新の省エネ性能や耐震基準、間取りの合理性、そしてメーカーや売主の保証に支えられた安心感にあります。設備の新しさは住み始めの満足度に直結し、初期トラブルの対応もスムーズなことが多いです。一方、中古の強みは、**「見えているものが多い」**こと。日照や騒音、管理の実態、住民コミュニティ、周辺の開発計画など、実地で確かめられる情報量が豊富です。住宅診断(インスペクション)や既存住宅売買瑕疵保険を活用すれば、構造や設備の状態を第三者の目で点検し、リスクを価格交渉に反映させることも可能です。診断費用は追加でかかりますが、数十万円の交渉余地につながることもあり、コストではなく投資と捉えるのが実務的です。なお、国も既存住宅のインスペクション普及や瑕疵保険の活用を進めており、市場の透明性向上が図られています[5,6]。

立地が9割。築年数より“暮らし年数”を意識

新築が弱く、中古が強い典型は立地です。成熟エリアの駅近や生活利便に優れた土地は再開発でもなければ数が増えません。結果として、**「築は古いが立地は一等地」という中古に出会える確率が高くなります。毎日の通勤時間、子の送迎、親の通院、地域のつながり。暮らしの摩擦を減らしてくれる立地は、家計の可処分時間を増やし、長期の満足度を押し上げます。逆に、新築で立地を妥協すると、車の維持費や時間コストが膨らみ、総額でみると“得”から遠ざかることがあります。判断の物差しを築年数から暮らし年数(その場所で何年、どういう日々を重ねられるか)**に置き換えると、答えがクリアになります。立地の見極めについては関連記事「立地の選び方・後悔しない視点」も役立ちます。

編集部試算:10年・20年でどう変わる?

ここからは、同一エリア・同等規模を前提に、新築マンション5,500万円と、築15年中古マンション4,700万円という想定で、10年・20年の総額イメージを編集部が整理します。金利や税制は変動し得るため、あくまで考え方のたたき台としてご覧ください。

10年保有のイメージ

新築5,500万円は入居直後の価格調整で時価が下がりやすく、10年後の売却では市場が横ばいでも当初比での目減りを体感しやすくなります。一方で、設備は新しく修繕負担が軽く、固定資産税の減額措置が効く最初の数年間はキャッシュフローが安定します[3]。管理費・修繕積立金は10年の間に増額される前提を置き、ローンの利払いと合わせると、総支出は購入価格に対して上振れしますが、10年以内の売却で値持ちする立地なら心理的な納得感は得やすいでしょう。

中古4,700万円は初期の価格に新築プレミアムが含まれない分、**「価格の下落幅が相対的に小さい」**ことが多く、10年保有の出口では優位に働く可能性があります。入居後3〜7年で水回りや給湯などの更新が発生する想定を置くと、数十万〜数百万円の修繕が発生する局面はありますが、トータルでみれば新築との差額800万円分の元本が効いて、金利負担や固定費も相対的に軽くなります。結果として、10年スパンでは中古のほうが総額で得になりやすいというのが編集部の実感です。ただし、築年が進むことで住宅ローン控除の適用や耐震基準の要件が絡むため、制度適用の可否は個別に確認してください[4]。

20年保有のイメージ

20年住み切る前提では、差はもう少し拮抗します。新築は築20年でも立地と管理が優れていれば資産価値の底が形成され、長く住むほど初期の価格調整の影響は薄れます。その間、外構・給湯・空調・内装の更新、マンションなら大規模修繕が2回ほど視野に入り、支出は一定の厚みを持ちます。中古は購入時点の築15年が35年となり、建物としては中後期。修繕は複数回想定しつつ、購入時の割安さが効いて総額は抑えやすい構造は変わりません。20年保有では「立地勝ち」の物件を選べたほうが最後の価値を残しやすいため、新築・中古のラベルより、駅距離・供給希少性・管理履歴のほうが勝敗を左右します。長期保有の維持費設計は「固定費の見直し・住居費版」も参考にしてください。

迷いをほどく決め方フレーム

数字で比較してもなお決め切れないのは、住まいが生活と感情に深く結びつくテーマだから。そこで編集部は、最終判断の前に自分に投げかけたい問いを、実際の検討現場で使える順番で並べ直しました。まず、今の暮らしにとって最重要の立地条件は何か(駅距離、学校、実家、医療)。次に、想定する保有期間は5年・10年・20年のどれに近いか。毎月のキャッシュフローに無理なく収まる上限はいくらか。リフォームや家具・家電を含めた初期投資をいくらまで許容できるか。保証やインスペクションでカバーしたい不安は何か。最後に、売却や賃貸化という出口を現実的に想像できるか。これらの答えが言語化できたとき、**中古が合う人には「割安さ×立地×柔軟な改修」が、新築が合う人には「整った初期状態×保証×最新仕様」**が、それぞれの“得”として立ち上がってきます。補助金や税制の最新情報、住宅ローンの条件は変わるため、意思決定の直前に公的サイトや金融機関でアップデートするひと手間も忘れないでください[3,4]。制度のチェックポイントは「住宅の補助金・税制チェック」に整理しています。

まとめ:あなたの時間価値に合う“得”を選ぶ

家は金額の大きな買い物であると同時に、限りある時間をどう使うかの選択でもあります。新築のまっさらな安心感も、中古の読みやすさと立地の強さも、それぞれに魅力がある。**答えは「最初に安いか高いか」ではなく、「暮らしとお金の総額が自分の価値観に合うか」**にあります。保有期間、立地、保有コスト、出口の4点を自分の言葉で定義できたなら、どちらを選んでも後悔は小さくなります。今日できる一歩として、気になるエリアで新築と中古を各1件ずつ内見予約し、現地で「暮らし年数」を想像してみてください。数字と感覚が一致したとき、あなたにとっての“得”は自然に定まります。

参考文献

  1. 国土交通省. 我が国の全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェア. https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/tyukozyutaku.html#:~:text=%E6%88%91%E3%81%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%A8%E4%BD%8F%E5%AE%85%E6%B5%81%E9%80%9A%E9%87%8F%EF%BC%88%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BD%8F%E5%AE%85%EF%BC%8F%E6%96%B0%E7%AF%89%E4%BD%8F%E5%AE%85%EF%BC%89%E3%81%AB%E5%8D%A0%E3%82%81%E3%82%8B%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E6%B5%81%E9%80%9A%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%81%AF%E7%B4%84%EF%BC%91%EF%BC%93

  2. 財務省. Finance(2025年5月号)日本の中古住宅市場の国際比較と活用余地等. https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202505/pageindices/index83.html#:~:text=1,%E7%AF%89%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%82%88%E3%82%8A%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%AE%89%E3%81%84%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E9%AB%98%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E5%B8%AF%E3%81%8C%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%A8%E6%8E%A8%E6%B8%AC%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%EF%BC%88%E5%9B%B3%E8%A1%A813%EF%BC%89%E3%80%82%E3%83%BB%E6%96%B0%E7%AF%89%E5%BF%97%E5%90%91%E3%81%AE%E5%92%8C%E3%82%89%E3%81%8E%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%A7%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BD%8F%E5%AE%85%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E6%B4%BB%E7%99%BA%E5%8C%96%E3%81%8C%E3%81%BF%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8C%E3%80%81%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%20%E3%82%8B%E4%B8%AD%E5%8F%A4%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E6%B5%81%E9%80%9A%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%81%AF%E4%BE%9D%E7%84%B6%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E4%BD%8E%E3%81%84%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%AF%94%E8%BC%83%EF%BC%89%E3%80%82

  3. 国土交通省. 新築住宅に係る固定資産税の減額措置について. https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html#:~:text=%E8%89%AF%E8%B3%AA%E3%81%AA%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E3%82%92%E4%BF%83%E9%80%B2%E3%81%97%E3%80%81%E5%B1%85%E4%BD%8F%E6%B0%B4%E6%BA%96%E3%81%AE%E5%90%91%E4%B8%8A%E5%8F%8A%E3%81%B3%E8%89%AF%E8%B3%AA%E3%81%AA%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%BD%A2%E6%88%90%E3%82%92%E5%9B%B3%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81

  4. 国税庁. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)に関する案内(既存住宅含む). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm

  5. 国土交通省. 建物状況調査(インスペクション)の普及と制度解説. https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html

  6. 国土交通省. 既存住宅のインスペクション活用・既存住宅売買瑕疵保険に関する情報. https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/consumer/existing_housing_kizonjutaku.html

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