3ステップで迷わない写真・動画整理術|容量もスッキリ

写真・動画が増えて容量不足や判断迷子に。残す・迷う・手放すの3ステップで選別ルールを作り、仮置き→週末見直し→バックアップの実践ワークフローで15分で片付けます。

3ステップで迷わない写真・動画整理術|容量もスッキリ

なぜ散らかるのか――原因を見極める

医学ではなく日常行動の話ですが、研究の世界でも「選択肢が多いと決められなくなる」選択の過負荷が指摘されます[4]。写真・動画はまさにそれで、似たショットが10枚連続、スクリーンショット、連写、Live Photos、さらには4K動画の大容量が重なり、判断が後回しになります。「あとでやる」はたいてい来ません。先に“残す基準”を言語化しておくことが、デジタル収納の最初の一歩です。

残す・迷う・手放すを先に決める

アルバム整理の古典的な発想をデジタルに移植します。まず残す基準を数値で決めます。似た構図はベスト1枚、集合写真は表情違いで2枚まで、ブレやピント外れは即削除。暗すぎるものは補正しても記録価値が低いなら迷わず手放す。イベントは冒頭・クライマックス・締めの三場面を押さえ、日常は“今の暮らしが伝わる”物や手元、部屋の一角などを1枚残す。このように先にルールを固定してから写真を見ると、判断時間が短縮され、迷いが減ります。迷うカットは仮置きフォルダに一時退避し、週末にもう一度だけ見直すと決めておく。期限が決まると、躊躇と罪悪感が薄れます。

容量の現実を直視する

動画は圧倒的に重い。4K60fpsなら1分で約400MB、10分で約4GB。フルHDでも1分100MB前後になることがあります[2]。容量は感覚ではなく数字で管理します。スマホのストレージ画面で“写真・動画”の割合を把握し、上限の70%を超えたら整理アラートと考える。子どもの行事シーズンや旅行前に余白を作るのも有効です。これは気持ちの余裕にも直結します。国内調査でも、容量オーバーを防ぐために写真・動画の整理を実施した経験がある人は66%に上るとの報告があります[8]。

まず設計する――分類・命名・置き場所

片づけは、しまう場所が決まると楽になります。デジタル収納も同じ。分類の軸、命名規則、保存場所の三つを先に決めてから、過去データを流し込むのが近道です。

分類は“時系列×イベント”で迷いを消す

人は撮った日の手がかりで写真を探すことが多いので、年→月→イベントの階層に落とすと再現性が上がります。例として、2025という年フォルダの中に01や02の月フォルダ、その中に新年会や卒園式のイベントフォルダを作る。家族ごとの整理が必要なら、年→人→イベントという並びでもかまいません。軸は1〜2本に絞り、誰が見ても迷わない構造にすることが、未来の自分を助けます。アルバム機能やタグを使えるサービスでは、人や場所のタグを後付けで補助的に使うと、検索がさらに速くなります。

命名規則はISO形式で統一する

ファイル名は日付を先頭にすると時系列が崩れません。編集部の推奨は、YYYYMMDD_イベント名_通し番号です。たとえば20250315_卒園式_001.jpgのようにします。イベント名は短く、日本語で問題ありませんが、毎回同じ語を使うと検索に強くなります。動画は拡張子が違うだけで同じ命名にしておくと、同一イベント内で写真と動画が並びます。加工した写真は末尾に_edや_printなど用途を付けると、どれが最終版か一目で分かります。ここまで決めると、機械的に流し込むだけの作業になり、判断疲れが減ります。

保存場所は“分散しすぎない”が正解

iCloud、Google フォト、Amazon Photos、OneDrive、NAS(自宅サーバー)など、選択肢は多いほど迷います。編集部の結論は、メイン1つ+バックアップの補助1つに絞ること。iPhone中心ならiCloud写真をメインにして、設定で“iPhoneのストレージを最適化”をオンに。AndroidやマルチデバイスならGoogle フォトをメインにして、自動バックアップと空き容量を増やす機能を活用する。写真が無制限の特典があるサービスや、NASで自宅保存を補助に回すのも現実的です。重要なのは、写真はクラウドで即時アクセス、原本や大容量動画は外付けSSDやNASに逃がすという役割分担を明確にすること。クラウドとローカルを両方持つことで、端末故障や紛失の不安が消えます。なお、国内調査では「写真が消滅した経験がある」と答えた人が66.5%にのぼるとの報告もあり[5]、バックアップの重要性を裏づけています。

回るワークフロー――15分×週1で整える

完璧主義は続きません。毎日5分のミニ整理+週1の15分集中+月1の60分整備という三層構えにすると、忙しくても回ります。朝の通勤や就寝前に“今日の10枚だけ選ぶ”。週末に“迷いボックス”を決着させ、イベントの命名とアルバム作成を済ませる。月末にバックアップの健全性をチェックする。このリズムが定着すれば、溜め込みが連鎖しません。

選ぶ→捨てる→整える→守るを同じアプリで

撮影直後の勢いで、写真アプリの“お気に入り”や星印を使って一次選別を終えます。ベストショットが決まったら、似たカットをまとめて削除。最近のiOSには“重複項目”を検出してまとめられる機能があり、似ている写真を一括で整理できます。AndroidのGoogle フォトにも、ぼやけ写真やスクリーンショットを候補化して片づける提案が表示されます。同じアプリ内で完結させることが、最短の動線です。アルバムを作る時は、日付順で並ぶことを前提に、命名規則に従ってイベントごとに区切る。作業が止まりそうなら、1イベントあたり10分のタイマーをセットし、こだわり過ぎを防ぐと捗ります。

バックアップは“3-2-1”をゆるくでも守る

写真・動画は二度と撮り直せません。3-2-1ルール(3つのコピーを、2種類のメディアに、1つは別の場所へ)は、プロだけのものではなく、家庭でも実践可能です。たとえば、メインのクラウドが1、PCや外付けSSDに同期されたコピーが2、自宅外に置くポータブルSSDや別クラウドが3という具合。旅行や行事のあとだけでも、原本を外付けに退避する癖をつけると安心です。月1の整備日に、外付けの接続チェックとランダムファイルの開封確認を行い、壊れかけのメディアを早めに交換します。

動画は別レーンで考える――活用と軽量化

動画は重さが桁違いだから、写真と同じ棚に無理やり詰め込むと全体が動かなくなります。“見返すハイライト”と“保存する原本”を分けると、デジタル収納は一気に軽くなる。旅行なら、1分以内のハイライトを2〜3本だけクラウドの“見せる棚”に置き、素材の原本は外付けSSDやNASに保管する。スマホの編集機能で不要部分を切り、4Kが必須でなければ1080pに書き出してクラウド側を軽量化するのも現実的です。家族で共有するなら、テレビに映せる仕組みを先に作ります。ストリーミングデバイスやスマートTVのアルバム表示を使えば、スマホの小さな画面で肩を並べるよりも、リビングで“思い出を再生する時間”が自然に生まれます。

紙にすることで記憶の“居場所”を作る

デジタルは便利ですが、紙の存在感は強い。季節ごとにベスト9をプリントして、家の動線上に飾る。年に1冊はフォトブックを作って、家族のライフログを物理的に残す。飾ること自体が“見返す”に直結[6]し、データの海に沈みません。プリント用の“_print”ファイルを作っておくと、来年以降も同じ条件で増やせます。紙の収納は小さなボックス1つに限定し、溢れたら入れ替えるルールにすると、家の見た目も整います。

まとめ――完璧より“回る仕組み”を持つ

写真・動画は、未来の自分や家族に手紙を書く行為に近いもの。だからこそ、感情だけに任せず、設計して、習慣化して、守る。この三つがそろえば、今の膨大なデータも“思い出が取り出しやすい”デジタル収納に変わります。今日できる最小の一歩は、今週撮った写真からベスト10を選び、命名規則で1つのイベントにまとめること。週末の15分で“迷いボックス”を空にし、月末にバックアップのライトチェックをする。そこまでできたら、あなたのスマホはもう赤信号から遠ざかっています。次に見返したいのは、どの出来事ですか。あなたの暮らしに合うワークフローに調整しながら、“残したいものだけが残る”環境を今日から育てていきましょう。

参考文献

  1. The Verge. Google Photos now has over 200 million users (2016). https://www.theverge.com/2016/5/18/11685424/google-photos-update-new-features-io-2016
  2. AnswerTabs. 1 minute 4K phone video file size for 30/60 fps. https://www.answertabs.com/1-minute-1-hour-4k-phone-video-the-file-size-for-30-60-fps/
  3. 日刊工業新聞ニュースリリース. スマホ容量を圧迫する要因データ(写真・画像57.8% ほか). https://www.nikkan.co.jp/releases/view/149436
  4. Iyengar S, Lepper M. When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? (2000). https://www.researchgate.net/publication/12189991_When_Choice_is_Demotivating_Can_One_Desire_Too_Much_of_a_Good_Thing
  5. 日本フォトイメージング協会×MMD研究所「2020年スマートフォンでの写真撮影、プリントに関するユーザー調査」. https://jpia.jp/category/fromjpia/user-research/ur-2020/
  6. ResearchGate. Photos and memory(写真が記憶想起に与える影響に関する研究のレビュー). https://www.researchgate.net/publication/349218958_Photos_and_memory
  7. Business Insider. Japanese take 4x more cellphone photos than Chinese. https://www.businessinsider.com/japanese-take-4x-more-cellphone-photos-than-chinese
  8. DIME. スマホ容量オーバーを防ぐための写真・動画の整理経験は66%. https://dime.jp/genre/1110846/

著者プロフィール

編集部

NOWH編集部。ゆらぎ世代の女性たちに向けて、日々の生活に役立つ情報やトレンドを発信しています。